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Al-Shafei Mosque

Jeddah, Saudi Arabia : ジェッダ・サウジアラビア  Jeddah旧市街の歴史地区、Al Balad地区にある市内で最古ともいわれる歴史あるモスクである。旧市街は伝統的な格子を使った装飾が特徴の中層の建築群が立ち並ぶ地域で、その入り組んだ路地の中に隣り合ってミナレットが建っている。門をくぐり、モスクは通りより低い場所にあるため通常のモスクへの入場と違い階段を降りるのも珍しいが、すると中庭にある四角く開けた空間が広がっている。周囲と建築と違って平屋建ての建築様式は独特で、アラブ様式ではあるが原型は13世紀頃の建造、その後大規模な改築とのことで、中庭の木製の柱と梁、十字型の彫刻の装飾で支える2面のアーケードが美しい(以前の写真を見ると構造的には4面がぐるりと中庭を囲む回廊だが、現在はガラス窓がはまっており作り変えられた)。礼拝堂は列柱のアーチが整然と続き、中庭と同じ木製の天井にシャンデリアが輝く。暗く見えにくいが、ドームも木造である。現在はモスク全体のさらなる修復が終わっており、洗練されている中に初期イスラーム建築のプリミティヴな雰囲気も残っていて、個人的に見学したサウジアラビアのモスクの中では一番好きなタイプのモスクである。ミナレットはこのモスクの様式とまったく関係なく、エジプトで見られるような2段になった緻密なムカルナス装飾のバルコニー、柱が四角形から上部へ向けて八角形に、頭頂部が球状になったデザインだ。モスクが建つ前から別のモスクがあり、そのミナレットをそのまま使っているのか。年代もこのモスクの建造より古いそうで、確定できていないようである。モスクは開放されているかどうか、はっきりとわからなかったが、中庭はガイドが率いる観光客の団体や、おそらく個人的に訪れる観光客もみかけたのでおそらく中庭までは許可がなくとも入ることはできそうなので、旧市街探索の建築巡りのハイライトとしてお勧めする。

Al-Ghamamah Mosque

Madinah, Saudi Arabia : マディーナ・サウジアラビア  Al-Masjid An-Nabawi (Prophet's Mosque) 前の広場に建つサウジアラビアでは珍しいオスマン様式のモスクである。Madinahで最古のモスクのひとつともいわれるが何度も改築されているので原形は定かでない。オスマン・サウジ戦争で負けたサウード家の国家からオスマン帝国の治世下に移った際、オスマン様式に改築されて今に至る。名称はアラビア語の「雲」から、確かに名称のアラビア文字を削って検索すると雲が出てきた。雲の名は雨(雲)を呼ぶ祈願から取られたという。聖地を前に孤高の存在であるが、ムハンマドが祈りを捧げたことで高名で、礼拝者を集めている。黒い石造りのモスクというのもなかなかなく、格好いい。後ろから見るミフラーブ上のドームがメインドームの1個であり、他5個のドームが礼拝堂上に合わせて3個が2列、合計6個が礼拝堂上に並ぶ。ファサードのアーチで支えられたポルティコ上部にも、形状が異なるお椀を伏せたようなドームが5個あり、中央の1個は少し高くなっている。

Quba Mosque

Madinah, Saudi Arabia : マディーナ・サウジアラビア  Madinah市内中心からやや外れにある、イスラーム史上では最古とも呼ばれるモスクである。Madinahにおいて Al-Masjid An-Nabawi(Prophet's Mosque) に続く聖地にあたり、礼拝に訪れる信者で溢れている。モスクとして原形が完成したとさせるのは西暦622年、ムハンマドがマッカから迫害を逃れて、この街に移り住んだ年である。イスラーム暦はヒジュラ暦と呼ばれるがこの年がヒジュラ暦での「1年」になる。現在のモスクは再建されたものであり完成は1986年。サウジアラビアで多数の、Jeddahの King Saud Mosque もデザインしたエジプト人建築家のAbdel-Wahed El-Wakil氏によって造られた。デザインは重厚な長方形で建物の真ん中に大きな中庭がある。礼拝堂上に明かり取りの窓がついたメインドームは6個、うち1個が一際大きく造られ、小ドームが合計56個ある。4本のミナレットは礼拝堂4隅に建てられており、四角形の土台から上部へ向けて八角形、円柱と変化する。エジプトでよく見られる形状で、2段のバルコニーにムカルナス装飾が施されている。以前のモスクはミナレットが1本の古い画像で見る限りでは四角形の似た雰囲気のモスクだが、これは完全に壊されて再建された。

King Khalid Grand Mosque

Riyadh, Saudi Arabia : リヤド・サウジアラビア  第4代目のKhalid bin Abdulazizサウジアラビア国王の名を冠したリヤド最大級の大きさを誇る巨大なモスクである。訪問時は礼拝時間であったためか駐車場は礼拝者の車で一杯で撮影がうまくいかず、多くの信者を集めているのがわかる。車が多すぎて角度を見つけながら周囲を撮影し散策していると、車に乗った警備員に呼び止められた。撮影禁止であったのかと思いきや、「外で何をしているんだ、中を見ないのか?」と言われ、トランシーバーで中のスタッフへ連絡し玄関まで誘導されるという経験は今までにないものだった。それは着いてから僅か10分後の話で、その後は中庭と内部の案内と記念のお土産まで頂き、この見学の後には次のモスクへ行くと言うとタクシーを拾える場所まで車で連れていってくれたので至れり尽くせりで感謝。スタッフは全員フレンドリーでサウジアラビアのモスクの印象は大きく変わった。改宗する日本人も訪れているそうである。ランドマーク的な存在のモスクなのだが、外装は非常にシンプルなアラブ様式のモスクである。ドームは1個、ミナレットは1本のみで豪華絢爛さはなく質実剛健といった様である。デザインのアクセントとしてはエントランス、回廊、窓に多くのパターンの馬蹄形もしくは尖頭馬蹄形アーチを用いている。礼拝堂内部はそれに比べると優美な雰囲気で、緩やかな曲線の馬蹄形アーチでステンドグラスからの明かりのみで飾られたドームを支えている。ミフラーブは濃い茶色の木製で細やかな彫刻で飾られ、バルコニーも同じ木製で形状からRawashinと呼ばれるサウジアラビアの住居に使われる日除けのデザインを用いていると思われる。

King Saud Mosque

Jeddah, Saudi Arabia : ジェッダ・サウジアラビア  ジェッダ市内で最大級の大きさを誇る代表的なモスクで、5,000人の礼拝者を収容する。サウジアラビアで多くのモスクを造るエジプト人建築家のAbdel-Wahed El-Wakil氏の作品。ジェッダ中心部の市を縦に貫くメインストリートに面して建っている。白い壁と3個のドームをもつ美しいアラブ様式のモスクであるが、アラビアのモスクではあまり取り入れらないペルシア様式も取り入れている。イランや中央アジアのモスクで見られるような巨大なイーワーン、開口部を持っており、市内を北上して来ると威厳をもって立ちはだかるのが見える。若干歪みのある正方形の建物から大通り側に突き出しており、この通りに面する階段を登りこのイーワーンを通じて礼拝堂へ進む。開口部の上部は緻密なムカルナスと呼ばれる鍾乳石模様の装飾が施されている。更にその上には設計した氏のルーツへのオマージュであろうか、エジプトのマムルーク建築のモスクで見られる正方形から八角形に変化し、バルコニーが段になった重厚なミナレットが聳え立つ独特のデザインとなっている。

Al-Juffali Mosque

Jeddah, Saudi Arabia : ジェッダ・サウジアラビア  小さなドームが幾重と連なる美しいこのモスクは、Jeddah旧市街のAl Balad地区のそばにある。Lake Al-Arbaeenと呼ばれる紅海の入り江のような地形の湖のほとりに佇み、モスクの周囲は美しく整えられた公園となっている。モスクはおよそ長方形をしており、東南の隅に2段のバルコニーのついたミナレットが1本建つ。デザインはサウジアラビアでいくつものモスクを建てた高名な建築家のAbdel-Wahed El-Wakil氏である。氏はエジプト人で、元々は瀟洒な邸宅の設計をしていたのだが、同じJeddah市内の King Saud Mosque や、Madinahの Quba Mosque の再建など一見重厚なようでもあるがシンプルで優雅なアラブのデザインを使ったモスクを造ってきた。今回の訪問では内部は見ることができなかったのであるが、ドームはエントランス上に1個、礼拝堂に5列×5列が均等に25個並び、内部は16本の列柱のアーチで支えられている。

Sayed Al-Shuhada Mosque

Madinah, Saudi Arabia : マディーナ・サウジアラビア  Uhud Mountainを背後に建つ巨大なモスクで15,000人もの礼拝者を収容する。2本のミナレットに1個のドーム、ほぼ長方形の端正なアラブ様式のモスクであるが、雄大な赤茶色の岩山の崖によく映える。この地は「Uhudの戦い」と呼ばれる、マッカでの布教の迫害から逃れマディーナに移り住んだムハンマドと、敵対しそれを追うAbu Sufyan率いるマッカの軍が激しく戦いあった戦地の史跡でもある。そのため、モスク自体は近年2017年に新しく造られたものであるが、多数の礼拝者が訪れる聖地となった。ムハンマドらの率いるイスラーム軍はこの戦いでは負けてしまうのであるが、その後も戦いを繰り返し最後にはイスラーム軍はマッカへ侵攻し、勝利を遂げることになる。そして、降伏したAbu Sufyanはマッカでイスラームへ帰依することになるという逸話も残った。モスクの傍には戦いの殉教者を弔う墓地と、前にはArchers' HillもしくはJabal Al-Rumahと呼ばれるムハンマドが弓兵を配置したという小高い岩の丘がある。その丘をモスクを訪れた礼拝者達が登り、戦地を眺め記念撮影をしていた。

King Fahad Mosque

Jeddah, Saudi Arabia : ジェッダ・サウジアラビア  サウジアラビアや他の湾岸諸国では見かけることの少ないモロッコの建築様式でデザインされており、特に角柱型の2本のミナレットとピラミッド型の瓦屋根が目立つ特徴的なモスクである。他にも外壁の装飾にモロッコの伝統的なモスクで見られる多弁形アーチやエントランスの幾何学文様を彫り込まれた馬蹄形アーチ、幾種類かの繰り返す幾何学パターンで壁面を網目のように覆う「Sebka」と呼ばれる近辺では使われない装飾を用いている。ピラミッド型屋根をもつポーチにあるエントランスの木製のドアを開けると、正方形の中庭が広がる。それを四角く囲むアーチの回廊があり、その奥に更に礼拝堂への扉がある。アーチは細かい多弁形で、アーチ内部の曲線の面部分にも美しい装飾が施されているのが特徴だ。礼拝堂内部の装飾も、外装と同じく巨大な多弁形アーチと白い幾何学文様の壁に囲まれ、荘厳である。メインドームは外観では前述のピラミッド型の屋根としか見えないが、内部から見上げると明かり取りの窓のついた半球状になっていた。

Al-Masjid An-Nabawi (Prophet's Mosque)

Madinah, Saudi Arabia : マディーナ・サウジアラビア  ムスリムの聖地として1番目となるのがマッカ(メッカ)のAl-Masjid Al-Haramであり、2番目の聖地となるのがこのAl-Masjid An-Nabawiである。西暦では622年、預言者であるムハンマドがモスクとしてはイスラーム史上で2番目に建てたものだ(最初のモスクは同じマディーナの Quba Mosque とされる)。ムハンマドの安息の地とされ、本人ともう二人の墓があるために霊廟になっており、Prophet's Mosque、日本語では「預言者のモスク」とも呼ばれる。多神教がアラビア土着の宗教として存在していた時代に、イスラームの預言者としてマッカにいたムハンマドらが布教への迫害を避けてこの地に移り、イスラームのコミュニティを作ったところからこのモスクの歴史が始まる。元々は住居であったところで、最初は簡素な小さいモスクであったが、改装、修復、拡張に拡張を重ね巨大なモスクへ変貌した。現在の収容人数は100万人という規模で、周囲は聖地への礼拝者のためにホテルが林立し、マディーナの街はこの巨大なモスクを中心に環状の道路で囲むように造られている。ミナレットは10本あり1本を除いて、台座から正方形・8角形・円柱となる段階ごとに形状が変化し幾何学文様を彫り込んだマムルーク様式のデザインで改築され、それを更に模倣したモスクも多い。うち他より高さの低い1本だけがBab As-Salam Minaretと呼ばれ、先端がドームと同じく緑色に塗られた鉛筆型のオスマン様式を今でも残している。主なドームは2個あり、ムハンマドの霊廟上に緑色に塗られた大きなドームが、その隣に銀色に輝く少し小さなドームが配されている。また広大な中庭には礼拝者の暑さ避けのために巨大な傘型の覆いが立ち並ぶ。1日5回の礼拝の時間になると、「万」の規模の礼拝者が集まり広い中庭を埋め尽くす様子は圧巻で、まさに息を吞むばかりだ。

KAFD Grand Mosque

Riyadh, Saudi Arabia : リヤド・サウジアラビア  モスクにはとても見えないが紛れもなく、幾何学的なデザインの現代建築のモスクである。砂漠の薔薇と呼ばれる石がモチーフとのことで、鋭角を重ね合わせた結晶のような姿をしている。周囲はKing Abdullah Financial District (KAFD)と呼ばれる超高層ビルが林立する新しく開発された金融・多目的センターで、2階建てのモスクはビルに囲まれた谷間のような場所に2本のミナレットと共に立っている。2017年に完成、斬新な設計はサウジアラビアの建築事務所であるOmraniaによるもの。少しずつ角度を変えて眺めると形を変えていくのだが、正面からよりも少し小高い場所から見る方が砂漠の薔薇の鉱物感が出ているような気がする。薄いベージュの石と最低限の光を取り入れる細い窓の外装は冷ややかな印象で、灼熱の砂漠の国での合理性も見える。この地区の礼拝の中心になっているようで、たくさんの人々がひっきりなしに礼拝に訪れていた。中東の、特にサウジアラビアのモスクは保守的な印象であって見学が許可されると思っておらず、礼拝堂の内部も見ることができたことに感謝。内部は表から見る印象よりもずっと幅があって、端までが随分と遠く見える。インテリアデザインも従来のモスクとは違う近未来的な構造で、振り返ると天井から釣り下がる2階が見える。正面にガラスの輝くミフラーブと明かり取りのガラスにはカリグラフィー、その上にはイスラーム建築で使われるムカルナス装飾を模したパネルが淡く光る。厳かな空気に圧倒され立ちすくんでしまうほど美しいフォルムであった。

KAPSARC Mosque

Riyadh, Saudi Arabia : リヤド・サウジアラビア  リヤドのキング・ハーリド国際空港と市内を結ぶハイウェイの途中、その空港寄りにKing Abdullah Petroleum Studies and Research Center (KAPSARC)と呼ばれる広大なエネルギー研究施設がある。敷地は大きく研究部門と居住区に分かれ、研究所として故Zaha Hadid氏によるハニカムが細胞のように増殖したイメージの巨大施設が建造された。また、居住区は研究者やその家族のために外部から遮断された美しく壮大で安全なコミュニティがアメリカの建築事務所HOKによって造成された。HOKは世界中の都市で空港や公共施設、超高層ビル等を手掛けており、このモスクもそれに合わせてデザインされている。居住区の細長い公園のような場所に建ち、通常のモスクのイメージとは違う黒いガラスの立方体で造られて、ランダムな幾何学文様のモザイクが透けて見える。ミナレットは独立して横に立ち、礼拝堂と同じモザイクでデザインされている。周囲には水が張られ、礼拝者は小さな橋を渡って礼拝堂にアクセスする。この黒く見える立方体は何かというと、イスラームにおける第一の聖地メッカの聖殿カアバを模したものだとのことだ。珍しく撮影中に雨が降ってしまい、後述の理由で撮り直しできないため今回は青空の下で撮れないのは残念だが、少し暗めの画像で紹介することになってしまった。実はこの場所を紹介してよいものかと迷ったことがあり、それは居住区は公共の場所でなくモスクは居住者のためだけにあるもの、ということであった。知らずに訪問してしまい管理部門のスタッフの方々に大変な迷惑をかけてしまったが心優しく対応していただき、今回特別に撮影の許可を貰えることになった経緯があったのである。美しいモスクであり、せっかく撮影したのでやはり紹介はしたいが部外者のアクセスは不可の旨をお伝えする。居住区やカフェ、モスクの案内をしてくれた男性スタッフ、多数のスタッフの方々へ、実に感謝。

Al-Rahmah Mosque

Jeddah, Saudi Arabia : ジェッダ・サウジアラビア  ヨットクラブやレストランの並ぶJeddah Cornicheにあるモスク。礼拝堂と大きなドーム、回廊のアーチは海上の杭の上にありミフラーブは海上に突き出している。完全に水面上にあり、「Floating Mosque」との名でも知られている。Jeddahの観光アトラクションの紹介でもいつも上位にあり、保守的な中東のモスクでも半ば既成事実かのような感じで観光の目的で礼拝堂内部まで訪問できるようである。海岸側から桟橋を渡るとすぐに白い正8角形の礼拝堂、1本のムカルナスが施されたモスクが見える。モスクの周囲は大きくL字型にテラスの足場が組まれていて、モスク側の内周に1本と海側の外周に時折途切れながら1本、長い回廊が2重にある。アーチの頭上には1つのスパンごとに小さなドームが並んで続いており、礼拝堂にメインドームの1個以外にその数は52個ある。テラスの上は日除けのテントも張られている。礼拝堂内部は建物本体に対してドームの直径が大きく、ドアをくぐると明かり取りの窓から照らされた大きなドームとシャンデリア、6角形の幾何学文様にカリグラフィーが描かれた装飾が目に飛び来む。礼拝堂内の窓からは、薄っすらとオレンジ色になった穏やかな海が見えるのもなかなか趣きがある。