Salahuddin Mosque
Nakhon Si Thammarat, Thailand : ナコーンシータンマラート・タイ マレーシアのクランタン州から当時のナコーンシータンマラート(リゴール)王国の首都であるこの街に移民したムスリム達が、原型となるモスクを建設したのが歴史の始まりとなる。1897年建造の原型のモスクは学校建設のために存続できず、新しい場所にモスクを建て直すのだがその場所はWat Tha Changという仏教寺院の跡地を使用していたため、法律上モスクとしての登録ができないままとなってしまったのだ。そこでラーマ9世国王へ請願し、王室の支払いにより土地の問題を解決し1954年に承認に至るという長い道程を経て今のモスクがあるという。国王は旅の途中にモスクに立ち寄り、ミンバルに座る姿を写したその当時の写真も残されている。モスクの外装はベージュ・茶とグレーの色調でまとめられ、壁に線の細い植物文様と、柱にストライプ、天井に花をアレンジした幾何学文様で飾られており、柔らかさとシャープさが相まって美しさを醸し出す。メインドームはムガール様式の影響を受けたと思われるが、半球でなく8角形の台座をもつため、面ごとに光を反射しまた影を造る。近隣のマレーシアの Zahir Mosque やインドネシアの Al-Mashun Grand Mosque と同じ技巧だ。深い緑色が南国の青空と白い雲に実に良く映える。礼拝堂から独立して立つミナレットは5段のバルコニーがあり、特徴的なデザインであるが、古い写真から後で付け足されたのがわかる。外側に階段があるが閉ざされてしまっており、2階は登ることはできなくなっていた。外から眺めると2階建て部分の壁のアーチからは空の向こうが見えるので、天井がなく飾りの壁と欄干で台座の高いドームを囲っているようである。1階の礼拝室の天井はフラットでドームは望めない。