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Al-Sultan Muhammad Thakurufaanu Al-Auzam Mosque

Malé, Maldives : マレ・モルディブ  モルディブの首都に造られたイスラミックセンターとも呼ばれる5,000人の収容人数を誇るインド洋地域では最大級のモスク。形状は至ってシンプルでモスクとしては特に特定の様式を主張するようなデザインではなく、放射状の光線のような文様が入った、イーワーンにも見えるエントランスの大きなアーチとカリグラフィー、背後に金色のメインドーム1個と2階のメインの礼拝堂へ地上から続く幅のある階段構成されている。建物向かって左に独立してミナレットが1本建ちっている。それは3段のバルコニーをもち、鋸の歯状のデザインを纏い角柱から8角形へ、そして頭頂部のドームへ変化するデザインだ。見たところ礼拝者は正面エントランスの階段は使わず、横にある1階事務所側から内部の階段からアクセスしている。内部の階段を上がり礼拝堂の前に建つと、廊下との透かし彫りの扉を隔て、正面に緻密な木彫りの巨大なミフラーブが視界に入る。管理事務所からは、礼拝者がいるので、礼拝堂内で撮影はしないでほしいとのお願いがあったので礼拝堂には立ち入らず。礼拝堂上部のドームは白く塗られたものだったが、工事中のようで、見学の様子を見ていた礼拝者から、なにやら雨漏りがあるようで直しているんだとのことであった。

Qassabtuly Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  ダッカ旧市街、オールドダッカの喧騒の中に緻密な花や果実のモザイクに囲まれた美しいモスクがあった。リキシャや人々が行き交う路地は狭く、商店が立ち並ぶ一角に突如として緻密な文様の散りばめられた壁が現れるので、最初にこれはモスクなのかと考えてしまう時間もないくらいであった。ドーム、柱、壁面の文様は同じくモザイクで飾られた有名な Tara Mosque(Star Mosque) と似ているが、こちらの方がより作り込まれているのとタイルを装飾に使用していない。あちらに比べてあまり有名ではないのではと思うのだが、やはり場所のせいか。路地からは玉葱型の月星文様の入った3個のドームを望むことができる。大きなキブラ壁の外壁側の下部分にはモスクの名称がローマ字・ベンガル文字・アラビア文字で、これも勿論モザイクで描かれ、ヒジュラ暦の1338 年(西暦で1919年)おそらく完成の日付が入っていた。現在は内部は増築されており、礼拝堂の前は大きな広間になっていて、礼拝室とは金の縁取りの入った5個の多弁形アーチで区切られている。さらにその奥は前述のTara Mosqueと同じように礼拝室をドーム側と区切る植物文様のアーチと壁、アコーディオン式の柵で仕切られている。柵は閉まり真っ暗だったが親切な門番が明かりを灯し、鍵を開けてドーム側へ入れてくれた。ドーム側の内装はとにかく煌びやかで白いセラミックタイルの一片もが砂糖の結晶のように輝いていてとても美しい。天井の真っ白なドームも際立つブルーのムガール調の縁取りで飾られている。機会があれば是非とも奥の礼拝室まで見て欲しい。

Hayat Bakshi Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  ハイデラバード市内に行き渡るゴールコンダ王国時代のインド・イスラーム建築であり、ドームのない長方形の礼拝堂と角の2本のミナレット、5個のアーチと典型的・伝統的なその姿で建造された。ミナレットの上部や透かしの欄干がとても美しい。地面から台座のように一段高くなったところに中庭があり、礼拝堂は更に高く数段の階段の上に建つ。中庭は靴をはいたまま、階段の下で靴を脱ぐようである。アーチには柵と扉が付いていて、礼拝堂に内部を見ることはできなかった。モスクの中庭の周囲はぐるりと廃墟のような状態の放置された小部屋で囲まれていて、過去には旅人や巡礼者や商人の泊まるキャラバンサライであった。外部からのアクセスは小部屋の列の区切る美しいアーチの門からで、モスク中庭の左右と前にある。

Tara Mosque (Star Mosque)

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  バングラデシュを訪れる日本人の間では、星の文様が散りばめられたドームと、礼拝堂を飾るなぜか富士山のタイルで有名なモスクとなっている。リキシャや人々が行き交うカオスのような旧市街・オールドダッカの真ん中にあり、細い路地をぐるぐると巡って辿り着く。非常に不便な場所ではあるが、旧市街は訪れることだけで観光のハイライトになるような場所なので、街まで来てしまえばそう難しくはない。モスクは低層の住宅やらアパートの続く路地が開けた、学校の校庭の隣にあり、モスク自体も大きな中庭があるので分かりやすい。ムガール様式で建造され、礼拝堂は長方形の1層で頭上に2個のメインドームと3個のサブドームを抱いている。煤けてしまっているが、青い星の文様から、Star Mosqueとも呼ばれている。ファサードは9個の多弁型アーチからなり、煌びやかな星と植物文様で装飾されている。よく近づいて見ると塗装ではなく、文様だけでなく無地の白い部分でさえもちろん、細やかなモザイクで造られているのがわかる。礼拝堂内部は細長い2部屋に壁とアーチで区切られていている。時間によってはアーチに据え付けられたフェンスが閉じられているようであるので、ドームとミフラーブのある側を見学したいのであれば礼拝時間過ぎの方がよいのかも知れない。内装も外壁と同じモザイクと、花柄のタイルで彩られていて、富士山のタイルもその一部にはめ込まれている。

Al-Sheikh Qasim Bin Muhammad Al-Thany Mosque (Hulhumale Mosque)

Hulhumalé, Maldives : フルマーレ・モルディブ  モルディブは言わずと知れたリゾートの群島であるが、基本的に外国人の滞在する高級リゾートと一般の住民の生活は隔絶されている。このモスクは土地の僅かなモルディブの国策として埋め立てを拡張している巨大な人工島フルマーレにある。島は首都マーレから船で15分程、陸路でも橋が本島から繋がっている。島の名からHulhumale Mosqueとも呼ばれており、商店などが並ぶ繁華街近くの木立の中に建つ。モルディブでも大きなモスクのひとつでもあり、モスクは円形で三角形の集合体からできた金色のドームが覆うように載った構造である。ミナレットは礼拝堂本体の建物から独、立して僅かに離れていて、頭頂部にはドームと同じような三角形の集合体のデザインの小さなドームがある。ブルーの床と白い三角形の繰り返す構造からの幾何学文様、三日月のような形状に切り取られた2階のバルコニーと大きな吹き抜けが織りなす空間が壮大で、ドームを外から見るのと内部は相当違った印象であった。

Sat Gambuj Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  ダッカのやや郊外に建ち、訪れ難い立地に建っているのではあるが、ダッカに現存する17世紀ムガール帝国時代のイスラーム建築として非常に価値のある存在であるかと思う。僅かな近隣の住民が礼拝と寛ぎに来ているくらいで他に観光客などは見かけず、静寂に包まれたモスクであった。外装は経年劣化が進んでいるのだが、ほぼ長方形の礼拝堂の中心にメインドームが1個、両脇に若干小さなサブドームが2個、長方形の4隅にのめり込むように接して8角形の塔状のドームの付きミナレットが配置されている。小さなスマートフォンのカメラでは上手く撮れなかったのだが、どこか高い位置から全体を俯瞰すると分かりやすいかと後で知った。頭上に合計で7個のドームをもち、ベンガル語でSat Gambuj Mosque=「7個のドームのモスク」と名付けられた。玉葱型ドームと、門と礼拝堂正面、ミフラーブにも多弁形アーチを配し、その時代の通り、ムガール様式で建造されている。礼拝堂のドーム内部は漆喰で白く塗られ、2層の塔状のミナレットの1階平面の天井も同じように白く、どちらも同じ漆喰のパターンで飾られている。

Secretariat Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  Hussain Sagar Lake湖畔に近いSecretariat地区にある2023年に公開されたモスクである。開発で壊された「Masjid-e-Hashmi」と「Masjid Dafatir-e-Mautamadi」の2箇所のモスクの代替としてテランガーナ州政府によって新しく建造された。華美な装飾はなく、8角形の台座をもつ玉葱型のドームと純白の外壁が青い空によく映える。エントランスから礼拝堂への通路はゴシック建築で使われるバットレス(控え壁)が並ぶ、インドのモスクでは見かけない現代建築風の要素もある。中庭は通路を挟んで反対にあり、外からは見ることはできない。北端の礼拝堂・通路・エントランス・ミナレットと続く棟と離れて、南端に別棟のドームがある礼拝堂があり、前述の「Masjid-e-Hashmi」と旧名が壁に書かれている。

King Salman Mosque

Malé, Maldives : マレ・モルディブ  1万人の収容人数を誇るモルディブ最大級の現代建築のモスク。ドームではない鋸の刃のような独特の錐状の屋根をもち、首都マレの人口ビーチ横に海を臨んで建てられている。サウジアラビアのSalman bin Abdulaziz Al Saud国王からの寄付で完成し、その名を冠した。最終的なデザインはトルコの建築事務所であるBütüner Architectsである。元々のデザインはマレーシアのNRY Architectsがモルディブ伝統建築をモチーフに創り上げたところ、建設の遅延から円錐形の屋根やイスラームの五行を表す5本のミナレットなどの要素を、トルコ側が引き継いで造られた(それについては後々揉めていることがニュースになった)。長らく開いているのかよくわからない状況であったのだが、2024年現在は礼拝所として開放されている。あまり大きく見えないが、6階建てでメインの礼拝堂は階段を登った2階にあり、その他会議場のような多目的ホールやと図書館などが付帯したイスラームの複合施設となっている。

Baitul Mukarram National Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  メッカの聖殿カアバを模した、4万人もの礼拝者を収容できる、首都ダッカを代表する巨大モスクである。全体のデザインは連続した尖頭アーチをモチーフに使い、ムガール様式も意識して造られている。1階もまた、ほぼ全てが巨大なマーケットになっており、商店で埋め尽くされているのには驚いた。運営事務所は1階にあるが、モスクや中庭などの礼拝の施設は全て台座上になった2階にある構造になっている。礼拝堂には3個のアーチとドームのあるポルティコが、メトロの走るTopkhana Road面した側と市場Bangabandhu Aveに向かう広大な中庭側の2箇所にある。角丸長方形のバルコニーが層になった礼拝堂上部にはドーム状の文様が入るが、実際はドームはなく礼拝堂の建物は正にカアバの様な直方体の形状である。通常の日々の礼拝でも、沢山の人々が礼拝堂内には入らずに、中庭で礼拝をしているのが見える。国立競技場に沿って中庭が造られているため、緩くカーブの続く、美しいフォルムのアーチで造られた回廊が続く。ミナレットは1本、中庭の一番端の重厚な巨大アーチのゲート側に建つ。完成は1968年、バングラディシュ独立前の東パキスタン時代の建築であり、設計はパキスタン人建築家の故Abdulhusein Meheraly Thariani氏。

Toli Masjid / Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  ハイデラバード郊外に建つ、ゴールコンダ王国時代のインド・イスラーム建築の集大成のような美しいモスクである。規模としては市内中心の巨大な Makkah Masjid に比べれば大きくはない静かなモスクであるが、ファサードの5個のアーチと重厚な両端のミナレット、アーチ上部の漆喰の繊細な欄干や幾何学文様のスクリーン状の装飾など訪れる価値は非常に大きいと思う。モスクは嵩上げした長方形の台座に建ち、中庭に清めのための長方形の水場がある。内部の礼拝堂の天井は長方形で、その奥のミフラーブとは更に3個のアーチで区切られている。ドームはなく、ドームを模したような平面の装飾が見られる。

Old Friday Mosque

Malé, Maldives : マレ・モルディブ  ディベヒ語では「Hukuru Miskiiy」と呼ばれており、モルディブ最古のモスクであり、マレの史跡となる歴史建築でもある。珊瑚石(石灰岩)でできたクリーム色の壁と石彫り、内部の緻密な深い茶色の木彫り、灯台のような形の太い円柱状の縞模様のミナレットと、特徴のある要素をもつ。モルディブの海を訪れる際、マレ市内を観光で巡る機会もあまりないかとも思うが、歴史建築に興味があるのならモスクの天井や柱や壁、ミフラーブ等のデザインはなかなかの見どころではないかと思う。修復とメンテナンスされているので外見からはあまり古さは感じないが、細部からは十分に長い歴史を感じられる。白い中庭には墓地と幾つかの歴代スルタンの霊廟が並び、モスクの礼拝堂は段々になった金属製の屋根の細長い建物である。起こりは1153年にスルタンであるMohamed Ibn Abdullahによってモルディブで初めてのモスクが造られ、その後現在のモスクの原型の建造が1656年に開始した。円柱状の大きなミナレットは1674年に完成し、以降モスクは幾たびか改装・修復されて今に至る。

Bait Ur Rouf Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  ミナレットやドームの無い、レンガを積み上げた現代建築のモスクがダッカ郊外にある。建造されたのは2012年、当時ではイスラームの伝統的な意匠を敢えて用いない、モダンでミニマムなデザインのモスクの先駆けであったであったと思う。レンガは積まれた壁の部分と、1段置きに斜めに隙間を作って入れ込んでいる部分があり、そこから光と風を取り入れる。モスクの礼拝堂は角度のついた正方形で、その周囲は円周で囲まれており、その外側をさらに外壁の正方形で囲んでいる。光と風は外壁からだけでなく、内部の湾曲した中庭状の吹き抜けと天井の4隅からも採られているので、中はレンガに囲まれた外側から見るよりだいぶ明るい。採光と通風も、できるだけ自然の力を利用しようとしているのがわかる。天井はドームは無いのだが台座上の天井があり、ランダムに開けられた丸い穴と前述の4隅から神秘的に光が注ぐ。ミフラーブは通常のモスクにあるような凹みはなく、キブラ壁にレンガで湾曲した壁に1本の隙間を作り、そこから直線の光が入るだけである。デザインはバングラディシュ人の女性建築家であるMarina Tabassum氏で、このモスクでアガ・カーン建築賞を受賞した。バングラディシュ国内で同じようなコンセプトでモスクや他建築のデザインもしており、レンガを積んだミニマムな美しい建築を見ることができる。

Jamia Mosque -Bangalore (Bengaluru)-

Bangalore (Bengaluru), India : バンガロール (ベンガルール)・インド  バンガロール旧市街に拡がる巨大な市場街にあり、バンガロールには大きなモスクが多いがこのモスクも市内最大級の大きさを誇っている。真っ白な大理石を使用し1940年に完成したと言い、混沌とした広場に立ちはだかるようにマッシブな姿を見せる。3個の玉葱型のムガール様式のドームに、層を成すバルコニーや多弁形アーチと林立するミナレットが起伏に富んで続いており、モスクの周囲をぐるりと巡っても飽きさせない。モスク外部の喧騒とは打って変わり、足を踏み入れると静寂の空間が拡がっていた。シャンデリアの下がるドーム直下の礼拝室へは入る人も少なくミフラーブに備わった灯りのみがついていた。案内をしてくれたスタッフは、礼拝の呼びかけであるアザーンを唱えるムアッジンと呼ばれる担当の男性で、マイクやアンプなどの設備のある部屋も少しだけ見せてもらえることができた。

Khadriya Mosque

Bangalore (Bengaluru), India : バンガロール (ベンガルール)・インド  頭上に赤銅色の玉葱型ドームを頂くムガール様式のモスク。デリーの Jama Masjid のように、イーワーンと呼ばれる庭に向う大きな開口部と空間をもち、その前面は金のカリグラフィーで装飾されている。左右両翼に伸びるストライプのアーチのバルコニーの端には、2本のミナレットが建つ。格子模様で飾られ頭頂部には小さなドームが乗っているのが見える。案内をしてくれた親切な男性は話好きで、一通り内部と庭を案内してくれた後、近所のムスリムが集まる立ち飲みカフェへ連れて行ってくれた。1981年完成とのことで内部は白、黒、ベージュ、金、赤銅と色調が整えられて、ドーム内側とミフラーブ上部の文様は共通しているなど、現代風にまとまった雰囲気である。緑が濃く椰子の生い茂る美しい庭園にモスクは建っており、憩いの場となってたくさんの人々が樹の下のベンチでのんびりと寛いでいた。

Al-Akbar Mosque -Colombo-

Colombo, Sri Lanka : コロンボ・スリランカ  このモスクの建つSlave Islandは、コロンボ市内のフォート地区からベイラ湖の運河を隔てた半島状の地区であり、長い植民地時代に連れてきた奴隷達を住まわせていたことからそう呼ばれている。ポルトガル時代からオランダ時代を経て、イギリス時代となる1859年にTalep Akbarと呼ばれた商人によって建立された。正面真ん中の大きなアーチ上部に欄干に隠れて上手く見えないがメインドームあり、バルコニー型の装飾付いた4本のミナレットがそれを囲んでいる。ベージュ色の重厚なコロニアル建築に聳えるシャープなミナレットのバランスが美しい。内部は思いのほか広く、いくつかの礼拝室があった。訪問時は広い駐車場にたくさんの車が停まっており、そのすべてではないであろうがたくさんの人が訪れていた。メインドームは一度入り口から入った後に廊下を伝い、見上げることができるが礼拝室上ではなく左右からの廊下と廊下が交わるアーチに囲まれた狭い真っ白な空間にある。然して重要な空間ではないのか、短い時間ではあったが滞在中に誰も来ることはなかった。

Muhyiddin Juma Mosque (Vizhinjam Mosque)

Kovalam, India : コヴァラム・インド  コヴァラム海岸沿いの入り江の突端にあり、モスクはインド洋と湾の両側を見渡せる高台に建っている。なぜかそのさらに突端側のすぐ隣にも、もう一つ少し小さな別のモスクが建っているという不思議な立地である。コヴァラムビーチで有名なランドマークの灯台であるVizhinjam Lighthouseを越えた漁村で、モスクの庭からは湾に沿ってたくさんの船が浜辺に並ぶのが見える。付近には小さな地元民向けの海鮮料理店などもあり、車で高台からの景色を見に来たインド人観光客らが幾組もいた。モスクはインド、スリランカ、ミャンマー辺りで見かける小さな商店が一体となった建物で、商店のある1階道路側からは階段を登り、門をくぐると庭になる。訪れた時間にはモスク2階の四角の窓が並ぶ部屋で授業があり、制服を着た子供達がたくさん入って来た。門に書かれた「Dargah Sharif」はローマ字転写の表記に揺れがあるが、インド国内で一般的にいうイスラーム神秘主義(スーフィズム)の廟を意味するのと思う。塗装は良くメンテナンスされていて、時折塗り替えられているのだが、色の組み合わせをその都度変えてしまっている。付近の街の名前から「Vizhinjam Mosque」とも呼ばれ、また商店の壁には「Muhiyideen」と書いてあったが一般的にはMuhyiddin Juma Mosqueと呼ばれているらしいので、それに倣った。

Meera Maccam Mosque

Kandy, Sri Lanka : キャンディ・スリランカ  キャンディ市内の商業地区の端、喧騒が途切れた辺りに建つ。敷地は道路から少し高台になった土地にあるため、街を抜けてモスクに着くと階段からモスクを見上げることになる。モスクに上がる階段真正面は線路が走っており、モスクに着くとちょうど、列車が走り抜けて行った。1824年に建造されたモスクの建物は長方形で、長い辺の側にミナレットやドームを模した装飾が繰り返し並ぶ特徴的なファサードをもつ。メインのミナレットやドームはなく、平面的な装飾を建物に貼り付けているような構造だ。 過去の資料を見ると、訪問時は白を基調に緑のアクセントを入れた塗装であったが、白とオレンジ、ほかにも緑の濃淡の組み合わせと、時折まったく違う色に塗り替えられている。訪れた時点では外壁の白さはくっきりしており、塗り替えられてあまり時間は経っていないようだ。内部は木製の扉とステンドグラスのアーチでいくつかの部屋で区切られており、立ち並ぶ窓からの柔らかい光に照らされていた。

Palayam Juma Mosque

Trivandrum (Thiruvananthapuram), India : トリバンドラム (ティルヴァナンタプラム)・インド  トリバンドラム市中心地区の大きなモスクで、白いドームと40mの2本のミナレットをもつ。訪れたときはメンテナンス後であったのか、まだ完成したばかりのように曇りのないクリームの色合いを保っていた。モスクの創設は非常に古く、1813年のことだが、以降1967年に現在の姿に改築され現在に至る。インドで数々のモスクを手掛けている建築家であるDr. G. Gopalakrishnanの手によるデザインで、独学でモスクのデザインを始めた氏の最初の作品という。ムガール様式をベースにしたインド・サラセン様式で壮大なドームをもつ威厳のある美しいモスクをデザインすることでその後著名になった。ここでも紹介した同市内の Beemapally Mosque も彼の作品で、そのデザインとともに実はヒンドゥー教徒であることも驚きをもって迎えられたという逸話がある。現在における賞賛だけではなく、独自の解釈から過去には批判を浴びたりもした。この訪れた日、モスクの礼拝堂内は隣接する学校の小学生くらいの年齢の子供達でいっぱいで、外にいたスタッフにドームを見られるか確認し、中へ進んだ。

Ketchimale Mosque

Beruwala, Sri Lanka : ベルワラ・スリランカ  ベルワラはコロンボからゴールへ向かう途中にある小さな漁港の街で、その港に突き出した岬の小高い丘に真っ白なモスクが建っている。街には1024年ごろからムスリムの商人達が訪れており、このモスクもスリランカ国内最古のうちの一つとしても知られている。モスクを囲む左右のテラスからはインド洋と港をそれぞれ望め、訪れた昼過ぎは参拝客なのであろうか、地元の人々がピクニックを楽しんでおり、絶好の観光スポットになっているようだ。小さなモスクの周りにはあまりに多くの人々がいて写真を撮ることが難しい位であった。モスクのある丘を登る手前は小さなビーチになっており、ここにもたくさんの人が憩いのときを過ごしていた。周りの喧騒を忘れたようにモスクの中は静寂で、窓の向こうには海が広がっていた。礼拝堂は黄色く塗られた壁と白いシンプルなミフラーブ、独特な黄色と白色の市松模様のフラットな天井をもち、窓からの光で照らされていた。モスク内部のドームのある側の部屋は、イエメンから来た王子であるAsh-Shaikh Ashraff Waliullahがこの地に移り住み死を迎え、それを弔う霊廟になっている。モスクの門番に案内をされ、少しだけ覗かせてもらうことができた。

Beemapally Mosque

Trivandrum (Thiruvananthapuram), India : トリバンドラム (ティルヴァナンタプラム)・インド  ピンク色で彩られたこのモスクはトリバンドラムを訪れるインド人観光客の間でも有名らしく、ムスリムの拝観者以外にもおそらく外見・服装からヒンドゥー教徒も多数訪れていた。ここは神の力を持っていたとされるアラビアから布教に来たムスリマSyedunnisa Beema Beevi、もしくは地元ではBee Ummaとも、の霊廟でもある。モスクへの礼拝だけでなく、特に病を治す力があると信じられておりその参拝にも訪れる。市内はずれの海岸近くにあり、近くの空港へ着陸する寸前の飛行機の窓からもくっきりと見えた姿が映え、非常に印象的であった。1個のメインドームと3個のサブドーム、ミナレットは建物横エントランスにメインの2本と端のサブドーム側エントランスに4本をもち、典型的なムガール様式でデザインされている。