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Qassabtuly Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  ダッカ旧市街、オールドダッカの喧騒の中に緻密な花や果実のモザイクに囲まれた美しいモスクがあった。リキシャや人々が行き交う路地は狭く、商店が立ち並ぶ一角に突如として緻密な文様の散りばめられた壁が現れるので、最初にこれはモスクなのかと考えてしまう時間もないくらいであった。ドーム、柱、壁面の文様は同じくモザイクで飾られた有名な Tara Mosque(Star Mosque) と似ているが、こちらの方がより作り込まれているのとタイルを装飾に使用していない。あちらに比べてあまり有名ではないのではと思うのだが、やはり場所のせいか。路地からは玉葱型の月星文様の入った3個のドームを望むことができる。大きなキブラ壁の外壁側の下部分にはモスクの名称がローマ字・ベンガル文字・アラビア文字で、これも勿論モザイクで描かれ、ヒジュラ暦の1338 年(西暦で1919年)おそらく完成の日付が入っていた。現在は内部は増築されており、礼拝堂の前は大きな広間になっていて、礼拝室とは金の縁取りの入った5個の多弁形アーチで区切られている。さらにその奥は前述のTara Mosqueと同じように礼拝室をドーム側と区切る植物文様のアーチと壁、アコーディオン式の柵で仕切られている。柵は閉まり真っ暗だったが親切な門番が明かりを灯し、鍵を開けてドーム側へ入れてくれた。ドーム側の内装はとにかく煌びやかで白いセラミックタイルの一片もが砂糖の結晶のように輝いていてとても美しい。天井の真っ白なドームも際立つブルーのムガール調の縁取りで飾られている。機会があれば是非とも奥の礼拝室まで見て欲しい。

Tara Mosque (Star Mosque)

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  バングラデシュを訪れる日本人の間では、星の文様が散りばめられたドームと、礼拝堂を飾るなぜか富士山のタイルで有名なモスクとなっている。リキシャや人々が行き交うカオスのような旧市街・オールドダッカの真ん中にあり、細い路地をぐるぐると巡って辿り着く。非常に不便な場所ではあるが、旧市街は訪れることだけで観光のハイライトになるような場所なので、街まで来てしまえばそう難しくはない。モスクは低層の住宅やらアパートの続く路地が開けた、学校の校庭の隣にあり、モスク自体も大きな中庭があるので分かりやすい。ムガール様式で建造され、礼拝堂は長方形の1層で頭上に2個のメインドームと3個のサブドームを抱いている。煤けてしまっているが、青い星の文様から、Star Mosqueとも呼ばれている。ファサードは9個の多弁型アーチからなり、煌びやかな星と植物文様で装飾されている。よく近づいて見ると塗装ではなく、文様だけでなく無地の白い部分でさえもちろん、細やかなモザイクで造られているのがわかる。礼拝堂内部は細長い2部屋に壁とアーチで区切られていている。時間によってはアーチに据え付けられたフェンスが閉じられているようであるので、ドームとミフラーブのある側を見学したいのであれば礼拝時間過ぎの方がよいのかも知れない。内装も外壁と同じモザイクと、花柄のタイルで彩られていて、富士山のタイルもその一部にはめ込まれている。

Sat Gambuj Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  ダッカのやや郊外に建ち、訪れ難い立地に建っているのではあるが、ダッカに現存する17世紀ムガール帝国時代のイスラーム建築として非常に価値のある存在であるかと思う。僅かな近隣の住民が礼拝と寛ぎに来ているくらいで他に観光客などは見かけず、静寂に包まれたモスクであった。外装は経年劣化が進んでいるのだが、ほぼ長方形の礼拝堂の中心にメインドームが1個、両脇に若干小さなサブドームが2個、長方形の4隅にのめり込むように接して8角形の塔状のドームの付きミナレットが配置されている。小さなスマートフォンのカメラでは上手く撮れなかったのだが、どこか高い位置から全体を俯瞰すると分かりやすいかと後で知った。頭上に合計で7個のドームをもち、ベンガル語でSat Gambuj Mosque=「7個のドームのモスク」と名付けられた。玉葱型ドームと、門と礼拝堂正面、ミフラーブにも多弁形アーチを配し、その時代の通り、ムガール様式で建造されている。礼拝堂のドーム内部は漆喰で白く塗られ、2層の塔状のミナレットの1階平面の天井も同じように白く、どちらも同じ漆喰のパターンで飾られている。

Baitul Mukarram National Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  メッカの聖殿カアバを模した、4万人もの礼拝者を収容できる、首都ダッカを代表する巨大モスクである。全体のデザインは連続した尖頭アーチをモチーフに使い、ムガール様式も意識して造られている。1階もまた、ほぼ全てが巨大なマーケットになっており、商店で埋め尽くされているのには驚いた。運営事務所は1階にあるが、モスクや中庭などの礼拝の施設は全て台座上になった2階にある構造になっている。礼拝堂には3個のアーチとドームのあるポルティコが、メトロの走るTopkhana Road面した側と市場Bangabandhu Aveに向かう広大な中庭側の2箇所にある。角丸長方形のバルコニーが層になった礼拝堂上部にはドーム状の文様が入るが、実際はドームはなく礼拝堂の建物は正にカアバの様な直方体の形状である。通常の日々の礼拝でも、沢山の人々が礼拝堂内には入らずに、中庭で礼拝をしているのが見える。国立競技場に沿って中庭が造られているため、緩くカーブの続く、美しいフォルムのアーチで造られた回廊が続く。ミナレットは1本、中庭の一番端の重厚な巨大アーチのゲート側に建つ。完成は1968年、バングラディシュ独立前の東パキスタン時代の建築であり、設計はパキスタン人建築家の故Abdulhusein Meheraly Thariani氏。

Bait Ur Rouf Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  ミナレットやドームの無い、レンガを積み上げた現代建築のモスクがダッカ郊外にある。建造されたのは2012年、当時ではイスラームの伝統的な意匠を敢えて用いない、モダンでミニマムなデザインのモスクの先駆けであったであったと思う。レンガは積まれた壁の部分と、1段置きに斜めに隙間を作って入れ込んでいる部分があり、そこから光と風を取り入れる。モスクの礼拝堂は角度のついた正方形で、その周囲は円周で囲まれており、その外側をさらに外壁の正方形で囲んでいる。光と風は外壁からだけでなく、内部の湾曲した中庭状の吹き抜けと天井の4隅からも採られているので、中はレンガに囲まれた外側から見るよりだいぶ明るい。採光と通風も、できるだけ自然の力を利用しようとしているのがわかる。天井はドームは無いのだが台座上の天井があり、ランダムに開けられた丸い穴と前述の4隅から神秘的に光が注ぐ。ミフラーブは通常のモスクにあるような凹みはなく、キブラ壁にレンガで湾曲した壁に1本の隙間を作り、そこから直線の光が入るだけである。デザインはバングラディシュ人の女性建築家であるMarina Tabassum氏で、このモスクでアガ・カーン建築賞を受賞した。バングラディシュ国内で同じようなコンセプトでモスクや他建築のデザインもしており、レンガを積んだミニマムな美しい建築を見ることができる。