その名となったSultan Mehmet II Al-Fatihの命よって建設され1461年に完成した。トルコ政府機関の援助により修復されている。「皇帝=Mbretitのモスク」との別名もあり、プリシュティナでは一番の大きさである。オスマン様式で建造され、鉛筆型の1本のミナレット、1個の大ドームと入り口のポルティコ(柱廊玄関)上に3個の小ドームをもつ。ファサードの2枚の窓だけは丸く愛嬌がある。モスク全体の装飾として主に反復する青い植物文様が描かれている。
ロケーション:プリシュティナ市内中心の繁華街であるMother Teresa Boulevardの北端の先、旧市街の中にある。プリシュティナは大きな街ではないので、市内中心の滞在であれば大抵の場所から徒歩で訪ねることができる。
Dubai, United Arab Emirates : ドバイ・アラブ首長国連邦 Dubai International Financial Centre (DIFC)は何棟にも及ぶオフィスタワーが連結した複合施設である。各々が連結しており、そのうちのGate Avenueと呼ばれるショッピングモールの屋上にあたる中庭に、ビルを背景に現代建築風の白いモスクが佇んでいる。まさかモールの屋上にモスクがあるというシチュエーションが分からず、訪れた時は地上の通りから周囲を探し、頭上遥か上にミナレットとそれらしき建物が見えた時は驚いてしまった。Gate Avenueのランドスケープは、世界各国で超高層建築や巨大施設を設計するイギリスの建築事務所であるRMJMが手掛けている。同じくモスクもRMJMによって設計されており、壁はガラスとそれを覆う斜めにカットされた白いパネルで覆われている。覆いはミナレットと同じく穴の開いたイスラーム文様で、アラビア半島の中層住宅建築で見かけるマシュラビヤと呼ばれる窓の覆いをヒントにデザインされたとのこと。換気と採光とプライバシーの守秘を同時に行う機構で彫刻や格子で飾られているものであるが、伝統建築を現代建築にミックスして甦らせるアイデアは面白いと思う。
Johor Bahru, Malaysia : ジョホール バル・マレーシア 重厚な英領コロニアル建築のモスクが、シンガポールとの海峡を見下ろす小高い丘に建っている。寄棟造りの大きな屋根をもつ礼拝堂にメインドームはなく、天井はフラットである。礼拝堂は長方形で左右対称であるが、建物自体は庭を前から見て左側が長い。ミナレットは4本あり、うちメインの2本はファサードと裏庭の側玄関の礼拝堂に張り出している。大きなアーチで車寄せを造り、その上に小さなドームの載った8角形のミナレットが建つ。最上階には丸い窓、ドームには冠のようにキューポラが載り、ミナレットらしかなるイギリスの時計台風の荘厳なデザインであるが、インドのムガール・ゴシック建築の折衷も感じられる。礼拝堂への訪問はできなかったが、開いたドアから金色の天井を少しだけ見ることができた。名称となったSultan Abu Bakarはイギリスのビクトリア女王と関連が深く、その治世である、ビクトリア時代に影響された建築がジョホール州に多く造られており、このモスクもその影響下にある。その名を冠したモスクが完成したのは1900年のことであるが、本人は完成を待たず滞在中のイギリスで亡くなっている。
Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ Monastery of the Pantokratorという修道院の複合施設を転用した、イスタンブールのビザンツ様式建築の中ではHagia Sophiaに続き、2番目に大きいモスクである。庭正面から見ると左右非対称なのは、1棟と2棟の増築された教会が平行に建ち統合されたためで、向かって左から南棟のChurch of Christ Pantocrator、中棟のChapel to St Michael、右が北棟のChurch of the Theotokos Eleousaである。多くの皇帝が埋葬されたため、真ん中は皇帝の霊廟などとも呼ばれる。南北の教会は、ビザンツの正教会建築である四円柱式内接十字型で造られた。礼拝堂上のドームは南北に1個、真ん中に2個、それぞれ違う規模で違う文様で装飾されている。南棟のエントランス側にもう1個ドームがあるが、1階から構造上見られることができなかった。各々の礼拝堂は正教会で見られる礼拝堂へ入れない者のためのナルテックスと呼ばれる細長い通路状の構造で接続されており、また、もうその外側がアウターナルテックスが出っ張りのようになって南棟と中棟を接続している。ミナレットはナルテックス側、エントランス側に建つ。ビザンツ帝国時代の教会、霊廟から一時的にラテン帝国時代の宮殿、オスマン帝国の侵攻後にマドラサ、モスクとなりその後は放置され外壁は崩壊が始まるほど荒廃してしまったが、その長い歴史に渡る建築の意匠は綿密に調査されて現在は美しく修復されている。
Kuala Terengganu, Malaysia : クアラトレンガヌ・マレーシア クアラトレンガヌにあるイスラーム文化を紹介する公園に接する海上に、鋼とガラスでできたそのイメージから「クリスタル」の名のモスクがある。2008年完成、4本のミナレットをもつ。ガラスは角度によって光線と反射の加減で金色から黒へ変化し、不思議な色合いを見せていた。礼拝堂内からガラスのドームを見上げると色は付いておらず透明な光が祈りの場所を照らす。内部は白と金・黄色を基調にした幾何学と植物の文様が使われ、礼拝所を囲むガラスの壁も装飾され外光に文様が浮かび上がる。
Osh, Kyrgyzstan : オシュ・キルギスタン 聖山スレイマン・トーの麓にある、4本のミナレットと銀色に鈍く光るドーム、1,000人を収容できるという礼拝堂のあるキルギスタン第2の都市オシュ最大のモスクである。その姿は背後に聳え立つ岩山の崖と雲低い青空に良く映える。一帯は世界遺産に登録され、このモスクのある麓からは予言者スレイマンをたどる聖地巡礼の遊歩道があり、その道は背後の岩山の頂きまで続いている。礼拝堂のドーム内側の頂点に向かう多数の線のデザインは、「ユルタ」と呼ばれる現地の伝統的な遊牧民が使う移動式住居の天井を模しているのではないかと感じる。