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Sisak Mosque

Sisak, Croatia : シサク・クロアチア  シサクはザグレブからやや離れた中央部の工業中都市で、ボスニアからの移民が多いイスラームコミュニティにより新しくモスクと文化センターの複合施設がザグレブとリエカに次ぎ建造され、2022年に完成した。クロアチアはこの後も地方に新しいモスクの建造計画があるが、特に伝統に極めて忠実なモスクのデザインには拘っていないようで、このモスクも礼拝堂そのものを3角形を張り合わせた多面体の巨大なドーム型で造る近代建築である。エントランス上にはトルコのトルコの国際支援機構であるTIKAのプレートが掲げられている。全体の構造は3角形の敷地に先述の通り、ドームを大きくデフォルメした半球状の礼拝堂と直線的なデザインの事務所や図書館、ホールなどがある文化センターの棟と噴水のある大きな広場が造られている。ドーム内部は外からは見えないが光の透過を3角形のパーツで組み合わせており、六芒星の光が床の絨毯に降り注ぐという効果を見せている。

Zagreb Mosque

Zagreb, Croatia : ザグレブ・クロアチア  首都ザグレブにある、クロアチアに現在数カ所のみあるモスクの中央的存在である。クロアチア人は伝統的にローマカトリックを信仰しており、オスマン帝国侵攻後の改宗や、人種と宗教の坩堝であった旧ユーゴスラビア時代、その後の戦争でムスリムの流入があったが全体を見るとムスリムはごくわずかである。個人的な印象であるが、旧ユーゴ諸国の中でも、クロアチアは少ないムスリム人口の割には大規模なモスクが建造されていて、人種宗教観の揉め事の多いバルカンでは割と先進的、共存共生に寛容な気がする。ザグレブはオスマン帝国に占領されずにいたためモスクは無く、新しく中央モスクと図書館や学校がある複合施設が建造された。デザインはボスニアのボシュニャク人建築家Dzemal ČelićとエンジニアのMirza Gološによるもの。従来のバルカン半島で見られるオスマン様式や箱型寄棟造りのモスクの要素はミナレット以外になく、かと言って最新のテクノロジー要素のある近代建築でもなく、緩やかな曲線のドームを3個に切り取って頭頂部をずらして開口部から光を取るというポストモダン的な要素を感じる。内部のバルコニーやミフラーブ、ミンバルも滑らかな曲線を利用してデザインされている。

Rijeka Mosque (Rijeka Islamic Center)

Rijeka, Croatia : リエカ・クロアチア  クロアチアのアドリア海に面した港湾の街リエカにある現代建築のモスク。カタールの援助を受けて2013年完成した。にぶく光る鋼製の独特の半球面と鋭角のカットをもつ。ドームは何個と数えてよいのか、5個のカットされたドームが組み合わされているように見える。ミナレットが無ければモスクとはわからないような、現代アートの作品風の曲線が美しいデザインである。その半球の構造そのものが巨大なドーム状の礼拝堂になっているのだ。彫刻的でもあるのは、ドームの原案はクロアチア人彫刻家の故Dušan Džamonja氏とのことで、それを基にクロアチア・ザグレブの建築事務所であるADB:Arhitektonski Dizajn Biroがデザインした。モスクは山の中腹にある高台に建ち、モスクのある広い中庭の階下にはカフェレストランがありトルコ式のお菓子や旧ユーゴスラビアほぼ全体で食べられているイスラーム系の料理などを食べることのできる。ベランダに席があり、海を臨む景色が見えるので見学の後に時間があれば立ち寄るのもよいと思う。