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Hayat Bakshi Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  ハイデラバード市内に行き渡るゴールコンダ王国時代のインド・イスラーム建築であり、ドームのない長方形の礼拝堂と角の2本のミナレット、5個のアーチと典型的・伝統的なその姿で建造された。ミナレットの上部や透かしの欄干がとても美しい。地面から台座のように一段高くなったところに中庭があり、礼拝堂は更に高く数段の階段の上に建つ。中庭は靴をはいたまま、階段の下で靴を脱ぐようである。アーチには柵と扉が付いていて、礼拝堂に内部を見ることはできなかった。モスクの中庭の周囲はぐるりと廃墟のような状態の放置された小部屋で囲まれていて、過去には旅人や巡礼者や商人の泊まるキャラバンサライであった。外部からのアクセスは小部屋の列の区切る美しいアーチの門からで、モスク中庭の左右と前にある。

Secretariat Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  Hussain Sagar Lake湖畔に近いSecretariat地区にある2023年に公開されたモスクである。開発で壊された「Masjid-e-Hashmi」と「Masjid Dafatir-e-Mautamadi」の2箇所のモスクの代替としてテランガーナ州政府によって新しく建造された。華美な装飾はなく、8角形の台座をもつ玉葱型のドームと純白の外壁が青い空によく映える。エントランスから礼拝堂への通路はゴシック建築で使われるバットレス(控え壁)が並ぶ、インドのモスクでは見かけない現代建築風の要素もある。中庭は通路を挟んで反対にあり、外からは見ることはできない。北端の礼拝堂・通路・エントランス・ミナレットと続く棟と離れて、南端に別棟のドームがある礼拝堂があり、前述の「Masjid-e-Hashmi」と旧名が壁に書かれている。

Toli Masjid / Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  ハイデラバード郊外に建つ、ゴールコンダ王国時代のインド・イスラーム建築の集大成のような美しいモスクである。規模としては市内中心の巨大な Makkah Masjid に比べれば大きくはない静かなモスクであるが、ファサードの5個のアーチと重厚な両端のミナレット、アーチ上部の漆喰の繊細な欄干や幾何学文様のスクリーン状の装飾など訪れる価値は非常に大きいと思う。モスクは嵩上げした長方形の台座に建ち、中庭に清めのための長方形の水場がある。内部の礼拝堂の天井は長方形で、その奥のミフラーブとは更に3個のアーチで区切られている。ドームはなく、ドームを模したような平面の装飾が見られる。

Jamia Mosque -Bangalore (Bengaluru)-

Bangalore (Bengaluru), India : バンガロール (ベンガルール)・インド  バンガロール旧市街に拡がる巨大な市場街にあり、バンガロールには大きなモスクが多いがこのモスクも市内最大級の大きさを誇っている。真っ白な大理石を使用し1940年に完成したと言い、混沌とした広場に立ちはだかるようにマッシブな姿を見せる。3個の玉葱型のムガール様式のドームに、層を成すバルコニーや多弁形アーチと林立するミナレットが起伏に富んで続いており、モスクの周囲をぐるりと巡っても飽きさせない。モスク外部の喧騒とは打って変わり、足を踏み入れると静寂の空間が拡がっていた。シャンデリアの下がるドーム直下の礼拝室へは入る人も少なくミフラーブに備わった灯りのみがついていた。案内をしてくれたスタッフは、礼拝の呼びかけであるアザーンを唱えるムアッジンと呼ばれる担当の男性で、マイクやアンプなどの設備のある部屋も少しだけ見せてもらえることができた。

Khadriya Mosque

Bangalore (Bengaluru), India : バンガロール (ベンガルール)・インド  頭上に赤銅色の玉葱型ドームを頂くムガール様式のモスク。デリーの Jama Masjid のように、イーワーンと呼ばれる庭に向う大きな開口部と空間をもち、その前面は金のカリグラフィーで装飾されている。左右両翼に伸びるストライプのアーチのバルコニーの端には、2本のミナレットが建つ。格子模様で飾られ頭頂部には小さなドームが乗っているのが見える。案内をしてくれた親切な男性は話好きで、一通り内部と庭を案内してくれた後、近所のムスリムが集まる立ち飲みカフェへ連れて行ってくれた。1981年完成とのことで内部は白、黒、ベージュ、金、赤銅と色調が整えられて、ドーム内側とミフラーブ上部の文様は共通しているなど、現代風にまとまった雰囲気である。緑が濃く椰子の生い茂る美しい庭園にモスクは建っており、憩いの場となってたくさんの人々が樹の下のベンチでのんびりと寛いでいた。

Muhyiddin Juma Mosque (Vizhinjam Mosque)

Kovalam, India : コヴァラム・インド  コヴァラム海岸沿いの入り江の突端にあり、モスクはインド洋と湾の両側を見渡せる高台に建っている。なぜかそのさらに突端側のすぐ隣にも、もう一つ少し小さな別のモスクが建っているという不思議な立地である。コヴァラムビーチで有名なランドマークの灯台であるVizhinjam Lighthouseを越えた漁村で、モスクの庭からは湾に沿ってたくさんの船が浜辺に並ぶのが見える。付近には小さな地元民向けの海鮮料理店などもあり、車で高台からの景色を見に来たインド人観光客らが幾組もいた。モスクはインド、スリランカ、ミャンマー辺りで見かける小さな商店が一体となった建物で、商店のある1階道路側からは階段を登り、門をくぐると庭になる。訪れた時間にはモスク2階の四角の窓が並ぶ部屋で授業があり、制服を着た子供達がたくさん入って来た。門に書かれた「Dargah Sharif」はローマ字転写の表記に揺れがあるが、インド国内で一般的にいうイスラーム神秘主義(スーフィズム)の廟を意味するのと思う。塗装は良くメンテナンスされていて、時折塗り替えられているのだが、色の組み合わせをその都度変えてしまっている。付近の街の名前から「Vizhinjam Mosque」とも呼ばれ、また商店の壁には「Muhiyideen」と書いてあったが一般的にはMuhyiddin Juma Mosqueと呼ばれているらしいので、それに倣った。

Palayam Juma Mosque

Trivandrum (Thiruvananthapuram), India : トリバンドラム (ティルヴァナンタプラム)・インド  トリバンドラム市中心地区の大きなモスクで、白いドームと40mの2本のミナレットをもつ。訪れたときはメンテナンス後であったのか、まだ完成したばかりのように曇りのないクリームの色合いを保っていた。モスクの創設は非常に古く、1813年のことだが、以降1967年に現在の姿に改築され現在に至る。インドで数々のモスクを手掛けている建築家であるDr. G. Gopalakrishnanの手によるデザインで、独学でモスクのデザインを始めた氏の最初の作品という。ムガール様式をベースにしたインド・サラセン様式で壮大なドームをもつ威厳のある美しいモスクをデザインすることでその後著名になった。ここでも紹介した同市内の Beemapally Mosque も彼の作品で、そのデザインとともに実はヒンドゥー教徒であることも驚きをもって迎えられたという逸話がある。現在における賞賛だけではなく、独自の解釈から過去には批判を浴びたりもした。この訪れた日、モスクの礼拝堂内は隣接する学校の小学生くらいの年齢の子供達でいっぱいで、外にいたスタッフにドームを見られるか確認し、中へ進んだ。

Beemapally Mosque

Trivandrum (Thiruvananthapuram), India : トリバンドラム (ティルヴァナンタプラム)・インド  ピンク色で彩られたこのモスクはトリバンドラムを訪れるインド人観光客の間でも有名らしく、ムスリムの拝観者以外にもおそらく外見・服装からヒンドゥー教徒も多数訪れていた。ここは神の力を持っていたとされるアラビアから布教に来たムスリマSyedunnisa Beema Beevi、もしくは地元ではBee Ummaとも、の霊廟でもある。モスクへの礼拝だけでなく、特に病を治す力があると信じられておりその参拝にも訪れる。市内はずれの海岸近くにあり、近くの空港へ着陸する寸前の飛行機の窓からもくっきりと見えた姿が映え、非常に印象的であった。1個のメインドームと3個のサブドーム、ミナレットは建物横エントランスにメインの2本と端のサブドーム側エントランスに4本をもち、典型的なムガール様式でデザインされている。

Bilal Mosque

Bangalore (Bengaluru), India : バンガロール (ベンガルール)・インド  伝統的なオスマン様式を新しく書き換えた独特のスタイルをもつモスクである。2015年に完成し、4階建てで6,500人を収容とバンガロールで最大級の大きさを誇っている。エントランスのアーチや2段バルコニーの鉛筆型ミナレット、4個の半ドームでメインドームを支える構造はオスマンの伝統的なデザインに則っている。しかし、装飾を減らして平面でドームを、直線でアーチを強調したアレンジでインドでは見かけることのない近未来的でもある雰囲気をもつ。モスク全体は白に近い薄いクリーム、ドームは艶のない薄いグレーで塗られ、縁取りとミナレットの縦ストライプに濃紺を使って直線的で引き締まった印象を与えている。オスマン様式のモスクなどは大抵そうであるが、こちらも外観と反対にドーム内側に手の込んだ装飾を施しており、四角に切り取られた吹き抜けのバルコニー越しに見上げる天井は万華鏡のようであった。

Nakhoda Mosque

Kolkata, India : コルカタ・インド  赤い砂岩の外壁の1万人を収容するコルカタで最大のモスク。3層に渡って続くバルコニーのアーチが美しい。ムガール様式で建造され3個のドームと2本の46mのミナレット、25本の小さなミナレットをもつ。行き交う車や人々で混み合う交差点に面した1階には店舗が入り賑わっている。西インドのイスラーム教徒のコミュニティのKutchi Memonsからの資金提供により、以前からあった小さなモスクは1926年に現在の形となった。デザインはムガール帝国時代のアーグラのアクバル廟を模したとされている。

Makkah Masjid / Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  インド中南部の主要都市ハイデラバードはイスラーム教徒が多く住む街だ。過去この地を統治したイスラーム系王朝であるゴールコンダ王国時代の建築が今も残っており、このモスクもその内の一つである。王国の創始者クリー・クトゥブ・シャーの命によって建設された。花崗岩と聖地メッカから運ばれたという土のレンガで造られ、1万人の礼拝者を収容できるハイデラバード最大のモスクだ。正面から眺めると角に2本のミナレットと5個の大きなアーチがあり、3面の計15個のアーチで礼拝堂を支えている。その名もメッカのGreat Mosqueに因んで付けられた。

Jama Masjid / Mosque

Delhi, India : デリー・インド  インドを代表するムガール様式のモスク。ムガール皇帝シャー・ジャハーンの命と建築家Ustad Khalilの手により1656年に完成した。赤い砂岩と白い大理石で建造され、3つの大ドームと2本の40mのミナレットをもつ。広く取られた中庭は2万5千人の礼拝者を収容するという途方もない規模である。内部の礼拝所に沿う細長い回廊を歩くことができ、高い吹き抜けと文様の入ったアーチが続く様は圧巻。料金を支払いミナレットに登ることも可能で、途中で巨大なドームを真横に見ながらミナレットへ向かうのであるが、なかなか他のモスクではできない体験だ。

Iqbal Ud Daula Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  ムガール様式で建造されることが多いインドのモスクの中で、異彩を放つムーア様式建築のモスク。スパニッシュ・モスクという別名でも呼ばれ、ハイデラバードの貴族らとその一人Iqbal Ud Daulaによって建造が始まり、1906年に完成した。モスクの名にもなった彼がイベリア半島を旅行中に見たムーア様式建築に感銘を受け、それをインスピレーションにデザインされ造られたという。そのため、通常のモスクにあるような円柱形の高いミナレットやドームはなく独特な八角形の尖ったデザインの尖塔型のミナレットをもつ。

Asfi Mosque

Lucknow, India : ラクナウ・インド  バラ・イマームバラと呼ばれるイスラームの複合建築群を構成する内の一つの建造物がこのAsfi Mosqueである。北インドの中都市ラクナウはインドの中でもイスラーム教徒が比較的多く、この場所以外でも周囲でイスラーム建築が多く見られる。このモスクはアワド太守時代のアーサフ・ウッダウラによってムガール様式で建造され、2本のミナレットと3個のドームをもち、雄大で見るものを圧倒させる。非ムスリムのインド人観光客も多数訪れていた。