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Mukdahan Central Mosque

Mukdahan, Thailand : ムクダーハーン・タイ  タイ東北のメコン川沿いにある中都市ムクダーハーンにあるこの県内で初めて、唯一のモスクである。街はタイ東北のイーサーンと呼ばれる地域にあり、県内の人口は仏教徒がほぼ全体を占めている。それに続いて少数のキリスト教徒と僅かなムスリムがいるが、やはりモスクの建設への反対運動があり紆余曲折の後、2019年に完成した。玉葱型のグリーンのドームに2本のドームの載った角柱型のミナレット、尖塔アーチのポルティコと端正なデザインでタイ南部のムスリムの多い地域にもありそうな雰囲気である。なぜここにと思って調べてみると、メコン川対岸の経済特区のあるラオス・サワンナケートへのゲートウェイでもある街なのでムスリム投資家の便宜を図りたいとのことのようである。東北は前述の通りムスリムは少なく、県内にモスクは無かったため、礼拝場所としてそれを集約できることもあるだろう。

Madinatul Islam Mosque

Trang, Thailand : トラン・タイ  タイ南部の地方都市トランに新しく建造された、正統派アラブ様式とでも言えるような整ったデザインのモスク。2020年の公式の完成しモスクとしてオープンとは言うものの、当時はドームの装飾は未だなく、それ以降徐々に今の姿となっていった。ミナレットは角型の1本、アーチの並ぶファサードとエントランス頭上に3個のドームが並んでいる。礼拝堂の両翼向かって右側に4個のアーチ、左に5個のアーチの回廊があり左側が非対称に斜めに伸びている。トランは時折このブログでも紹介するタイ南部の比較的開かれた都市と同じく、商業に携わってきた中国系人口が多く市中にモスクは見かけない。県の人口中約18%がムスリムとのことで郊外にはモスクは多くあり、行政主導の大きな規模な県立中央モスクも郊外に建設しているが完成まで膠着状態でそれを待たず、こちらのモスクが先に完成した。このモスクも元々は街のはずれの小さな古いモスクであったが、増える礼拝者のための場所がなく各所からの支援を受け完成しており、画像では少し見えにくいがエントランスの木製ドア上、アーチ越しにはクウェートの財団であるKuwait Awqaf Public Foundationのプレートが見える。エントランス上のドーム内部に装飾はなく真ん中のメインドームにのみシャンデリアが釣り下がる。礼拝堂の上部はドームは無いため、天井はフラットで全体が至ってシンプルである。写真を撮っていると礼拝者に話しかけられたのだが、なんと遠くトルコから来たとのことだった。トラン駅前のカレー食堂の店主はアラブ系であったり、ハラール食堂はマレーシア語でSelamat Datang=ようこそと看板に書かれてあったり、イスラーム世界は小さな街でも繋がっていると思わせられた。

Betong Central Mosque

Betong, Thailand : ベトン・タイ  空色のドームは色褪せてしまっていたが、そのモスクはタイの南、最果ての地に孤高に佇んでいた。緑濃いタイ深南部ヤラー県の山中に忽然と現れる都市ベトン。意外にもイスラーム人口が圧倒的に多いこの地域の中で、珍しく際立って中国系タイ人が多い街だった。それでもあと数kmでマレーシアとの国境ということもあり、ムスリムもやはり多く住んでいる。タイで見かける多くの中規模のモスクは重厚な造りの印象があるのだが、このモスクはドームや外壁の色調、白いアーチの回廊、礼拝堂は正方形でミフラーブのあるキブラ壁を除く3方にサブドームを頂くポルティコを配するなど、全体のバランスに気品を感じる。どちらかというと、マレーシア側のプルリス州やケダ州にあるモスクのデザインに近いのではないかと思う。タイ側からみると辺境とも言える場所になるのだが、マレー文化圏側から見るとこのような端麗なデザインのモスクがこの街にあるのも頷ける。ミナレットは1本でアーチを嵌め込まれたバルコニーに小さなドームを載せ、正面から見ると奥側にある。内装は白く、ドーム外装に使われている同じ空色を差し色に使用している。ドーム内部に装飾はなく、白色の無地。ドーム台座と天井近くに連なった丸い窓は、青や黄色に彩られて礼拝堂の中を照らしていた。

Al-Yusraw Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  金色の装飾をあしらった重厚なアーチのエントランスと、天に向かい聳える2本のミナレットはまるでどこか中東の湾岸諸国にあるモスクに見えるのだが、このモスクが建つのはバンコク郊外のサパーンスーンと呼ばれる地区である。特に目立つのはやはりこのミナレットで、バンコクのモスクの中でも技巧的で一番の美しさではないかと思う。デザインは明らかにサウジアラビアのマディーナにある「預言者のモスク」のミナレットにインスパイアされており、非常に良く似たデザインである。ドームの濃いグリーンの色合いも頭頂部の金色の飾りも同じモスクの影響を受けているのであろう。モスク全体は大きく開けた駐車場側からほぼ真横を見れるのみで、上述の大きなメインエントランスは運河の流れぎりぎりに面している。その向こう岸は小学校の壁になっており真正面から俯瞰できる場所がないのが残念だ。アーチの奥はドームのあるメインの礼拝堂がある2階への階段がすぐに続いている。日常の礼拝はこの階段を使って2階に上がるのではなく、1階に礼拝室と出入り口が別にあり、そこで行われている。礼拝堂の両側は整然とアーチが並ぶテラスがあり、その軒下や天井は木材を使用している。ドーム内部は白く、外壁のアーチと揃ったストライプと金のカリグラフィーで飾られている。ドーム内部は白く、外壁のアーチと揃ったストライプと金のカリグラフィーで飾られている。

Salahuddin Mosque

Nakhon Si Thammarat, Thailand : ナコーンシータンマラート・タイ  マレーシアのクランタン州から当時のナコーンシータンマラート(リゴール)王国の首都であるこの街に移民したムスリム達が、原型となるモスクを建設したのが歴史の始まりとなる。1897年建造の原型のモスクは学校建設のために存続できず、新しい場所にモスクを建て直すのだがその場所はWat Tha Changという仏教寺院の跡地を使用していたため、法律上モスクとしての登録ができないままとなってしまったのだ。そこでラーマ9世国王へ請願し、王室の支払いにより土地の問題を解決し1954年に承認に至るという長い道程を経て今のモスクがあるという。国王は旅の途中にモスクに立ち寄り、ミンバルに座る姿を写したその当時の写真も残されている。モスクの外装はベージュ・茶とグレーの色調でまとめられ、壁に線の細い植物文様と、柱にストライプ、天井に花をアレンジした幾何学文様で飾られており、柔らかさとシャープさが相まって美しさを醸し出す。メインドームはムガール様式の影響を受けたと思われるが、半球でなく8角形の台座をもつため、面ごとに光を反射しまた影を造る。近隣のマレーシアの Zahir Mosque やインドネシアの Al-Mashun Grand Mosque と同じ技巧だ。深い緑色が南国の青空と白い雲に実に良く映える。礼拝堂から独立して立つミナレットは5段のバルコニーがあり、特徴的なデザインであるが、古い写真から後で付け足されたのがわかる。外側に階段があるが閉ざされてしまっており、2階は登ることはできなくなっていた。外から眺めると2階建て部分の壁のアーチからは空の向こうが見えるので、天井がなく飾りの壁と欄干で台座の高いドームを囲っているようである。1階の礼拝室の天井はフラットでドームは望めない。

Mukaram Mosque (Bang Tao Mosque)

Phuket, Thailand : プーケット・タイ  タイの有数のリゾートであるプーケット島にある、プーケット県内では最大級のモスク。敷地は広く取られており、庭から正面を見ると背後の緑濃い山並みに抱かれ、月の紋章が乗ったダークグリーンのメインドーム、台座の隅に4個のサブドーム、ドームの載ったバルコニー付きの4本のミナレットと、美しいバランスをもった配置であるのがわかる。建物はほぼ長方形で礼拝堂は道路に平行に建ち、ミフラーブのあるキブラ壁は海岸の方角へ向く。1966年に建てられ、その後改装されている。朝に訪れたのだが、モスク前の路上にはハラールの軽食を売る露天が並んでいて地元の人々が集まっており、近くに住んでいるというムスリムの青年から日本語で話しかけられるという出来事があり驚いた。礼拝堂の内部は2階建てで、1階から丸く切り取られた吹き抜けのあるバルコニー越しに白いドーム内側を見上げることができる。

Nakhon Si Thammarat Central Mosque

Nakhon Si Thammarat, Thailand : ナコーンシータンマラート・タイ  ナコーンシータンマラートはタイ南部ではイスラーム色が特に強いという街並みでなく、テーラワーダ仏教やヒンドゥー教の史跡も多い中都市である。それでもムスリム人口は多くこの地域にはそれほど大きくはない古いモスクは数あるが、2017年に完成したこのモスクは地域では最大級の大きさで州のイスラーム委員会事務所ともなっている。モスクは8角形の真ん中に金のドームがあり、壁面はアーチ型のデザインの窓を配し、形状だけであればエルサレムの「岩のドーム」を模したのかタイのモスクとしては珍しいデザインである。8角形の各々の角にはメインのミナレットが4本と小さなミナレットが4本と付いている。中心にメインドーム、その周りを4個の小ドームが囲んでいる。合計8本のミナレットの頭頂部にもドームが付き、正面のエントランス前から離れて見ると規則的な配置が確認できる。空港と街を結ぶ幹線道路上にあるため、金のドーム群はよく目立つ。2階の礼拝堂は中心のドーム台座も8角形に切り取られ、区切りがない大きな空間となっていた。内部はミニマムかつモダンな造りでステンドグラスに色味があるくらいで、ドーム内部には装飾はなくミフラーブは壁面に大きく平面のモザイクを使って表現されている。

Songkhla Central Mosque

Hat Yai, Thailand : ハートヤイ (ハジャイ)・タイ  タイ南部のムスリム人口の多いソンクラー県を代表する新しいモスクであるが、ハートヤイ市(ハジャイとも呼ばれる)は中国系タイ人の造った街でイスラーム色はほとんど感じられない。歩いても市の中心にはモスクは見かけず、このモスクも郊外にある。タイのモスクとしては最大級の大きさで、正面から見ると屋根までの巨大な7個のアーチが威容を誇る。広大な敷地に建つモスク前面側に配した大きな池は金色のドームと4本のミナレットを映し出していた。タージ・マハルを彷彿させる姿からか幾組かの観光客が入れ替わり撮影をしていた。道路から礼拝堂へ登る階段の真ん中は水路となり下の池へと水が落ちて行く。階段を上りメインエントランスのアーチをくぐると、上部はガラス天井になっており、上から光が入る。礼拝堂は天井の高い1層でできており、外は酷暑なのだが中に入るとひんやりとした空気の張り詰める巨大な空間が広がる。礼拝堂に入り正面から眺めると四角のドーム台座に角度をつけており、菱のように切り取られて見えるシャープなデザインだ。ドーム本体も真下から望むと装飾のない無機的な骨組みの梁で、車輪のようなメカニカルな形状をしている。鏡面状の床に柱と窓が淡い青色に反射され、その中で一人礼拝をする信者の姿があった。

Koh Panyee Darussalam Mosque

Ko Panyi (Phang Nga), Thailand : パンイー島 (パンガー)・タイ  プーケット近くのマングローブ生い茂るパンガー湾内に、ほぼ全体が巨大な岩の島の岩盤にモスクを建て、浅瀬に杭を打ち造られた水上家屋の漁村がある。パンイー島と呼ばれるこの島の語源Panjiはムラユ語で旗を意味し、定住のためのよい漁場を見つけた知らせになる旗から来た。住民の祖先はインドネシア・ジャワからの漂海民ですでにタイ化しているが、今でもイスラーム教を信仰している。この村のモスクは島へ近づく船からもとても目立ち、村の規模を考えると大きいものだ。島は断崖絶壁の岩がほとんどを占めており住居や学校やサッカー場などは水上にあるが、モスクと隣接する墓地は限られたわずかな地面の上にあり、そこにも信仰の深さを窺うことができる。周囲は表玄関以外は水上家屋に囲まれており、モスク全体を俯瞰することはほぼできず、遠く離れてもほぼ民家の屋根越しに眺めることになる。2階建てのモスクの頭上には金色に輝くメインドームと、2個のサブドーム、アーチで飾られた2本のミナレット上にも2個のドームがあるのが見える。建物全体をアーチのデザインで囲んでおり、ミフラーブの曲線のあるキブラ壁以外の3方はバルコニーとなっている。アーチを支える柱は四角の鏡やパターンのモザイクで装飾されており、美しく光に輝いていた。外観は新しく見え、2017年に修復されているとのこと。

National Central Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  バンコク郊外の水田の広がる県境付近の広大な土地に、金色のドームが輝く淡いピンク色のモスクがあった。国立モスク、国立イスラームセンターとなる施設なのであるが、たどり着くにはバンコクの市街地からは随分と遠く離れた地域となる。ここはバンコクではかなり大きいモスクになるかと思う。敷地のなかにはモスクや事務所棟、多目的に使えるホールがあり訪問当日は結婚式が開かれていた。モスクの手前は大きく芝生の広場が取られ、周囲も椰子などの樹木を美しく配している。長方形の礼拝堂は3層に分かれ、メインホールは入り口から階段を上った2階にあった。長方形の建物から少し離れて、タイではあまり見ないバルコニー下に鍾乳石装飾をもつ3本のミナレットが聳え、2階と橋で繋がっているという独特の形状をもっている。ミナレットは建物正面のメインエントランス側から向かって右に1本、左に2本とありデザインが左右で異なっており、右1本のみ大ドームと似た玉葱状のドームの飾りが付いている。メインホールは外部から熱を遮断して風が取り込めるように、開放的なアーチの壁造りになっており若干暗く感じたが、涼しく過ごせるようになっている。小鳥も飛び交う、南国らしい構造だ。ドームの内側は薄らとクリーム色に塗られているのみだが、頭頂部にかすかに8枚の花弁のような文様があるのが興味深い。

Saifee Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  三角屋根の倉庫街にある細くて暗い通路、その先の光の向こうにモスクがあるとは誰が想像できようか。今までたくさんのモスクを訪れたが、ここまで不思議な日常からの隔絶感を味わったことはないと思う。このモスクのある古い倉庫街はスパイスやハーブの貯蔵庫として今でも現役で、訪れた日は大勢の人々が路上いっぱいにスターアニスを洗い、天干ししており芳しい香りに満ちていた。モスクへはこの倉庫街の隙間にあるトンネル状の通路を抜けて出る。そしてたどり着くやすぐ目の前にゴシック様式で造られた薄いベージュの美しいモスクと明るい庭が現れる。このモスクはバンコクのほかのモスクと違い、シーア派の一派であるDawoodi Bohraと呼ばれるタイではわずかな珍しいコミュニティに属しており、この派のモスクはタイで唯一だ。インドのグジャラート州スーラト出身の貿易商人らによって、1910年に造られた由緒ある歴史をもち、その名は「剣」を意味するという。モスクはコンクリート製の長方形の箱型で屋上のバルコニーには小さな装飾の尖頭がついているが、メインのミナレットやドームはない。また、モスク内部にはミンバルもない。また礼拝堂内の2階のバルコニーには扉が付き、吹き抜けの4方向すべてをぐるりと囲っているのが特徴で、ほかでは見かけない仕様だ。2階へ上がる階段は透かし彫りの装飾の付いた木製で建物横に大きく取られている。ステンドグラスの尖頭アーチ窓、透かし彫りのアーチで飾られたポーチや玄関扉などもまた、重厚で美しい。木々茂る庭には川沿いへ向かう門も残っていたがどんな事情なのか使われず閉鎖されてしまっていた。

Bang Uthit Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  チャオプラヤー川沿いの古い船着き場と倉庫街をリニューアルした観光スポットであるAsiatique The Riverfrontの前に、小さなモスクが建っている。一見、バンコク下町のムスリム街区で時折見かける大きくはない普通のモスクだが、エントランスと内装にバンコクの多くのモスクとは違う特徴がある。チャオプラヤー川沿いのこの地区周辺は古くから河川を使った貿易の拠点となっており、ほかにも外交施設や教会などの歴史的建築物が多く残っている。このモスクも20世紀初頭に建造されており、当時のシャム王国のムスリムとオスマン帝国皇帝Abdul Hamid II との間で送られたイスラームへの忠誠を示す紋章をエントランスに残しており、必見だ。モスクはそのような関係からトルコの政府機関によって現在は改修されており、ドームのないフラットな天井に丸くオスマン様式の美しい装飾を施され、トルコからの白い大理石で造られた美しいミンバルとミフラーブをもつ。

Kamalun Islam Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  バンコク郊外のムスリムが多く住むミンブリー地区近くにある、バンコクでは比較的大きなモスクで1,000人を収容する。当時のタイのSai Buri、現マレーシアのケダ州からの移民達が荒地に村を開き、現在のモスクは改築後の姿であるがその原型を200年ほど前に建造したという。センセープ運河と呼ばれる運河沿いに建ち、この流れは遥か遠くバンコク市内中心まで続いている。過去には運河を行くラーマ5世国王(在位1868-1910)の乗る船が偶然故障してしまい、岸に上がった際に改築中のモスクを訪れたというエピソードがあった。ドームは白を基調に緑と黄で塗られたメインドーム、緑が基調のミフラーブ上に置かれたサブドーム、またエントランス側の3本あるミナレットの真ん中の1本に小ドームが配置されている。内部はチーク材の天井をもち、2個のドームのガラスを通して淡く緑に照らされ、柱や窓のアーチが整然と並んでいる。全体に装飾は控え目ですっきりとしているが、それゆえにガラスのパターンが際立って見えた。茶と白で塗り分けられた窓の扉だけはイスラーム様式でなく、タイ様式のパターンを取り入れているようだ。

Luang Kocha Itsahak Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  倉庫やショップハウスの立ち並ぶ古いバンコクの中華街の路地に美しいモスクが唐突に現れる。ミナレットもドームもないコロニアル風の2階建て西洋建築で、黄色く塗られた姿が通りから一瞬だけ見えるが、時折通りかかる外国人の観光客は知らずに通り過ぎてしまうだろう。タイは植民地時代がなく古い西洋建築は多くはないが、過去にバンコクの中心であったこのチャオプラヤー川周辺にはまだ残っており、このモスクもその一つだ。その名になったLuang Kocha Itsahakは、当時のタイのSai Buri、現マレーシアのケダ州から来たマレー語の通訳をする役人で、祈りの場がないムスリム商人のために土地を手に入れ、この地にモスクを造った。

Bang-o Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  チャオプラヤー川に向かって建つ西洋建築風のモスク。アユタヤから来たペルシア人商人の移民コミュニティによって1919年に造られた。当時のタイではルネサンス様式を取り入れた建築が多く造られ、このモスクもルネサンス様式とイスラーム建築の折衷でデザインされた。左右対称にドームが乗った2本の尖塔のある長方形のファサード側はチャオプラヤー川沿いに平行に立っている。その奥に続く礼拝室はメッカの方向へ角度がついて屈折しており、その傾きを埋めるために三角形の小部屋を挟んでいた。ファサード側にはホールがあり、その両端には尖塔へ上る螺旋階段が付いている。敷地内はモスクと、以前は学校として使われて、現在も大人のためのイスラームの教義を学ぶ木造建築の教室、新しくペルシア様式のデザインで造られた多目的ホールがある。

Klang Mosque (Pattani Central Mosque)

Pattani, Thailand : パッターニー・タイ  仏教徒が最大の人口を占めるタイに於いて、タイ深南部3県に限っては人口の約80パーセントをムスリムが占める。このモスクは3県のうちの一つであるパッターニー県の県庁都市・パッターニー市の名の通り中心にある。くすんだ緑色の大小複数のドーム、4本のミナレット、オレンジ色のタイル、丸い窓の装飾は美しく可憐なイメージだ。周囲の椰子の木は熱帯の雰囲気を強く醸し出す。ムスリムの間でも観光地として訪れるモスクとして有名なようで、記念写真を撮っている人々が多かった。内部へは立ち入っておらず画像のドームは入り口ホール上のもの。