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Showing posts from 2018

Al-Mashun Grand Mosque (Medan Grand Mosque)

Medan, Indonesia : メダン・インドネシア  スマトラ島最大の都市メダンにある、黒い5つのドームと正面から望むと翼を広げた形の回廊が特徴的なモスク。ミナレットは礼拝堂に隣接せず、離れて建っている。ムーア様式のデザインを取り入れ、輸入されたガラスや大理石の建材を使用し、1909年に完成した。正方形の4隅の角に小ドームをもつポーチを配し、それを繋ぐ回廊がメインドームのある礼拝室を囲んでいる。回廊は茶色と薄い青緑色で植物文様の彫刻を施された馬蹄形アーチで区切られている。ポーチのステンドグラスは花の文様で彩られ、内装と同じ茶色と薄い青緑色の2色が使われており美しい。礼拝室上のドームは中心で八角形の台座を8本の柱とストライプのアーチによって支えられている。内部の装飾は多様な文様や色の組み合わせであるが、派手さではなく調和を感じる。

Bang-o Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  チャオプラヤー川に向かって建つ西洋建築風のモスク。アユタヤから来たペルシア人商人の移民コミュニティによって1919年に造られた。当時のタイではルネサンス様式を取り入れた建築が多く造られ、このモスクもルネサンス様式とイスラーム建築の折衷でデザインされた。左右対称にドームが乗った2本の尖塔のある長方形のファサード側はチャオプラヤー川沿いに平行に立っている。その奥に続く礼拝室はメッカの方向へ角度がついて屈折しており、その傾きを埋めるために三角形の小部屋を挟んでいた。ファサード側にはホールがあり、その両端には尖塔へ上る螺旋階段が付いている。敷地内はモスクと、以前は学校として使われて、現在も大人のためのイスラームの教義を学ぶ木造建築の教室、新しくペルシア様式のデザインで造られた多目的ホールがある。

Melaka Straits Mosque

Malacca(Melaka), Malaysia : マラッカ・マレーシア  マラッカ市の沖に造成された人工島であるマラッカ島にある水上モスク。2006年に完成した。エントランスは陸に接し、高さ30mのミナレットは陸側に建っている。モスク本体の足場は海へ打ち込まれており、礼拝堂の3面は海に面している。1面はミフラーブのあるキブラ壁となり、もう2面には礼拝室から突き出たテラスがある。ここからマラッカ海峡を望むことができ、たくさんの観光客が訪れていた。4面すべてに大きな緑色のステンドグラスのアーチが飾られ、角にある尖塔はオレンジ色のマレー式デザインの屋根がついている。内部は白1色でカリグラフィーなどはなく、幾何学文様のすかしが入った壁から漏れる光が装飾になっていた。

Gazi Husrev-Beg Mosque

Sarajevo, Bosnia and Herzegovina : サラエヴォ・ボスニア ヘルツェゴヴィナ  サラエヴォ旧市街のメインストリートに沿って建ち、市内観光のハイライトとして多くの観光客を集めている。オスマン帝国時代の政治家Gazi Husrev-Begの資金により、モスクや学校などの複合施設の一つとして建造され、1531年ごろに完成した。庭にある2箇所の霊廟のうちの一つは彼のために造られたものだ。オスマン様式のデザインでポルティコに5個の小ドーム、上部に1個の大ドームと2個の小ドームをもつ。また、ミフラーブのあるキブラ壁上部は半ドームが据えられムカルナス(鍾乳石飾り)が施されている。モスクはその後火災や近年の内戦で損壊され、現在の内装は2001年ごろに修復されており新しい。ミナレットも鉛筆型のオスマン様式で造られ、装飾はほとんどない。礼拝の呼びかけ(アザーン)はスピーカーを使わず肉声で行うとのことであったが、そのことは後から知ったために拝聴することはできなかった。

Sinan Pasha Mosque -Prizren-

Prizren, Kosovo : プリズレン・コソボ  プリズレンはコソボ南部にあるオスマン帝国時代の文化遺産の残る街で、モスクはツーリストで賑わう中心部を見下ろすように建つ。すぐそばを流れるPrizren Bistricaと呼ばれる川にかかる石橋とともに街のランドマークとなっている。 オスマン帝国の政治家Sofi Sinan Pashaにより建造され1615年に完成した。以降幾度かの修復を経ている。通りから見ると近隣の商店街の2階くらいの高さにエントランスがあり、4つの柱と3個の小ドームをもつポルティコへは階段を上っていくことになる。オスマン様式の建築で正方形の礼拝室の上部は8角形の台座で大ドームを支えている。ミフラーブは壁から大きく突き出ているのが特徴で、奥行き感があり上部には半ドームが載っている。内部の装飾はバルカン半島で時折見かけるデフォルメされていない花や植物文様で彩られ、ミフラーブ上のドームには4本のミナレットのモスクが描かれていた。

Sarena Mosque

Tetovo, North Macedonia : テトヴォ・北マケドニア  このモスクは「Painted Mosque」「Colorful Mosque」との名でも呼ばれており、独特の装飾が施された外壁と内装をもつ。原形は1495年に建造され以降19世紀初頭に装飾の改装があり、近年に修復されている。Pena川のほとりに建っており、瓦を葺いた石垣越しに、カードをはめたような不思議な模様の壁が見て取れる。遠目で見るとパネル状の凹凸感があるが色彩の濃淡で影を表現しており、近くで見ると構造的な部分の一部を除き平面である。くすんだオレンジ色と緑色で、星を模したのであろう幾何学模様と、花柄で壁一面が装飾されている。たくさんの信者が訪れていたが、装飾には意に介さず、誰もが日々日常といった感じで礼拝をしてるのが不思議な印象であった。バルカン半島の小さなモスクでよく見られる外観はドームのない寄棟屋根と1本のオスマン様式のミナレットをもつ。内部は目が眩むほどの細かい手の込んだ塗装で埋め尽くされ、特に内部からは見上げることのできる天井のドームは必見。植物と幾何学文様のペイントを施され、窓の形に区切られた円の中に花瓶と交互に、モスクの見える都市の風景が描かれている。

Lala Mustafa Pasha Mosque

Gazimagusa (Famagusta), Northern Cyprus : ガジマウサ (ファマグスタ)・北キプロス  Cathedral of Saint Nicholasとの名であった教会を転用したゴシック様式のモスク。現在の名は当時ヴェネツィア共和国の支配下にあったキプロスを陥落させたオスマン帝国の軍人Lala Mustafa Pashaに因んで付けられた。外観を見る限り、転用後に足されたミナレット以外はヨーロッパにあるゴシック教会の様相を保っている。側壁はフライング・バットレスと呼ばれる6枚の控え壁が垂直に突き出て天井を支えている。双塔の上部は地震と戦乱で崩壊したまま修復されていない。教会の建設から1328年の完成当時はフランス系がキプロス王位を継いでおり、デザインはフランスのランスにあるノートルダム大聖堂に触発されたそうである。内部はキリスト教に繋がる装飾は撤去され、またイスラーム文様も付け足されてもいないので、逆にゴシック様式の教会の特徴である交差リブヴォールト天井や尖頭形のアーチが引き立っていた。足を踏み入れた途端感じる奥行き感は独特であった。

Moscow Cathedral Mosque

Moscow, Russia : モスクワ・ロシア連邦  元来この地には1904年にタタール人によって造られたモスクが存在していた。旧ソビエト連邦時代にも閉鎖されなかったという歴史のあるモスクは、イスラーム教徒の増加や経年劣化より論争の末2011年に解体され、2015年にその跡地に現在のモスクが完成した。外装や小ドームのエメラルドグリーン色は解体した旧モスクの色に似ており、オマージュとして採用されたのかも知れない。メインのドームは高さ46m、メインのミナレット2本は高さ78mを誇り、計12kgの金を使用している。1万人を収容する巨大な建築で、内部は3層で造られ2階の一部はイスラームの文化を紹介する博物館にもなっている。内装はトルコの政府の援助と技術工の協力で造られ、クルアーンの描かれたドームの内側で渦を巻く独特な文様は荘厳の一言だ。

Ebu Bekr Mosque (Al-Zamil Mosque)

Shkoder, Albania : シュコドラ・アルバニア  過去このモスクのある場所には、Fushe Cela Mosqueと呼ばれる古いモスクが建っていたがアルバニアの政策によって破壊されてしまった。その跡地にサウジアラビアのSheh Zamil Abdullah Al-Zamil氏からの援助により新しいモスクが1995年に造られた。モスクの名は預言者ムハンマド死後の指導者、初代カリフとなったアブー・バクルの名に因んで付けられた。氏の援助の功績により、Al-Zamil Mosqueとも呼ばれている。オスマン様式にガラス面を多く取ったモダンなデザインである。2本のミナレットは41mの高さがある。

Omeriye Mosque

Nicosia, Cyprus : ニコシア・キプロス  Church of Saint Maryと呼ばれていたキリスト教会を転用したゴシック様式のモスクである。元の教会はオスマン帝国の侵攻で一部破壊されたが、帝国のララ・ムスタファ・パシャによって1571年にモスクとして改築されオスマン様式のミナレットを追加された。建物は教会時代そのままに60mほどもあるという奥行きを保っており、ミナレット側から望むと非常に長い建物に感じる。裏庭側にはフライング・バットレスと呼ばれる側廊の外壁の支えが残っていた。内装はほぼ白一色でアーチが連続して奥まで続いており、ここでも通常のモスクであまり感じることのない奥行き感を味わえる。

Kapitan Keling Mosque

Penang, Malaysia : ペナン・マレーシア  移民の南インド系イスラームコミュニティーの主導者であるカピタン・クリンによって1801年に原型が建造された。創始者の祖国インドで主流のムガール様式で建造されたペナンで最古のモスクと言われる。その後改築されており、ドームやエントランスのアーチなどにムガールの影響を感じるが、回廊のアーチは多弁形アーチのほかに馬蹄形アーチも見られ、ムーア様式も取り入れているのではないかと見える。マレーシアの商店でよく見かける簾がアーチの裏に添えられているのが興味深い。ドーム内部は全体に白く、金色のカリグラフィーで飾られている。文様は少なくシンプルな印象だ。ドーム直下は、多弁形アーチで支えられた台座の窓から入った光で、黄色に淡く照らされていた。

Sultan Mehmet Fatih Mosque (Mbretit Mosque)

Pristina, Kosovo : プリシュティナ・コソボ  その名となったSultan Mehmet II Al-Fatihの命よって建設され1461年に完成した。トルコ政府機関の援助により修復されている。「皇帝=Mbretitのモスク」との別名もあり、プリシュティナでは一番の大きさである。オスマン様式で建造され、鉛筆型の1本のミナレット、1個の大ドームと入り口のポルティコ(柱廊玄関)上に3個の小ドームをもつ。ファサードの2枚の窓だけは丸く愛嬌がある。モスク全体の装飾として主に反復する青い植物文様が描かれている。

Nakhoda Mosque

Kolkata, India : コルカタ・インド  赤い砂岩の外壁の1万人を収容するコルカタで最大のモスク。3層に渡って続くバルコニーのアーチが美しい。ムガール様式で建造され3個のドームと2本の46mのミナレット、25本の小さなミナレットをもつ。行き交う車や人々で混み合う交差点に面した1階には店舗が入り賑わっている。西インドのイスラーム教徒のコミュニティのKutchi Memonsからの資金提供により、以前からあった小さなモスクは1926年に現在の形となった。デザインはムガール帝国時代のアーグラのアクバル廟を模したとされている。

Sultan Ahmed Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  トルコを代表する、世界で最も有名であろうオスマン様式のモスク。トルコの天才建築家ミマール・スィナンの弟子、メフメト・アーの手による。名称は建設当時のオスマン帝国の皇帝アフメト1世より名づけられた。内装に使われた青いタイルから、「ブルーモスク」の名ももつが、現在では冴えた青さは見られなくなってしまっている。スィナンの理想とも言える建築のスタイルを継承し、大ドームを4個の半ドームで支える工法や、手違いで6本を建ててしまったという逸話のある、鍾乳石飾り(ムカルナス)のバルコニーの付いた鉛筆の形ミナレットが特徴である。内部は2万枚を超える植物文様のタイル、200枚を越えるステンドグラスで飾られ、巨大な円形のシャンデリアがドームから釣り下がり、正に圧巻である。

Selimija Mosque (Bar Islamic Center)

Bar, Montenegro : バール・モンテネグロ  アドリア海の港街バールの旧市街に、モンテネグロ=「黒い山」の国名どおりの黒い山々と空に向かって聳えるミナレットが映える美しいモスクがあった。全体の外装はベージュでアーチだけに赤茶色のストライプを配し、ドーム外装はすべて黒、幾何学文様はなく、わずかに鍾乳石飾り(ムカルナス)を模したデザインが隅に見られるほどの整然としたデザインだ。中心にあるモスクは2本の高さ42mのミナレットをもち、施設内に1,800人を収容する。トルコ政府機関の資金協力で完成した。モスクは湾曲した回廊に囲まれ、回廊には幼稚園・ハラールレストラン・図書館・ホールなどがあり、祈りの場としてだけでないイスラーム文化継承のための複合施設となっている。中庭は広く取られ、ヨーロッパの街角で多く見かけるオープンカフェとなっており人々が憩いに訪れていた。

Lead Mosque

Shkoder, Albania : シュコドラ・アルバニア  このモスクを初めて見かけたのは、池の水に沈んだ廃墟のような姿の画像であった。訪れたときは周囲が水で満ちる時期では無かったのか、思いと違い緑の草むらの中に佇んでいた。外壁は修復が行われたとのことであるが、石造りの壁の地面に近い部分は黒く変色しており、長く水に浸かっていることがわかる。モスクを囲む水が溜まる窪みには鉄の細い橋が架かっており、モスクが水の中で孤立しても信者は礼拝に向かうことができる。周囲も内部も人の気配がまったくないのだが、内部は煌々と明かりが灯っていた。過去アルバニアは宗教を否定する政治を進めていたため多くの宗教建築は破壊されたのだが、このモスクは歴史的建築の意味で破壊を免れている。ミナレットはそれ以前に破壊されたまま修復されておらず土台だけが残っていた。名称は過去、ドームが鉛(Lead)で覆われてことに由来する。

Hazrat Sultan Mosque

Nur-Sultan (Astana), Kazakhstan : ヌルスルタン (アスタナ)・カザフスタン  ヌルスルタン(アスタナ)市新市街にあるカザフスタン最大級のモスク。1個の高さ51m大ドームと9個の小ドーム、77mの高さの4本のミナレットをもち、館内は3層で構成されている。側壁の巨大なイーワーンにはペルシャ様式を感じるが、旧来の伝統的な中央アジアのモスクと異なり、外壁はほぼ白く、黒、黄色、わずかにアクセントの淡いグリーンを使用している。アラビア半島の湾岸諸国にありそうなモスクのデザインに独特のカザフ文様を組み合わせているのも特徴的だ。内部の装飾にもカザフ文様が使用され、ドームの内側でそれを見て取れる。

Selimiye Mosque

Lefkosa, Northern Cyprus : レフコシャ・北キプロス  かつて聖ソフィア大聖堂(Cathedral of Saint Sophia)と呼ばれたキプロス最大のキリスト教会は、オスマン帝国の占領によってモスクへと転用された。転用後、現在もゴシック様式のモスクとして使われている例としては、同じ北キプロスの Lala Mustafa Pasha Mosque とならぶ最大級の規模ではないかと思う。ゴシック建築の特長となるフライング・バットレスと呼ばれる側廊の外壁を支えるために屋外に張り出すかたちで設置される柱は、通常のモスクでは見ることはない。2本のミナレットは転用後に追加された。内部はキリスト教に関わる装飾は撤去されており、追加されたメッカの方向を示すミフラーブは教会として建造されたため方向と構造が合っておらず、側廊に置かれている。

Mustafa Pasha Mosque

Skopje, North Macedonia : スコピエ・北マケドニア  1492年に建造されたオスマン帝国時代の高官の名を冠したモスク。オスマン様式で建造され、以降、地震による被害の修復やトルコ政府機関による修繕を受け現在に至る。ミナレットは1本で高さは47m、礼拝堂に1個の大ドームとファサードに3個の小ドームをもち、ポルティコ(柱廊玄関)のアーチと小ドームは4本の白い大理石の柱により支えられている。外壁は茶色の石積みと赤いレンガを組み合わせ造られており、独特な模様と色味を生み出していた。4つのドームの装飾や内装には青、紺、グレーを基調にした植物モチーフの文様が多く用いられ、シンプルだがコントラストがくっきりとしたデザインで美しい。

Crystal Mosque

Kuala Terengganu, Malaysia : クアラトレンガヌ・マレーシア  クアラトレンガヌにあるイスラーム文化を紹介する公園に接する海上に、鋼とガラスでできたそのイメージから「クリスタル」の名のモスクがある。2008年完成、4本のミナレットをもつ。ガラスは角度によって光線と反射の加減で金色から黒へ変化し、不思議な色合いを見せていた。礼拝堂内からガラスのドームを見上げると色は付いておらず透明な光が祈りの場所を照らす。内部は白と金・黄色を基調にした幾何学と植物の文様が使われ、礼拝所を囲むガラスの壁も装飾され外光に文様が浮かび上がる。

Makkah Masjid / Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  インド中南部の主要都市ハイデラバードはイスラーム教徒が多く住む街だ。過去この地を統治したイスラーム系王朝であるゴールコンダ王国時代の建築が今も残っており、このモスクもその内の一つである。王国の創始者クリー・クトゥブ・シャーの命によって建設された。花崗岩と聖地メッカから運ばれたという土のレンガで造られ、1万人の礼拝者を収容できるハイデラバード最大のモスクだ。正面から眺めると角に2本のミナレットと5個の大きなアーチがあり、3面の計15個のアーチで礼拝堂を支えている。その名もメッカのGreat Mosqueに因んで付けられた。

An-Nur Great Mosque

Pekanbaru, Indonesia :  プカンバル・インドネシア  プカンバルの市内中心に建つ、グリーンを基調にした重厚な雰囲気をもつモスク。公園のように整備された広大な敷地にあり、たくさんの人々が礼拝や憩いに訪れていた。ムガール様式とインドネシアの大きなモスクで見かける重厚さを融合させたデザインで、正面から眺めると特にインドのタージ・マハルに影響を強く感じる。ブルーとグリーンのタイルを格子状に組み合わせた模様の大きなドームを中心に、合計10個のドームと4本のミナレットをもつ。3階建てで、最上階は礼拝室となっており、1階からはエスカレータで上がることもできる。モスクだけでなく、図書館や幼稚園から高等学校などの教育施設も付随しており、プカンバルのイスラーム文化の継承を担っている。内部へは立ち入っておらず画像のドームは入り口ホール上のもの。

Bibi-Heybat Mosque

Baku, Azerbaijan : バクー・アゼルバイジャン  元々、この場所には13世紀に造られた同名のモスクが存在していたが、1934年に旧ソビエト連邦政権による反宗教運動の対象となり破壊されてしまった。その後当時のアゼルバイジャン大統領Heydar Aliyevの命により、建築家Sanan Sultanovの手で、石灰岩を外装に、3個のドームと2本のミナレットをもつ現在のモスクが建設された。当時の資料から見比べると波型に溝のあるドームと、ミナレットのデザインは復元されているように思える。その3個のドームのうち、2個を見学することができた。南側1個はブルーと金で書かれたクルアーンで彩られ、また真ん中のドームはグリーンと同じく金で彩られ、霊廟として使われている。

Kota Kinabalu City Mosque

Kota Kinabalu, Malaysia :  コタキナバル・マレーシア  ボルネオ・サバ州の州都コタキナバルにある美しい水上モスクとして多数の観光客がここへ訪れる。マレーシアにいくつかある水上モスクと違い、このモスクは実際には浮かんでいるのではなく、人工池の水に囲まれるように造られている。2000年に完成し、ブルーの大ドームと小ドーム、4本のミナレットをもち、1万2千人の礼拝者を収容するサバ州の主要なモスクだ。直線的な構造の礼拝堂が水に写る姿は凛とした印象を与える。そのデザインはサウジアラビアのマディーナにある「預言者のモスク」にインスパイアされたものだという。

Bajrakli Mosque

Belgrade, Serbia : ベオグラード・セルビア  過去オスマン帝国の一部であったセルビアには数々のイスラーム建築が存在していたが、その後破壊つくされ、今ではベオグラードに残る唯一のモスクとなってしまった。1575年ごろに建造され、その後に修復もされているが当時のオスマン様式の外観である立方体の基部とドームを支える八角形の外壁を今も保っている。モスクの名称はトルコ語での、祈りの始まりを知らせるためにミナレットに掲げた「旗」が由来となった。内装は文様などの装飾は少なくシンプルで、壁のアラビア文字で神の名を刻んだ碑紋のパネルが特徴である。

Hala Sultan Tekke / Mosque

Larnaka, Cyprus : ラルナカ・キプロス  1816年に建造されたという歴史のあるこのモスクは、ラルナカ市郊外の塩湖沿いにある。干上がった塩の結晶が続く先に椰子に覆われたモスクが佇むのは不思議な光景であった。季節により水を湛えた湖面に写る姿を見せるとのことだ。オスマン様式のデザインでブロック状の石を積み上げて造られている。国連機関により修復されたとのことであるが礼拝堂内のミフラーブは作業の途中なのか一部文様のない石が積まれている箇所もあった。カアバの方向を示すキブラ壁面の裏側に続く部屋は預言者ムハンマドの養母Umm Haramが埋葬されたという棺があり、霊廟となっている。尚、「Tekke」とは儀式を行う修道施設に与えられ、このモスクは複合施設の一部を成しているためにそう呼ばれている。

Carol I Mosque

Constanta, Romania : コンスタンツァ・ルーマニア  コンスタンツァは黒海に面したルーマニアの重要な港湾であり、また夏季のリゾートや旧市街の古い建築が残る街並みでも有名な都市だ。その旧市街に残る宗教建築の一つがこのモスクである。礼拝堂はビザンツ様式を取り入れており教会と見紛うデザインだ。高さ47mのミナレットはムーア様式を取り入れている。大きなモスクではないのだが城や砦を見るような独特な威厳を感じる。ルーマニアの科学者George Constantinescuによるデザインで建築家Victor Stefanescuらの手により、鉄筋コンクリートを使い建造され1912年に完成した。

Memorial Mosque

Moscow, Russia : モスクワ・ロシア連邦  モスクワ・ポクロンナヤの丘にある、戦勝記念公園の端に接する地区に建つモスク。レンガの壁と真鍮のドーム、石灰岩の装飾で構成された直線的でユニークなデザインだ。名称は大戦に従軍したイスラーム教徒のための記念碑としての意味をもつ。1997年に完成し、ロシアの建築家Iliyas Tajievによる外装のデザインは中央アジアやタタールのデザインを取り入れたとのことで、ファサードのアーチの形状とミナレットやドームの多角の頭頂部にそれを感じることができる。

Bajrampasha Isa Beg Mosque (Zallit Mosque)

Mitrovica, Kosovo : ミトロヴィツァ・コソボ  コソボの地方都市ミトロヴィツァの中心に建造された新しいモスクである。内戦で傷みが激しく取り壊した古いIsa Begモスクの跡地に、トルコの政府組織やトルコのBayrampasa自治体より資金や工芸技術者の提供を受け造られた。呼称が複数あり「Bajrampasha」「Isa Beg」「Zallit」のどれかや、複数を組み合わせて呼ばれている。デザインは外装と内装ともにトルコ国内にある数多くのモスクと同じ典型的なオスマン様式の建築で、先端が尖り鍾乳石状の装飾の付いた48mの2本のミナレットをもつ。

Sheikh Zayed Grand Mosque

Abu Dhabi, United Arab Emirates : アブダビ・アラブ首長国連邦  高さ85mの3個のメインドームからなる合計82個もの数のさまざまな大きさのドーム。モスクの中庭を囲む1048本の柱で支えられた長大な2本の回廊。最大4万人もの礼拝者を収容することができる広大な敷地。断面が正方形から8角形、円形へと変化する4本の107mの高さを誇るミナレット。異教徒が訪れることが可能なモスクとしては世界最大級であろう。大理石、金、イランの絨毯など世界中から集めた素材と職人技を使い完成した。シリア人の建築家Yousef Abdelkyによるアラブ、ムガール、ムーアの要素を融合させたデザインで、ドーム、回廊、ミナレットなどのすべての要素が白く眩く、そして巨大だ。内部もあまりにも巨大なムーア様式の柱が並び天井に向けアーチで8角形を造りドームとそこから下がるスワロフスキークリスタル製のシャンデリアを支えており、圧倒される。壁、天井やガラスなど全体に緻密な花と植物のモチーフで装飾されている。立ち止まって眺めると同じ文様はほかにないのではと思うほど多彩な柄をもち、目を奪われる。

Putra Mosque

Putrajaya, Malaysia : プトラジャヤ・マレーシア  首都クアラルンプール郊外にある政府機能が移転された新行政都市プトラジャヤ、その湖の辺に別名ピンクモスクの名の美しいモスクが佇む。色味の柔らかいピンクの特徴的な外観と華麗なドーム内部の装飾から、郊外にありながら今やクアラルンプール観光コースの一部となっている。ピンクの花崗岩を外装に使用し世界各地のイスラーム建築の要素、ペルシア・モロッコ・イラクなどのデザインを参考に建造されたとのことである。モダンと伝統が合わさった美しいシェイプは、現代のイスラーム建築を手がけるマレーシアの建築事務所Kumpulan Senirekaによるもの。116mもの1本のミナレットと50mの高さの大ドーム、建物4隅の対角線上に置かれた計8個の小ドームをもつ。周囲は遊歩道も備わり、大勢の観光客で賑わう。

Al-Akbar Mosque -Surabaya-

Surabaya, Indonesia : スラバヤ・インドネシア  インドネシア・ジャワ島にある、首都ジャカルタに次ぐ大商業都市スラバヤ。ブルーとグリーンに彩られたドームをもつこのモスクは東ジャワ最大級の大きさを誇る。四角錐に乗った高さ22mの釣鐘型のメインドームと、緩やかなカーブを描きながら頂点に達する4個の四角錐の小ドームという、あまり見かけない外観である。イスラームの99の神の名より99mの高さのある1本のミナレットには上層部に展望台が据えられている。建物から少し離れた外部に設けられたエレベーター口から登り、上方からモスク全体とスラバヤ郊外を眺めることが観光客でも可能だ。建物は非常に大きく、礼拝堂の内部から望む高さ27mものメインドームは独特の形状をしている。直下から柱のない巨大な空間から見つめると、深い緑で描かれた格子型の文様に吸い込まれる感覚があり、圧巻である。床は磨かれた大理石を使用している。幾何学文様を施された壁や扉を通じて入る外光のコントラストが美しい。

Jama Masjid / Mosque

Delhi, India : デリー・インド  インドを代表するムガール様式のモスク。ムガール皇帝シャー・ジャハーンの命と建築家Ustad Khalilの手により1656年に完成した。赤い砂岩と白い大理石で建造され、3つの大ドームと2本の40mのミナレットをもつ。広く取られた中庭は2万5千人の礼拝者を収容するという途方もない規模である。内部の礼拝所に沿う細長い回廊を歩くことができ、高い吹き抜けと文様の入ったアーチが続く様は圧巻。料金を支払いミナレットに登ることも可能で、途中で巨大なドームを真横に見ながらミナレットへ向かうのであるが、なかなか他のモスクではできない体験だ。

Suleymaniye Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  天才建築家ミマール・スィナンの手によって造られたトルコを代表するオスマン様式建築のモスク。オスマン帝国の皇帝スレイマン1世の命により、1557年に完成した。旧市街の丘の上に威厳をもって聳え立ち、海側から街を見るとよく目立つ。2本の高さ74mと異なる高さの2本の56mの計4本のミナレットと、直径27mものドームをもつ巨大なモスクだ。スィナンの技法により、4本の柱とアーチ、そして半ドームと小ドームでメインの大ドームを支えている。ドームには明り取りの窓が無数に並び、そこから差し込む光はドーム内部とストライプのアーチを照らす。垂直に切り立った壁のステンドグラスとともに採光に優れた構造で、このモスクの荘厳な内部は、それらの機能によってもたらされているのがわかる。

Brunei International Airport Mosque

Bandar Seri Begawan, Brunei : バンダルスリブガワン・ブルネイ  石油と天然ガスで潤うブルネイの表玄関、ブルネイ国際空港の旅客ターミナルの横にあるモスク。通常イスラーム圏の空港には決して大きくはないが礼拝室が設けられ、旅行中のイスラーム教徒でも礼拝が可能である。しかしここブルネイでは、一つのモスクが空港の施設として機能しているのだ。デザインは切り取ったようなシャープな四角の面を基調とし、色も白・ベージュ・茶と端整な色調だ。全体にシンプルな外装であるが、グラスファイバーを使った大ドームとミナレットのドームの青い可憐な幾何学パターンがアクセントになっている。

Mogul Shiah Mosque

Yangon, Myanmar : ヤンゴン・ミャンマー  ヤンゴン一のランドマークである仏塔、スーレーパゴダから徒歩でわずかな場所にあるモスク。建物自体はメインストリートであるMahabandoola通りに建っているが1階は商店が並んでおり、入り口は路地を入った少し奥にある。大通りのモスク側を歩いている分には、ここがモスクであることも気がつかないであろう。路地に面して2本の約33mのミナレットをもち、その背後にアーチ形の大きな3つの開口部をもつムガール様式の建築で1918年に完成した。外装は薄いクリーム色、文様やストライプの装飾は黒のみと凝った意匠はないがシンプルで美しい。

Ubudiah Mosque

Kuala Kangsar, Malaysia : クアラカンサー・マレーシア  マレーシア中部ペラ州の都市・イポーから少し離れた小さな街の丘の上に、マレーシアで一番美しいと形容されるモスクがある。クアラカンサーはペラ州のスルタンと呼ばれるイスラームの王が住む街で、モスクは当時のスルタンの命令によって建造され、1917年に完成した。回廊には馬蹄形のアーチを配し、ストライプに塗り分けられた4本のミナレット、そして金色の大ドームをもつ。クアラルンプール駅も手掛けたイギリスの建築家であるArthur Benison Hubbackの作品であり、ムーア様式とムガール様式のどちらをも感じる、これらとゴシック様式を融合したインド・サラセン様式デザインである。マレーシアのモスクの中でも一際モスクらしいデザインのモスクという印象だ。

Karadjoz Bey Mosque

Mostar, Bosnia and Herzegovina : モスタル・ボスニア ヘルツェゴビナ  1557年完成のオスマン様式のモスク。オスマン帝国支配下のモスタルで、数々の施設の建設を後援していたMehmed Bey Karadjozにより建てられその名を残した。建築の計画にはトルコの天才建築家ミマール・スィナンが携わっていたともいう。正面に3つの小ドームと大ドーム、鍾乳石状の装飾で支えられたバルコニーの付いた34.5mのミナレットをもつ。ボスニア内戦時にはミナレットも含めかなりの損傷を受けたが、修復された。礼拝堂内部は石灰岩で構成され、壁面の装飾は植物をデフォルメしたアラベスク模様でなく、実際の形状に近いままの植物類の絵が描かれている箇所もあり面白い。

Jamia Mosque -Hong Kong-

Hong Kong, Hong Kong : 香港・香港  香港島セントラルと高級住宅街であるミッドレベルの間に、「ミッドレベル・エスカレーター」と呼ばれる山の中腹を小刻みに区切りながら進むエスカレーターがある。その途中に現れる緑色に塗られた門をくぐりそれに続く階段を登ると、同じく緑色に塗られたこの古いモスクへとたどり着く。1849年に香港で最初に建造された原型のモスクは1915年にインドの建築家A. Abdool Rahimによって改築され現在の建物になった。その価値により香港政府の機関によって定められた香港の歴史的建造物リスト中で、1級の認定を受けた。

Al-Kautsar Polda Metro Jaya Mosque

Jakarta, Indonesia : ジャカルタ・インドネシア  ジャカルタ市内を貫くSudirman通り沿いの繁華街に、幾何学文様の透かしを彫り込まれた美しいミナレットとこげ茶色の文様の入ったドームを覗かせているモスクがある。向かいにはパシフィックプレイスという高級ショッピングモールがあり、そのさらにその背後は超高層ビルの立ち並ぶ商業地区だ。デザインは2本の33mのミナレットに挟まれた礼拝堂本体を、円を描く形にカーブした壁が囲み、その外側に文様のないシャープな円錐の17mの尖塔が立つという、独特の形状をしている。ドームはメインの銅製の大ドームと、4個の小ドームをもつ。細部にも渡って美しくデザインされており、インドネシアのモスクの中でもイスラミックアート性の強いモスクであると思う。

Baiken Mosque

Almaty, Kazakhstan : アルマトイ・カザフスタン  2014年に完成したアルマトイ市内はずれの交差点に立つモスク。名称は、旧ソビエト連邦時代のカザフスタン元首・バイケン・アシモフを偲んで付けられたという。金色に輝くドームと4本の高いミナレットをもち、建物は6階建てで3,000人を収容できる。外装はシンプルなベージュでアーチを支える柱には伝統的なカザフ文様も見られる。内装は全体に淡いグリーンを用いて、ミフラーブに外装と同様にカザフ文様を装飾にあしらっている。青く塗られたドームからはシャンデリアが釣り下がり華やかな印象だ。

Imeni Makhmuda Kashgari Mosque

Bishkek, Kyrgyzstan : ビシュケク・キルギスタン  2017年に完成した、2層の礼拝室で5,000人を収容するという、ビシュケクでも最大級のモスクである。11世紀にキルギスタンに住んでいたという言語学者、マフムード・カーシュガリーの名が付けられた。ファサードはクリーム色とこげ茶色のコントラストが美しい立体感のある植物文様のアラベスクで覆われている。デザインは東方アジアのイスラームとアラブのデザインを合わせ、石を切り出したそうだ。内装も植物文様をふんだんに使っていて、ドーム内側の格子状に区切られた文様は見事だ。

Iqbal Ud Daula Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  ムガール様式で建造されることが多いインドのモスクの中で、異彩を放つムーア様式建築のモスク。スパニッシュ・モスクという別名でも呼ばれ、ハイデラバードの貴族らとその一人Iqbal Ud Daulaによって建造が始まり、1906年に完成した。モスクの名にもなった彼がイベリア半島を旅行中に見たムーア様式建築に感銘を受け、それをインスピレーションにデザインされ造られたという。そのため、通常のモスクにあるような円柱形の高いミナレットやドームはなく独特な八角形の尖ったデザインの尖塔型のミナレットをもつ。

Muhammad Ali Mosque

Cairo, Egypt : カイロ・エジプト  カイロ市内の小高い丘の城塞(シタデル)の中に建つ、ムハンマド・アリー朝の初代君主の名をもつモスク。当時の影響からオスマン様式で建設されており、茶色の壁にメインドームとそれに段のように支える半ドームの白さがエジプトでは珍しい。イスタンブールの建築家Yusuf Bushnakの設計にて1848年に完成。ドームのほか、先端の尖った82mの2本のミナレットや中庭など、トルコ・イスタンブールの Sultan Ahmed Mosque を模して造られたのがよくわかる。外装は主に石灰岩と、下層と前面に帯状の模様が入る方解石のタイルを使っており独特の色合いがある。礼拝堂内のドームから下がるシャンデリアとそれを囲むランプ群は圧巻だ。

Sehidler Xiyabani Mosque (Martyrs Mosque)

Baku, Azerbaijan : バクー・アゼルバイジャン  バクー市内の小高い丘の上に近年2度のアゼルバイジャンで起きた戦乱の戦死者達が眠る「殉教者の小路」と呼ばれる墓地がある。この横に殉教者のモスク、と訳される名をもつオスマン様式のモスクが建っている。庭からはバクー市街やカスピ海を望むこともできる。トルコの支援によって1991年に完成していたが途中2009年より修繕のため長らく閉鎖され、2016年に再び門を開くこととなった。周囲には前述の墓地や公園、モニュメント、カスピ海側から登ってくるケーブルカーの駅もあり、多くの人々や観光客が訪れる。道路を挟んでバクーのランドマークとなる3本の超高層ビル「Flame Towers」があり、琥珀色のモスクの背後でビルのガラスが青い空と白い雲を反射させていた。

Al-Fateh Mosque

Manama, Bahrain : マナーマ・バーレーン  2本のミナレットとグラスファイバーでできたメインドームをもつ、7,000人を収容するバーレーン最大のモスク。初代君主の呼び名から命名された。外装と内装ともに、砂漠のベージュ色の石に、えんじ色をベースにした幾何学的文様のクーフィー書体でアクセントをつけている。淡い黄色の光線で染まる天井からは柱状の大きなシャンデリアが下がり、荘厳な雰囲気だ。モスクは異教徒の観光客を積極的に誘致しており、選任のガイドがついてモスクやイスラーム教について案内をしてくれる。案内が終わるころにちょうど礼拝の時間となったのだが、ガイドから見学をと勧められ、2階から信者が1列で行う礼拝を拝観した。通常のモスクでは規定時間内の礼拝を異教徒へ見せることはないので、珍しい経験であった。礼拝中の撮影をも構わないという、開放的な姿勢でイスーラムを紹介している希有なモスクであると思う。

Al-Irsyad Mosque

Bandung, Indonesia : バンドン・インドネシア  バンドン市長にして建築家であるモハマド・リドワン・カミル氏と彼の設立した建築事務所Urbaneによって2010年に完成した。1本のミナレットと1,000人を収容する礼拝堂をもつ。外観は想像しうるモスクとまったく異なり、ドームのない立方体からなり、外壁として積み上げられた2色のブロックでカリグラフィーを表現している。内装に於いてもメッカの方向を示すキブラの壁はなく、長方形に切り取られた空間となっており礼拝者は外から射す光と向かい合う。外装と内装ともに、白・黒・グレーの素材でほぼ統一されており、伝統的なイスラーム紋様などの装飾は見られない。

An-Nur Jamek Mosque

Bandar Labuan, Malaysia : バンダルラブアン・マレーシア  マレーシア・ボルネオの連邦直轄領であるラブアン島に、この宇宙船の発着場のような不思議な形のモスクがある。外装はほぼグレー、そして白、黒だけで構成されている。当初ラブアン島が属する旧サバ政府にて建設計画が始まったが技術的な事情で延期の後、ラブアンが直轄領となり連邦政府の元で1987年に完成したという。2本の管制塔のようなミナレット、鋸の刃状の文様が入るドーム、それを支える丸い膨らみをもったモスクの屋根、半円に切り取られた格子状の採光の窓、船のような直線的なカットの事務所棟(図書館などがあるという)、という近未来的な形状をしている。内部は外見と異なりターコイズブルー単色に塗られたドームに茶色の壁という構造だ。構造から天井が非常に高く見え開放的だが、色調から落ち着いた感じである。

Assyafaah Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  イスラームの伝統的な意匠を現代のアルミやガラスの組み合わせで表現した、ドームのないモダンな形状のモスク。2004年に完成した。湾曲した鋼で隙間を作りながら組み合わせたミナレットも、まるでオブジェのようだ。礼拝堂はコンクリートのアーチ状の柱で支えられており、イスラーム文様のスクリーンを通して柔らかい光が差し込む設計になっている。ミフラーブには大きな現代風の幾何学的で平面的なカリグラフィーのみが描かれ、ほかに装飾はない。壁に埋め込まれた装飾はミフラーブと異なり、浮き彫りで影の付く美しい筆の動きがあるカリグラフィーのみである。建物の内や外の一部分だけを切り取ってみると見るとまるで新しい空港や現代美術館にでもいるかようだ。ミニマムで現代的なモスクの新しい型を模索する、発展都市シンガポールらしいモスクであると思う。

Jame' Asr Hassanil Bolkiah Mosque

Bandar Seri Begawan, Brunei : バンダルスリブガワン・ブルネイ  ブルネイにある二つの国立モスクの内の一つで、4本の高さ58mのミナレットと5,000人を収容する礼拝堂をもつ。モスクは整備された公園のような広大な敷地に建てられている。噴水や熱帯の樹木に囲まれ、黒・グレー・青、そして合計29個ものドームの金色の配色で飾られており実に幻想的である。内装は白色を基調に大理石の柱・床、シャンデリア、ステンドグラスの小ドーム、エスカレータなどで構成されており、まるで宮殿の華やかさだ。残念ながらモスク内部は撮影は禁止となっている。メインの礼拝所は2階となるが白いドームに金色のカリグラフィが眩しく、息を呑む。