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Haji Muhammad Salleh Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  シンガポールの高層ビルが立ち並ぶビジネス街Shenton Wayが、巨大なコンテナ埠頭の手前でKeppel Rdにぶつかる辺りに小さな山がある。正確には小高い丘のようなものなのだが、Mount Palmerと呼ばれるこの山はシンガポールの市街地が途切れたはずれに突然現れる。それだけでなく、麓にモスクとその上に霊廟が建立されているという商業都市の都会ではなさそうな珍しい場所である。全体でHaji Muhammad Salleh Mosqueとは呼ばれるが、ドームのあるモスクに見えるにぶく光る建物が廟で、崖下のような場所に建つ白い建物がモスクである。隣には高速道路が走っており、山頂が同じくらいの高さになるようだ。モスクのある麓から廟へ行くには長い階段を上り、開け放れたドアをくぐると小さな何もない小部屋があり、そのカーテンの奥に廟と頭上にドームが見える。山頂で祀られているのは、Habib Nohと呼ばれたシンガポールのムスリムコミュニティ間で信仰される1866年に亡くなった聖人のひとり。モスクの名であるHaji Muhammad Sallehはモスクの原型を造ったHabib Nohの友人の名前である。モスクの礼拝堂には時間によるのであろう、人はいなかったが、この小さな廟には沢山の人が座り込んで、色とりどりの蘭の花で飾れれた聖人に祈りを捧げていた。モスク側にはドームがなく、屋根を支える白い柱と柱頭の金色の装飾に木製の梁と筋交いの武骨さが相まって凛とした印象だ。

Al-Islah Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  モスクはシンガポールのニュータウン、Punggol地区の公営集合住宅(HDBフラット)群の中に忽然と現れる。Punggolは元々マレー系が入植した村から始まっており、古いモスクがあったのだが取り壊されて、2015年にこの新しいモスクが完成した。緑に囲まれていて全貌がつかみにくいのだが、一番大きな礼拝堂、教育部門と全体の構造から少し斜めに角度がついた管理部門の3棟が繋がっている。最近のシンガポールで多く見かける現代イスラーム建築のモスクと共通して、ミナレットは象徴としての細い尖塔型のデザインである。このような現代風のモスクではドームは最近のシンガポールでは省かれていることが多いのだが、実はここには従来の天井を見上げるようなモスクのドームとは違う、こちらも象徴としてのドームが屋上にあってそれが見どころでもある。シンガポールの建築事務所であるFormwerkz Architectsによって設計された。モスクは「開放性」を銘打っており、物理的にも開放的で広く取られたエントランスからから障壁なくまっすぐに礼拝の方角へ向かう。礼拝堂は格子のスクリーンを通し光が差し風が流れて、屋外と室内の境界を感じさせない。一番奥のキブラ壁にはカリグラフィーが飾られ、上方は高く吹抜けになっていて空気の流れを作る換気塔のような役目を果たしている。ドームへは、1階からエレベータを上り教育部門の棟から礼拝堂の上層にかかる連絡通路を渡って向かう。礼拝堂の屋上が公園のようなコミュニケーションスペースになっていて、その1区画となる。中にはベンチがあり、その上に屋根状のドームがあるのだが、完全に覆っている構造ではない。ここも1階と同じように格子状にデザインされて、光や風が内部を通ることができる。今までモスクへ行くたびに見上げていたドームではなく、その中に入ることに意味を持たせているのであると思う。

Hajjah Fatimah Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  その名はモスク建造の土地を提供した実業家Hajjah Fatimah氏より取られ、女性の名がつくモスクは珍しいのではないかと思う。1846年に完成し、デザインはムーア様式と西洋建築の折衷で、ベランダのついた3段のミナレットは教会の尖頭を模しているようでもある。そのミナレットは全体を俯瞰すると心なしか傾いて見えるのであるが、錯覚ではなく本当に傾いており、工事でこれ以上倒れないように止めているとのこと。金色のドーム内部は淡い緑色で塗られ、尖塔形をした教会風でもある緑色のステンドグラスが明り取りにはめ込まれている。ファサードは市内に立ち並ぶショップハウスでも馴染みのオレンジの瓦屋根も覗かせており、実にいろいろな要素が感じられるモスクだ。

Al-Mukminin Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  シャープな扇形の屋根をもつ礼拝堂に金属の質感のある外装と、鋭角の屋根に沿って湾曲したモザイクが美しい現代建築のモスクだ。頭上をMRTが走るJurong East Central側は、いくつかの窓を除き鋭角の黒と銀の現代的に解釈したイスラームの幾何学パータンが繰り返されている。ミナレットは四角の金属のパネルをモザイク状に配置し、その側面は鋭角に切り取られた光と影を反射して見せる。Jurong East Street 21の交差点側では半円筒形のガラスのフォルムへと変化する。その後に独立して建つ礼拝堂が続いていて、不規則に切り取られた壁とも屋根とも意味をもつカラフルなアルミ製のスクリーンが大きな背景となっている。青、緑、黄色などのスクリーンは空や水や大地を表現し、光や影の影響で効果的にモザイクを表現している。デザインはシンガポールの建築事務所であるForum Architectsに拠るもので、シンガポールのモスクとしてはSembawang地区の Assyafaah Mosque も手掛けている。ここは礼拝の場としてだけでなく、学校や会議場などの施設も付随した地域のコミュニティセンターとなっている。モスクの原型は1987年に完成し、その後2006年の改装を経て現在は約4,500人を収容するモスクとなった。

Malabar Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  南インドのタミールや、ケララのマラバールと呼ばれる地域からの移民商人コミュニティによって運営されている1963年に完成したモスク。大通りの交差点に建ち、金色に輝く大ドームと3個のドームと8角形のミナレット、そしてブルーの外壁がよく目立つ。近くに寄ると壁は3色の白に近い薄いブルーから濃いブルーまで、そして金色の小さなタイルで緻密な幾何学文様のパターンで造り込まれているのがわかる。現在のタイル外壁に改修されたのは1995年のことで、完成当初のデザインはまだタイルで覆われておらず、クリーム色の壁で造られていた。ファサードのアーチをくぐると2階の礼拝室に続く階段があり、上りきると角屋根のメインの礼拝室になっている。階段はさらに3階まであり、登りきるとドームが見え、その真下にも小さな礼拝室があった。バルコニーのついた3階の回廊からは、2階の礼拝室を眺めることができる。

Abdul Gaffoor Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  シンガポールのインド人街、リトルインディア地区にあるユニークな外観のモスク。1859年にインド系イスラーム教徒が多かったこの街に木造のモスクが造られたのが始まりとなった。その後弁護士事務所の書記官であったShaik Abdul Gaffoor bin Shaik Hyderが老朽化したモスクの代わりとなる新しいモスクのために資金を作り、1907年に建設を始めさせた。完成したのは彼の死後の1927年となり、モスクにその名を残した。その歴史から1979年に国定記念物に制定されている。繰り返す星のモチーフを散りばめられた緑と黄色の外壁と、建物を囲むムーア様式の多弁式アーチが特徴。メインエントランス上には日輪型をした預言者のカリグラフィーが、屋上に林立したミナレットには月のモチーフが並んでおり、その対比が面白い。建物自体はムーア様式だけでなく、ムガールとゴシックを合わせたインド・サラセン様式のデザインを取り入れており、特に円柱や柱や壁の持ち送り装飾は古典的な西洋建築のデザインを感じる。玉葱型のドームが西洋風の欄干に囲まれているのもマルチカルチャーのシンガポールらしく、多様多彩で個性的なモスクであると思う。

Sultan Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  モスクの名称となった英領時代以前のジョホールの王Sultan Hussein Shahの命で、1824年にこの地Kampong Glamでモスクの建設が始まった。完成当時の1階建てのモスクから現在に至るまで数回の改築を経ている。現在の大きな姿の原型は1932年に完成し、以降2016年に施設は修繕され今に至る。デザインは当時から数々の歴史的な宗教・商業建築を手がけていたシンガポールの建築事務所Swan&Maclaren ArchitectsのDenis Santryによるもので、英領時代のインドのコロニアル建築で見られる、ゴシックとムガールを合わせたインド・サラセン様式を取り入れた。1975年には国定記念物として指定されている。金色のドームのすぐ下の黒く塗られた台座は、注意深く見ると凸凹になっている。そこにはガラス瓶がはめ込まれており、王が貧しい教徒でもモスクの建設に参加し貢献できるように瓶を寄付として集めた、という逸話が残っている。

Assyafaah Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  イスラームの伝統的な意匠を現代のアルミやガラスの組み合わせで表現した、ドームのないモダンな形状のモスク。2004年に完成した。湾曲した鋼で隙間を作りながら組み合わせたミナレットも、まるでオブジェのようだ。礼拝堂はコンクリートのアーチ状の柱で支えられており、イスラーム文様のスクリーンを通して柔らかい光が差し込む設計になっている。ミフラーブには大きな現代風の幾何学的で平面的なカリグラフィーのみが描かれ、ほかに装飾はない。壁に埋め込まれた装飾はミフラーブと異なり、浮き彫りで影の付く美しい筆の動きがあるカリグラフィーのみである。建物の内や外の一部分だけを切り取ってみると見るとまるで新しい空港や現代美術館にでもいるかようだ。ミニマムで現代的なモスクの新しい型を模索する、発展都市シンガポールらしいモスクであると思う。