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Sharif Hussein bin Ali Mosque

Aqaba, Jordan : アカバ・ヨルダン  アカバ市内の中心にあるモスクで、1975年に完成したアラブ様式のモスク。モスクのエントランスは中庭を囲む回廊の一部で、そこから中へ入ると水場のある大きな中庭になっており、その先に礼拝堂のエントランスがある。中庭は天井に幕を張っており、日陰になっているが写真の撮影が難しく、訪問後は背後の高台へ向かっていく庭園側へ登り、全景の写真を撮った。長方形の礼拝堂は幅が随分と広く、天井には1個のメインドームを抱く。ミナレットは8角形で3段のバルコニーをもち、中庭に隅に建つ。ミフラーブ、ミナレット中段とドームの外装は鋸歯状の波線文様で装飾されている。モスクの名はオスマン帝国への蜂起、独立運動の指導者であり、現ヨルダン国王家の先祖でもある故Sharif Hussein bin Aliから採られている。

Yildiz Hamidiye Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  オスマン様式とネオゴシック様式の折衷でデザインされ、重厚な雰囲気のモスクの敷地内には同じ折衷様式の時計塔も建てられている。モスクはオスマン帝国のスルタンAbdul Hamid IIのために、アルメニア人の西洋建築一家Balyan家のSarkis Balyanによって造られたもので、隣接するスルタンの宮殿にも氏のデザインの邸宅が建つ。ドーム屋根自体だけはオスマン様式だが、ミナレットの先端、ゴシック様式のアーチ窓やファサードの冠のような3角形のオーナメントなど全体のシルエットは西洋的で、かと言って教会にも見えない絶妙なデザインである。礼拝堂のドームも少し変わっていて、すっくと立ちあがる4本のまっすぐな柱と多弁形アーチで支えられているのも特徴的。

Jamae Mosque (Chulia Mosque)

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  シンガポールのチャイナタウンの真ん中に2本のミナレットが目立つモスクが建っている。ミナレットは角柱型で、頭頂部には左右とも玉葱型ドームが載っている。周囲はショップハウスが立ち並ぶ、絵に描いたような中国系住民の世界であるが(これはシンガポール全体的にでもある)1ブロック向こう側にはヒンドゥー寺院が建ち、他民族国家らしい立地だ。元々は他あるシンガポールの古いモスクと同じくタミール系インド人ムスリムの移民が造ったものである。門は狭く、隣は道路を隔てる塀とブロック両端はショップハウスがあるため、敷地はあまり大きく見えないが、実は随分と奥深く、中に入るまではそれに気が付かなかった。礼拝堂はオレンジ色の瓦屋根のコロニアル風で、アーチの並んだ平屋建て。天井はフラットでドームはない。礼拝堂は大きく区切られていて、訪れた時は手前側で説教中で沢山の礼拝者が集まっていたが、奥のミフラーブのある側は使われていなかった。内装は全体に薄い緑色で、列柱が並ぶ。ミフラーブは鋭角の三角アーチの変わった形をしている。

Sheikh Zayed Mosque

Aqaba, Jordan : アカバ・ヨルダン  赤茶けた岩山を背後にし、真っ白なドームを抱くモスクが紅海を望んで立つ。街並みから外れて建つため、全く以て端正なアラブ様式のモスクのデザインが風景に相まって、静粛な雰囲気を醸し出していた。2012年に完成、設計はヨルダンの建築事務所であるDar Al Omranによるもの。デザインは2本の角柱型のミナレットと横長の長方形にメインドームと2個のサブドームが並ぶ。噴水のある中庭は長方形で、それをアーチのアーケードがぐるりと囲む。アーケードの頭上は小さなドームが並び、中庭と外庭への門と礼拝堂のエントランスの2箇所の頭上だけやや大きなドームが据えられている。礼拝堂内部は3個のドームごとにアーチで区切られ、内装は白、黒、金で統一され唐草調の植物文様が全面に使われている。ドーム内側も唐草調の白い緻密な植物文様に、差し色で金の葉が描かれていてキラキラとドームの窓からの陽を浴びて輝いていた。

Tuanku Mizan Zainal Abidin Mosque (Iron Mosque)

Putrajaya, Malaysia : プトラジャヤ・マレーシア  銀色に鈍く光るドームが無ければモスクであることもわからないかも知れない。まるでスタジアムのような全景をもつ巨大建築で、全体の構造の約70%を鉄が占め、「鉄のモスク」の異名をもつ。規模としてもマレーシアのモスクではシャーアラムの Sultan Salahuddin Abdul Aziz Shah Mosque 、通称ブルーモスクの次の大きさで最大2万3千人を収容するという。地上からはよく構造が見えないので、上階の庭園に上り、ファサードを真正面から見据える。繰り返すアーチと鉄のリブ・ヴォールト状の梁が絡みあうのはなかなか格好いい。設計はマレーシアの建築事務所のKumpulan Senirekaで近隣のPutra Mosqueも設計している。外見の特徴は他にもミナレットが無いことで、付き添いのガイドの青年によれば、もはや伝統の意匠に従わず現代の様々な要素、輸入した素材や技術でモスクを創り上げたとのことであった。ミフラーブは巨大なガラスからできており、ドイツから輸入されたものである。礼拝堂内部は装置に頼らない自然の換気を取り入れていて、涼しい風が循環しており、過ごしやすい。ガイドはマレーシア人ではなくガーナからの移住者で完璧な英語でユーモラスな建築やイスラームの解説をしてくれて、滞在時間を面白く過ごせたのでここに礼をしたい。

Selimiye Mosque -Istanbul-

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  オスマン帝国スルタンのSelim III統治時代に造られた、オスマン建築とバロック建築を融合した優美なデザインが特徴。円と格子を組み合わせた窓枠や曲線を用いた外壁、変則的なデザインのミナレット、礼拝堂のミフラーブのムカルナスも用いない曲線を使った彫刻のような装飾などが美しく幻想的である。ミンバルの壇上へ上がる階段、バルコニーにも彫刻や楕円や緩やかな曲線がデザインに用いられていて、古典的なオスマン様式とは異なっているのが見て取れる。アーチのアーケード上に西洋建築風の住居のような部屋が付属していたり、礼拝堂の尖塔にデコラティブな小さな鳥小屋が壁についていたり、他のオスマン時代のモスク建築との差異に趣きを感じる。場所が不便であるからか訪れる人は少ないようであるが(訪問時は誰もおらず)、大きなモスクの割に柵などの入場制限もないので細部の観察が容易である。

Kampong Pandan Mosque

Kuala Belait, Brunei  : クアラブライト・ブルネイ  ブルネイの石油開発の街であるSeriaから、国境の街Kuala Belaitへ向かう途中に巨大なモスクが建つ。玉子を切った形状をしたメインドームとアラブ風の2本のミナレットが遠くからも目立っていた。礼拝堂の4隅とエントランス上にドームの載った小さなミナレットが幾つも重なる。全体から見るとアラブ様式ではあるが、マレーシアやインドネシアのモスクにあるような斜面と8角形の台座でドームを支えており、マレー様式との折衷も見られる。ドーム内側は暗く線状の模様がかすかに見えたが、ほぼ装飾はないようだった。このデザインは、なぜかここからだいぶ離れた、バンダルスリブガワン首都側にあるPerpindahan Lambak Kanan Mosqueと内装も含め瓜二つである。事情はよくわからないが、単純にコピーして造っただけのようである。外装のメンテナンスには若干手が足りないようで、ドームが煤けてしまってはいるが、林立するミナレットのおかげでマッシブな印象を残し、周囲を囲む池と深い緑の樹々に映えている。池には鰐に注意の看板もあるところ、水トカゲが出てきて少し驚いてしまった。セリアやクアラブライトと、石油関連に興味があるか、国境越えでくらいしか来ることのなさそうな地域であるが来る機会があれば、訪れると面白いと思う。

Shahbeddin Pasha Mosque (Imaret Mosque)

Plovdiv, Bulgaria : プロブディフ・ブルガリア  ブルガリア中部のPlovdivに現存するモスクのひとつである。逆T字型のオスマン様式のモスクで、ポルティコに5個の小ドームと4箇所に区切られた礼拝堂の各々の頭上にドームを持つ。エントランスのホールから3方向に礼拝室があり、どちらも段差がついている。ミフラーブのあるメインホールは真正面で段差が大きく、木製の階段を登っていく。メインドームの装飾はムカルナス文様のみで内部は頭頂部のパターンが残されている以外ほぼ白く塗られている。全体の装飾はバロック調で、シャンデリアが下がるホールを区切るアーチのパターンが素晴らしい。修復中なのか途切れてしまったりはしている。ミフラーブ上のアッラーの名前を記したカリグラフィーでさえもバロック調のパターンを使っている。鉛筆型ミナレットは鋸歯状の波線が刻まれていてユニークなものである。小さなモスクであるが、見どころがまとまったモスクなのでDjumaya Mosque近辺まで散策に来たらここも外せない。

Abu Darwish Mosque

Amman, Jordan : アンマン・ヨルダン  丘陵を上がったその頂上側の端に建ち、モスク背後からはアンマン旧市街を眼下に望む。石を組んで白と黒のコントラストを作り出しているユニークな外装で有名でもある。ドームまでも石組みで菱型の幾何学文様で造られている。色の違う石組みでストライプ模様を表現するのは、近隣のレバノンやシリアの古いイスラーム建築でも使われており、レバント地域の伝統的な手法を取り入れている。全体にシャープな印象であるが、丸いステンドグラスの窓がアクセントになっている。ミナレットだけは鉛筆型のオスマン様式風のデザインであった。隣には学校が併設されていて、子供達の声は響いて来るのだが、モスクは門が閉ざされており、無人のようなので特に内部への訪問はせずに周囲から撮影したのみ。

Duli Pengiran Muda Mahkota Pengiran Muda Haji Al-Muhtadee Billah Mosque

Bandar Seri Begawan, Brunei : バンダルスリブガワン・ブルネイ  バンダルスリブガワンの水上家屋群にあるローカルモスクでブルネイ・ダルサラーム国のAl-Muhtadee Billah皇太子の名を冠している。モスクは実際は陸側に建造されているが、この集落はKampong Tamoi Tengahと呼ばれる場所で、ツーリストが頻繁に訪れる市街地の対面側にあるボートで渡る側ではない。著名な Omar Ali Saifuddien Mosque の横の河向こうに横へと広がる水上家屋群であり、日中は出歩く人もまばらな静かな地域であるが、なかなか立派なモスクである。近隣のマレーシア・サラワク州で見られるような、伝統家屋建築を模したであろうピラミッドのような段差のついた屋根をもつ。塔頂部にはグリーンのドームが映え、4隅には4本のミナレットが聳える。モスクの庭は円形に造られて、周囲をぐるりと回廊が巡り、8本の通路でモスクへアクセスするデザインになっている。

Little Hagia Sophia Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  レンガ造りではあるものの、鉛筆型ミナレットと典型的なドームとアーチのポルティコから一見オスマン様式建築にも見えるが、元は初期ビザンツ様式の東方正教会建築である。他ある正教会と同じように、オスマン帝国時代にモスクへと転用されている。元の名称はChurch of Saints Sergius and Bacchusであった。天井は16個に分割された8角形の傘型のドームを8本の柱とアーチで支えている独特な構造で、クリーム色とブルーで彩られた荘厳な礼拝堂を見ることができる。また、バルコニーを支える列柱は大理石で造られ、バルコニーの淵は植物文様と今でも古代ギリシャ文字が刻まれているのが見える。名称のトルコで表すと「小さなアヤソフィア」であるが、特にこの元正教会のモスクと、同じく元正教会の現 Hagia Sophia Grand Mosque とはあまり関係がないようで、見ての通り特に似ている雰囲気は正直言ってないのが実情である。ただ、ペンデンティブと呼ばれる正方形に載せた半球の一部を3角形状に切り取って、頭上にあるドームを支えるための構造はビザンツ様式で発展したもので、特に本家Hagia Sophiaのドーム構造が世界的に有名ではあるが、こちらには「小さな」と名を付けられてはいるものの、同じ構造のドームの建造は先行していた。そのリハーサルであったとも言われているところに価値は見いだせると思う。

Dzhumaya Mosque

Plovdiv, Bulgaria : プロブディフ・ブルガリア  ブルガリア中部の、第二の都市プロブディフに現存し現在もモスクとして信徒を集めている。首都ソフィアでは1箇所のみ残っているモスクであるが、プロブディフ市内では確認できただけで3箇所(うち1箇所は閉鎖中の可能性)があり、ここは市内最大級のもの。モスクのファサード1階側はオスマン様式の小さなドームが載るポルティコはなく、ほぼトルコ式のカフェが占めているユニークな構造である。モスクへはカフェのテラスに置かれた座席の間にある階段を登って行く。モスクは長方形で、カフェ東側にオスマン様式の鉛筆型のミナレットが1本建つ。デザインはバルコニーは挟んで下が格子で上がストライプで洒落ている。礼拝堂屋根には青銅色の伝統的なデザインの丸いドームが3個並び、それを挟み緩やかな傾斜のついた板チョコレートのような形の長方形のドームが合計6個側廊上に並んでいる。

Khan Mohammad Mridha Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  台座上の中庭に建つモスクの礼拝堂へは、地上で靴を脱ぎ、階段を登って上がり門をくぐり抜けて進むユニークなモスクで、ダッカに残る貴重な歴史建築でもある。雰囲気は同じくダッカ郊外にあるSat Gambuj Mosqueにも似ていて、同じムガール建築で造られており興味深いものであるが、アクセスの不便さのせいか見学に訪れる観光客を見かけることはなかった。礼拝堂の3個のドームはムガール様式のデザインで、中央がやや大きい玉葱型である。ドームの下もムガール様式の多弁形アーチのあるエントランスが各々あり、礼拝堂へ続く。外見はだいぶ煤けてしまっているが、内部は美しい白さを保ち、デザインはこれもまた前述のSat Gambuj Mosqueモスクに似ている。全体を地上の庭園広場から見上げると5m程の高さにあり、その下の台座には連なるアーチで飾られた廊下に小部屋がずらりと並んでいて、そこで暮らしていた人々がいたとのこと。中を見ることができたが、最近でも誰かが住んでいたような形跡があった。

Grand Husseini Mosque

Amman, Jordan : アンマン・ヨルダン  アンマンの旧市街に建つ市内最古のモスクであり、大きな広場に面し人々を集めている。ただし、現在の姿は修復されたもの。薄い砂のようなピンクとベージュの波打つストライプが美しい。ミナレットは2本。正面から入ると、実はその中が現在はガラスのフードで覆われた水場のある中庭になっており、正面玄関は回廊の一部であった。さらに奥へ進むと礼拝室が控えている。建物の後背は大きな市場になっているため普段でも賑やかな場所であるが、礼拝時間以外にはモスクは開かないようで、礼拝時には近隣からの信徒でごった返していた。内部への許可は貰えたのだが、中庭を越えてアーチにある礼拝室へは入らず。名称は同じく市内のモスクの名前になっている故Abdullah I初代国王の父である、故Husayn ibn Aliから採られた。

Bodrum Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  元はビザンツ様式で建造された十字形の礼拝堂をもつ東方正教会で、The Myrelaion churchと呼ばれていた。十字軍のラテン帝国による戦乱を辿り、その後のオスマン帝国の占領でにモスクに転換された。ミナレットだけはオスマン様式の鉛筆型のものを付け足されたものである。現在は修復され、内部は美しく保たれている。イスタンブールの典型的な中層ビルが並ぶ商業地域で坂の途中ではあるものの、モスクだけは更に高台に嵩上げされた場所に立ち、礼拝堂のある地上階の下に地下階があるような造りになっている。十字形の礼拝堂天井は4個の交差ヴォールトで造られ、その中心のドームは少し変わっていて、水の雫のような丸みを作る溝によって、南瓜型とも言うような形状になっている。その構造のバランスが美しく計算されているようで、光と影によって薄っすらと淡く浮き出ているので、トルコで典型的なオスマン様式にはない表現を見て取れる。教会を転用したモスクらしく、ミフラーブとそれに合わせて礼拝の列を表す絨毯のラインも身廊に対して斜めに角度がついている。

Yeni Mosque -Thessaloniki-

Thessaloniki, Greece : テッサロニキ・ギリシャ  ギリシャ北部の港湾都市に残る歴史建築で、ムーア、ゴシック、六芒星とイスラーム建築のドームが融合したような折衷のデザインが目を引く。重厚な設計はイタリア人建築家のVitaliano Poselli。オスマン帝国時代のテッサロニキで数々の建築作品を手掛けていた。元々はユダヤ人のイスラーム改宗者コミュニティのもので、オスマン帝国の終焉以降、ギリシャ時代には使われなくなってしまった。最近では倉庫として使われたり、展示などのイベント時に開放されたりしていたが、ようやくイード(ラマダン明けの祝祭)に開放され、教徒が礼拝に訪れることになった。ただし、現在はまた閉鎖してしまっているので、次の機会はまだ不明なである。市内から離れているのでここまで見学に来る人はいないかと思いきや、数組の観光客がわざわざ立ち寄っていた。情報では平日は開いているともあり、どうやら混乱しているようである。

Banya Bashi Mosque

Sofia, Bulgaria : ソフィア・ブルガリア  ソフィア市内一番の繁華街に建ち、礼拝時間だけでなく観光客の訪問でも賑わう伝統的なオスマン様式のモスク。オスマン帝国時代に数々のモスクを建造した天才建築家のミマール・スィナンが造った、バルカン諸国に現存する貴重な建築である。また、ソフィアでもおそらく唯一のモスクである。撮影にいつ行っても人混みや、そうでなくてもファサードに人が多くうまく写真を撮ることができなかった。ブルガリアは過去にオスマン帝国であった時代があるとはいえ、スラブ人の国家だけになぜこんなにも礼拝者を集めるのかとも思ったのだが、この国は意外に多民族国家で顔立ちを見てもトルコ系またはトルコ人の人口が多い様である。また、モスクの付近にはシナゴーグや正教会もあり、多様性を持つ地区でもある。モスクはそれほど大きくはなく、礼拝時はかなりの人混みになっていた。

King Abdullah I Mosque

Amman, Jordan : アンマン・ヨルダン  ヨルダン初代国王の名を冠した、アンマン市内の中心的なモスクであり、ブルーの幾何学文様が美しい。1989に完成、図書館や講義室などの設備を整えた複合施設で、博物館までも併設されておりモスク内部へ観光客も受け入れている。礼拝堂は表玄関から階段を登り、階上にある。8角形で上部をほぼ緩やかな傾斜のついたお椀のようなドームが占めている。中庭は正面から見ると階上のモスク後ろ側にある。礼拝堂の外壁や中庭のアーケード、特に2本のミナレットはドームの柔らかい印象と違い、コンクリート製のブルータリズム感で鍾乳石模様を表現しているようでなかなか面白いデザインである。

Al-Sultan Muhammad Thakurufaanu Al-Auzam Mosque

Malé, Maldives : マレ・モルディブ  モルディブの首都に造られたイスラミックセンターとも呼ばれる5,000人の収容人数を誇るインド洋地域では最大級のモスク。形状は至ってシンプルでモスクとしては特に特定の様式を主張するようなデザインではなく、放射状の光線のような文様が入った、イーワーンにも見えるエントランスの大きなアーチとカリグラフィー、背後に金色のメインドーム1個と2階のメインの礼拝堂へ地上から続く幅のある階段構成されている。建物向かって左に独立してミナレットが1本建ちっている。それは3段のバルコニーをもち、鋸の歯状のデザインを纏い角柱から8角形へ、そして頭頂部のドームへ変化するデザインだ。見たところ礼拝者は正面エントランスの階段は使わず、横にある1階事務所側から内部の階段からアクセスしている。内部の階段を上がり礼拝堂の前に建つと、廊下との透かし彫りの扉を隔て、正面に緻密な木彫りの巨大なミフラーブが視界に入る。管理事務所からは、礼拝者がいるので、礼拝堂内で撮影はしないでほしいとのお願いがあったので礼拝堂には立ち入らず。礼拝堂上部のドームは白く塗られたものだったが、工事中のようで、見学の様子を見ていた礼拝者から、なにやら雨漏りがあるようで直しているんだとのことであった。

Arap Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  以前、 Suleymaniye Mosque を訪れた時に「イスタンブールで一番素敵なモスクが、このモスクの向こう側にあるんだよ」とボランティアガイドの青年はそう教えてくれたことがあった。それがこのArap Mosqueで、金角湾を挟みほぼ真正面のKaraköy地区の雑居な低層ビルの並び建つ中に埋もれてしまいそうに建っている。確かに彼の言うとおり、イスタンブールでは見たことがないタイプの独特なモスク建築で、その言葉は頷ける。自身は一度訪れたモスクに撮り残しがあっても再訪するようなことは、きりがないのであまりしないのだが、初めて訪れた日は曇天で、室内は光が届かず神秘的ではあったがうまく撮影はできなかった。それから数年経ち、晴天の日を選んでもう一度来てみたのであった。案の定、木造の屋根やバルコニーが美しく映え、荘厳なモスクであることを再確認できた。モスクはローマカトリック教会のThe Church of Saint Dominicが原型と言われ、イスタンブールで主だったビザンチン様式でも、オスマン様式でもない3列の身廊をもつ長方形のゴシック様式で、珍しいものだと思う。トルコ語の名称の「Arap (Camii)」はアラブを意味する。キリスト教会を転換したモスクは得てして礼拝の軸がメッカからずれているものであるが、このモスクのミフラーブは壁の方向のままに据え付けられていた。レンガ造りの角柱のミナレットもまた美しく、ゴシック建築に後から尖塔を追加された。モスクは細い路地にあるのでミナレットに気が付きにくいが、1本の路地だけから正面に見上げることができるので必見である。