Doha, Qatar : ドーハ・カタール ドーハ市内のやや郊外の住宅地に位置する、地元で愛されるような何気ないモスクであるのだが、実にフォトジェニックな水場のあるミナレットをもつ。モスクは2004年に完成、アラブ様式で1本のミナレットとメインドーム、それに中庭側の両脇に小さな2個のサブドームがあるシンプルなデザインである。特徴のある水場は目の前の通りからすぐに見え、赤・黄・緑、それにターコイズブルーの小さなタイルが色とりどりに並べられ、外側を同じターコイズブルーに金のカリグラフィーを描いた大きめのタイルが囲んでいる。少し残念なのは小さなタイルの一部が剥がれ落ちてしまっているのではあるが、それはご愛嬌。トルコ文化圏で見かけるような公共の飲用の水なのか手を洗うだけの場所なのかよくわからなかったが、礼拝前の清め(ウドゥ)の水場は中庭にきちんとある。モスクはコの字で囲まれるように3本の通りに面して建っていて、水場のあるミナレットとミフラーブのある裏側には小さなエントランスがあり、そのアーチをくぐると中庭に出る。中庭を区切る飾りのアーチを抜けると礼拝堂のドア、その向かいにはもう1本の通りへ出る大きな正門がある。デザインは最近ではAl Thumama Stadiumやカタール最大級の Imam Muhammad Ibn Abd Al-Wahhab Mosque(State Grand Mosque) などを設計した、カタールの建築事務所のAEB:Arab Engineering Bureauによるものある。アラビア半島だけでなく各地で大きなプロジェクトを建造しているが、このような無名といってはなんであるが小さなモスクも手掛けている。CEOでチーフの建築家はIbrahim M. Jaidah氏であるが、モスクの名前はJaidah Mosqueと名付けられている。
Banda Aceh, Indonesia : バンダアチェ・インドネシア インドネシアの中でも敬虔なムスリムの住む地域として知られるアチェ州の州都バンダアチェの歴史的なモスクである。原型は1612年に当時の王(スルタン)によって建造され、途中オランダ軍からの攻撃で損傷しその後再建された。その後の増築で現在、7個のドームと礼拝堂正面の庭に建つ1本の大ミナレット・7本の礼拝堂の小ミナレットで構成された現在の型となった。黒いタイルで覆われたドームと白い外壁が印象的なデザインでムガール様式の影響を受けている。礼拝以外にもムスリムの観光客が多数訪れていた。
Bangalore (Bengaluru), India : バンガロール (ベンガルール)・インド 頭上に赤銅色の玉葱型ドームを頂くムガール様式のモスク。デリーの Jama Masjid のように、イーワーンと呼ばれる庭に向う大きな開口部と空間をもち、その前面は金のカリグラフィーで装飾されている。左右両翼に伸びるストライプのアーチのバルコニーの端には、2本のミナレットが建つ。格子模様で飾られ頭頂部には小さなドームが乗っているのが見える。案内をしてくれた親切な男性は話好きで、一通り内部と庭を案内してくれた後、近所のムスリムが集まる立ち飲みカフェへ連れて行ってくれた。1981年完成とのことで内部は白、黒、ベージュ、金、赤銅と色調が整えられて、ドーム内側とミフラーブ上部の文様は共通しているなど、現代風にまとまった雰囲気である。緑が濃く椰子の生い茂る美しい庭園にモスクは建っており、憩いの場となってたくさんの人々が樹の下のベンチでのんびりと寛いでいた。
Kota Kinabalu, Malaysia : コタキナバル・マレーシア ボルネオ・サバ州の州都コタキナバルにある美しい水上モスクとして多数の観光客がここへ訪れる。マレーシアにいくつかある水上モスクと違い、このモスクは実際には浮かんでいるのではなく、人工池の水に囲まれるように造られている。2000年に完成し、ブルーの大ドームと小ドーム、4本のミナレットをもち、1万2千人の礼拝者を収容するサバ州の主要なモスクだ。直線的な構造の礼拝堂が水に写る姿は凛とした印象を与える。そのデザインはサウジアラビアのマディーナにある「預言者のモスク」にインスパイアされたものだという。