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Jaidah Mosque

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  ドーハ市内のやや郊外の住宅地に位置する、地元で愛されるような何気ないモスクであるのだが、実にフォトジェニックな水場のあるミナレットをもつ。モスクは2004年に完成、アラブ様式で1本のミナレットとメインドーム、それに中庭側の両脇に小さな2個のサブドームがあるシンプルなデザインである。特徴のある水場は目の前の通りからすぐに見え、赤・黄・緑、それにターコイズブルーの小さなタイルが色とりどりに並べられ、外側を同じターコイズブルーに金のカリグラフィーを描いた大きめのタイルが囲んでいる。少し残念なのは小さなタイルの一部が剥がれ落ちてしまっているのではあるが、それはご愛嬌。トルコ文化圏で見かけるような公共の飲用の水なのか手を洗うだけの場所なのかよくわからなかったが、礼拝前の清め(ウドゥ)の水場は中庭にきちんとある。モスクはコの字で囲まれるように3本の通りに面して建っていて、水場のあるミナレットとミフラーブのある裏側には小さなエントランスがあり、そのアーチをくぐると中庭に出る。中庭を区切る飾りのアーチを抜けると礼拝堂のドア、その向かいにはもう1本の通りへ出る大きな正門がある。デザインは最近ではAl Thumama Stadiumやカタール最大級の Imam Muhammad Ibn Abd Al-Wahhab Mosque(State Grand Mosque) などを設計した、カタールの建築事務所のAEB:Arab Engineering Bureauによるものある。アラビア半島だけでなく各地で大きなプロジェクトを建造しているが、このような無名といってはなんであるが小さなモスクも手掛けている。CEOでチーフの建築家はIbrahim M. Jaidah氏であるが、モスクの名前はJaidah Mosqueと名付けられている。

Hamad International Airport Mosque

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  ドーハ空港ターミナルの真正面に、礼拝堂全体が半球状のドームになったモスクが建っている。ドーム全体は3角形の鏡面状のガラスパネルが組み合わされており、宝石にように角度ごとに太陽を明度の異なったブルーに反射させている。空港の旅客ターミナルビルの屋根は大きなうねりのなった起伏があり、波のようにダイナミックにエアサイドからランドサイドののファサードに向かって屋根が切れているのだが、その波の向こうにこのモスクがある。空港全体のデザインは建築物も景観も全てアメリカの建築事務所であるHOKが手掛けており、モスクは水滴をイメージしたものであるそうだ。落ちていく水滴というよりも、表面張力で球になった水のイメージなのだろうか。モスクの広場は大きく取られていて、空港を訪れた旅行者だけでなく、空港の関係者もたくさん礼拝に訪れていた。モスクの周囲は池がぐるりと囲っていて、礼拝堂の壁とそれを覆うパネルの隙間が一周する回廊になっていて歩くことができる。回廊から見上げると3角形のアルミのパネルが組み上げられていて、そこから離れて遠くからドームのガラスをよく見ると濃淡のパターンがあり、全ての光が内部へ透過しているのではないことがわかる。内部へは入れなかったのだが、モスクのエントランスから切り取られた一部分を見上げると、壁にあたる部分と屋根となるドーム部分の間にカリグラフィーがあり、およそのドームのパターンは想像できるが、やはり全体は見てみたかったと思う。

Katara Mosque

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  Katara Cultural Villageはドーハ市内中心からやや離れた、広大な総合文化施設で劇場や多目的ホール、商業施設などがあり、観光客を集めている。その施設の一部にブルー、パープル、ターコイズ、ブラウンの美しいセラミックタイルに覆われたモスクがある。モスクの名はその通り施設名から取られ、Kataraとは現在のカタールの語源である。ユニークなデザインのモスクで、特にカタールの伝統的なそれとは違っていて他ではみかけない。ほぼ全体が緻密な植物文様に装飾された直方体の礼拝堂に、3角形に突き出したアーチのエントランス、独立して立つモザイクのパターンで覆われたミナレット、礼拝堂背後のミフラーブはミナレットと同じ文様で美しく装飾されている。背後も見ごたえがあり、湾岸諸国のモスクでミフラーブまで丁寧に装飾を施されているのは珍しいと思う。またミフラーブの下面もエントランスと同じように3角形に造られていて対面でデザインを揃えている。内装もユニークで、デザインはイスタンブールの Şakirin Mosque の内装を手掛けたトルコ人女性の建築家Zeynep Fadıllıoğlu氏。トルコのデザイナーではあるけど、このモスクは様々なアラブの地方の文化とモダンをミックスするスタイルで構築したようだ。また、ミフラーブのデザインが大きな円で囲んだ金のカリグラフィーで、スタイルが日本の「書道」、と言った趣きなのが斬新。釣り下がる3重のシャンデリアのガラス球のシェイプも美しい。彫りのあるドームは9個並んでいて、小さなお椀を伏せたようなデザインなので外からでは天井のドームを見ることはできなかった。デザインの要素は多いのだが、全体を俯瞰して見ると美しくまとまっていてこれがその手腕なのかと感服。

Aspire Mosque

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  ドーハ中心部からやや離れた、Aspire Zoneなる広大な複合競技場施設のうちの一つとしてこのモスクは造られた。周囲はKhalifa Stadium、Aspire Dome、この地区のランドマークでもある高さ300mのThe Torch Dohaなどの錚々たる巨大な建造物が建ち、このモスクは決して大きくはないが、850人を収容する。背面から持ち上がり円柱で支えられたペン先の型状の5角形の屋根の鋭角の頂点が正面となり、丸みを帯びた礼拝堂のアクセントになっている。両脇に少し離れて左右高さの違う直線的な2本のミナレットが建つ。カタールのモスクは伝統的な意匠を好む感じがするがこのモスクはそうではなく、流線型の躍動感のあるモダンなデザインを取り入れ、周囲の競技状施設群との景観と調和を図っている。

Sheikh Abdulla Bin Zaid Al Mahmoud Islamic Cultural Center / Mosque

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  ユニークな螺旋状のミナレットをもつモスクとイスラームを紹介する文化センターからなる複合施設で講習会、アラビア語教室なども主催されている。いくつかの名で通っており、FANAR、Qatar Islamic Culture Centerとも呼ばれているが正式な名称はカタールのイスラーム学者の名から取られている。ミナレットのデザインはイラクのSamarraにあるGreat Mosqueのミナレットをモチーフにして造られたもので、周囲にあまり高い建物がないためにSouq Waqif周辺からはよく目立つ。夜間のライトアップは幻想的で、ドーハのランドマークとして記憶する観光客は多いと思う。1階は展示室となり、モスクや図書館、教室などの施設は階上にある。外観からはわからなかったが、内部の礼拝室の前はミナレットを見上げることのできる吹き抜けの中庭となっていた。

Msheireb Mosque

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  ドーハの古い市場を改装したSouq Waqifのすぐ隣はMsheireb地区と呼ばれる再開発地区となっている。ツーリストで賑わう商業地区であるSouq Waqifから通りを隔てわずかに離れただけであるが、静寂の中にミナレットと白い石造りの立方体で構成された美しい現代のモスクが佇んでいた。外観は非常にシンプルで、長方形の敷地の正面に幾何学パターンで装飾された門と、先端に向かって細くなる円柱形のミナレットがある。門をくぐると屋根のある廊下に挟まれた吹き抜けの中庭があり、泉の奥に礼拝堂への大きな扉が開いていた。扉は高く、円形がモチーフの金のパターンで覆われている。デザインはイギリスの建築事務所であるJohn McAslan + Partnersによる。外観は直線的な現代建築であるが、モスクとして非常にわかりやすい、余分な装飾をそぎ落とした基本の伝統的なモスクの構成であると思う。残念ながら内部は見学できなかったが礼拝堂内部は照明を使わず、文様による採光と遮光のデザインがされているとのことで、過去のカタールのモスクとのつながりもモチーフであるようだ。

Imam Muhammad Ibn Abd Al-Wahhab Mosque (State Grand Mosque)

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  色合いも形状もアラブの砂漠の城砦を思わせるような威容を誇るモスクで、2011年に完成した。イスラームの指導者の名を冠した国立モスクとしてカタール最大級の大きさを誇り、約1万2千人の礼拝者を収容する。広大な敷地に建設され、地上より1層持ち上がった広大な台座状のスペースに表庭とモスクが載っているような外観だ。表庭に面して、正門と左右の門をもつアーチの回廊が接しており、1本のミナレットが端に建つ。長方形の中庭を囲んでいる回廊の天井には65個もの小さなドームが据えられており、内部の装飾は緻密に造られていた。その奥にある礼拝堂にはメインとなる大ドームはなく、天井に規則的に28個のドームが並んでいるという独特な構造となっている。装飾のないすべてのドームに連続して、シャンデリアの光が淡く映る姿は荘厳であった。

Education City Mosque

Al-Rayyan, Qatar : アル ライヤーン・カタール  ドーハ郊外のアル ライヤーン地区に、カタール財団によって設立されたEducation Cityと呼ばれる大学などの複合教育地区が建設された。その広大な敷地に忽然と巨大なモスクが現れる。最初に目に入ったのは三角形の平面的なパネルで構成された、白い緩やかな曲線をもつ外観であった。周囲に沿って歩くと突然パネルは立体感をもち、丸みを帯びた生物のような躯体に変化する。今まで見ていた平面はまるでその断面であった印象だ。面は柔らかな曲線を造りながら徐々に高度を下げ、やがてシャープなデザインの斜めの2本のミナレットになるという斬新なデザインだ。どこを見ても同じ要素がない、連続した曲線が優美な設計はイギリスとスペインに本拠を置く建築事務所であるMangera Yvars Architectsによる。外装だけでなく、浮き彫りされたクルアーンで飾られた中庭を囲むガラスの壁や、吹き抜けの階段、1,800人を収容する真っ白なドーム状のメインの礼拝堂と金色の立体的な三角形の輝くミフラーブなど、見所が多い。内部は教室などをもつ複合施設になっており、先に見た外観と内部の構造を比較しながらほぼ全体を歩くことができる。