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Miktat Agaoglu Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  このモスクはイスタンブール郊外のMaslakと呼ばれる、工科大学や中高層ビル群が立ち並ぶモダンな新興開発地区に造られた。それに相応しく、モスクも一見そうとは見えぬデザインである。ミナレットは鉄骨が剥き出しのままで、礼拝堂を囲む屋根が先端で鉄骨を挟んで天を突き上がっていくユニークな構造である。モスクは建設や観光業を営む私企業会長のAli Ağaoğlu氏により建造され2020年に完成した。亡き父の名を冠している。本人も建築家であるそうで、黒字に金色の円を組み合わせた文様の屋根、星の幾何学文様が透けるガラスに捻りの入った円の幾何学文様の格子パネルを重ね、伝統の意匠とモダンを組み合わせたスタイリッシュな礼拝堂を造り上げた。内部も黒字に金を差し色のカリグラフィーを配した落ち着いた雰囲気で、天井のルーバーの直線的な構造に大小3個の円のドームがよく映えている。ルーバーの一部の緩やかな張り出しにドームの内側文様部分が埋め込まれており、ドーム自体の内壁は見ることができない構造になっている。

As-Salt Grand Mosque

As-Salt, Jordan : サルト・ヨルダン  丘陵にクリームイエローの壁の建物がひしめき合う、独特な景観のAs-Saltにある大モスクである。モスクの原型は現在のエジプトを中心としてたマムルーク朝の時代に造られたものだが、現在は全く新しく改築されている。1階は商店と礼拝堂、2階ではムスリマが集まり何か講義をしていた。商店のファサードはアラブ風でもありながら直線を使った現代建築にアレンジされている。とは言え、ドーム本体のデザインや角が落とされた台座と窓のデザインはマムルーク建築を意識しているのではないかと思う。ドームは鈍く光るグレーに塗られている。ミナレットは1本で円柱形と円のバルコニーに八角形の屋根がつく。

The Foundation of the Islamic Centre of Thailand Mosque

Bangok, Thailand : バンコク・タイ  一風変わった、朝顔の花びらのようなコンクリート造りの6角形の傘の屋根に覆われたデザインが目を引く。ブルータリズム建築とイスラーム建築の融合で、エントランスには日除けとして、同じデザインで礼拝堂の天井屋根へと続いている。屋根のメンテナンスは大変そうであるが、この日は屋根に掃除のスタッフが上がっていて、ホースで水を撒いていた。この地域はムスリムが多く、モスクは礼拝堂の他に、イスラム財団、図書館、ホールや食事のスペースなどもある、地域のコミュニティセンターとして利用されている。六角形の礼拝堂はイスラーム文様の青いステンドグラスに覆われ、黒と金を基調にした厳かな内装であった。ドームはないが、前述の優美な曲面と鋭いエッジの天井はまるで万華鏡のようで実に美しいものだ。

Jamiul Azhar Mosque

Chau Doc, Vietnam : チャウドック・ベトナム  チャウドックの対岸側はムスリムのチャム族が住んでおり、モスクがとても多くある。そのうちのいくつかしか見てはいないが、ここはこの地区でも比較的大きいモスクであるかと思う。門は煤けてしまっていたが、白い3個のドームやミナレットはきちんとメンテナンスされていて、青空に映えている。色調やデザインはマレーシアに住むインド系ムスリムの好むようなムガール様式に近く、白を基調に、エメラルドグリーンの差し色で彩られた、端正なモスクである。敷地は広く、集落側から入ると古い門と道があり、それを進むとムガール調の白い門と広大な墓地が広がり、その奥に礼拝堂がある。裏庭側にはマドラサ(学校)が建っている。完成は1959年、月のオーナメントにその数字が刻まれている。この遠いベトナムの地でこのデザインの影響力は不明だが、チャム族の出自は海を渡ってきたマレー系であることも関係しているのだろうか。

Bayrakli mosque (Yokush Mosque)

Samokov, Bulgaria : サモコフ・ブルガリア  首都ソフィアからは50Kmほど北へ向かう山間の小さな街サモコフに、それは美しいかつてモスクであった小さなイスラーム建築が佇んでいる。現在はモスクとしての機能は既に全くなく、美術館として使われている。バルカン半島で使われなくなったモスクは得てして内装に漆喰を塗られてしまったりミナレットを落とされたりしてしまうものだが、ほぼ完全なモスクの形状を保っているのは珍しい。片隅にはイーゼルが積まれ、モスクに全く関係ない展示もされているようでもあるが、絵画的な装飾そのものが美術の継承として残されているようだ。1845年頃に完成したと伝えられ、以降修復されている。構造は長方形の2階建てで、寄棟造りのオレンジ色の屋根に青銅色の鉛筆型ミナレットをもつ。バルカン半島でよく見られるタイプのもので、他と違うのはミナレットに煉瓦の螺旋模様があること、屋根からドームが突き出ていることかと思う。4本の柱で支えられたドームは棟の真中心でなく、ミフラーブのあるキブラ壁側に寄って載っている。ファサードは2階に7個の窓が並び、正面から見て7個のアーチを8本の柱で支える柱廊玄関になっている。アーケード状の奥まった1階には、エントランスへの通路と向かって右端に階段のユニットがある。1階の壁は左右とも写実的な花瓶に生けた花の絵やカーテンが描かれている。窓枠や玄関扉などは鮮やかなブルーで、天井は紺色に塗られている。内部は正方形の礼拝堂でエントランス頭上にバルコニーがある。ドームの14枚の窓から光が注ぎ、グレーと金色のバロック調の植物文様を照らしていて、ここがモスクでないことが不思議な程荘厳であった。ドーム内側の頭頂部は六芒星が描かれているのも特徴的である。内部にはモスクのルーツについて紹介のボードも用意されていた。

Sharif Hussein bin Ali Mosque

Aqaba, Jordan : アカバ・ヨルダン  アカバ市内の中心にあるモスクで、1975年に完成したアラブ様式のモスク。モスクのエントランスは中庭を囲む回廊の一部で、そこから中へ入ると水場のある大きな中庭になっており、その先に礼拝堂のエントランスがある。中庭は天井に幕を張っており、日陰になっているが写真の撮影が難しく、訪問後は背後の高台へ向かっていく庭園側へ登り、全景の写真を撮った。長方形の礼拝堂は幅が随分と広く、天井には1個のメインドームを抱く。ミナレットは8角形で3段のバルコニーをもち、中庭に隅に建つ。ミフラーブ、ミナレット中段とドームの外装は鋸歯状の波線文様で装飾されている。モスクの名はオスマン帝国への蜂起、独立運動の指導者であり、現ヨルダン国王家の先祖でもある故Sharif Hussein bin Aliから採られている。

Yildiz Hamidiye Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  オスマン様式とネオゴシック様式の折衷でデザインされ、重厚な雰囲気のモスクの敷地内には同じ折衷様式の時計塔も建てられている。モスクはオスマン帝国のスルタンAbdul Hamid IIのために、アルメニア人の西洋建築一家Balyan家のSarkis Balyanによって造られたもので、隣接するスルタンの宮殿にも氏のデザインの邸宅が建つ。ドーム屋根自体だけはオスマン様式だが、ミナレットの先端、ゴシック様式のアーチ窓やファサードの冠のような3角形のオーナメントなど全体のシルエットは西洋的で、かと言って教会にも見えない絶妙なデザインである。礼拝堂のドームも少し変わっていて、すっくと立ちあがる4本のまっすぐな柱と多弁形アーチで支えられているのも特徴的。

Jamae Mosque (Chulia Mosque)

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  シンガポールのチャイナタウンの真ん中に2本のミナレットが目立つモスクが建っている。ミナレットは角柱型で、頭頂部には左右とも玉葱型ドームが載っている。周囲はショップハウスが立ち並ぶ、絵に描いたような中国系住民の世界であるが(これはシンガポール全体的にでもある)1ブロック向こう側にはヒンドゥー寺院が建ち、他民族国家らしい立地だ。元々は他あるシンガポールの古いモスクと同じくタミール系インド人ムスリムの移民が造ったものである。門は狭く、隣は道路を隔てる塀とブロック両端はショップハウスがあるため、敷地はあまり大きく見えないが、実は随分と奥深く、中に入るまではそれに気が付かなかった。礼拝堂はオレンジ色の瓦屋根のコロニアル風で、アーチの並んだ平屋建て。天井はフラットでドームはない。礼拝堂は大きく区切られていて、訪れた時は手前側で説教中で沢山の礼拝者が集まっていたが、奥のミフラーブのある側は使われていなかった。内装は全体に薄い緑色で、列柱が並ぶ。ミフラーブは鋭角の三角アーチの変わった形をしている。

Sheikh Zayed Mosque

Aqaba, Jordan : アカバ・ヨルダン  赤茶けた岩山を背後にし、真っ白なドームを抱くモスクが紅海を望んで立つ。街並みから外れて建つため、全く以て端正なアラブ様式のモスクのデザインが風景に相まって、静粛な雰囲気を醸し出していた。2012年に完成、設計はヨルダンの建築事務所であるDar Al Omranによるもの。デザインは2本の角柱型のミナレットと横長の長方形にメインドームと2個のサブドームが並ぶ。噴水のある中庭は長方形で、それをアーチのアーケードがぐるりと囲む。アーケードの頭上は小さなドームが並び、中庭と外庭への門と礼拝堂のエントランスの2箇所の頭上だけやや大きなドームが据えられている。礼拝堂内部は3個のドームごとにアーチで区切られ、内装は白、黒、金で統一され唐草調の植物文様が全面に使われている。ドーム内側も唐草調の白い緻密な植物文様に、差し色で金の葉が描かれていてキラキラとドームの窓からの陽を浴びて輝いていた。

Tuanku Mizan Zainal Abidin Mosque (Iron Mosque)

Putrajaya, Malaysia : プトラジャヤ・マレーシア  銀色に鈍く光るドームが無ければモスクであることもわからないかも知れない。まるでスタジアムのような全景をもつ巨大建築で、全体の構造の約70%を鉄が占め、「鉄のモスク」の異名をもつ。規模としてもマレーシアのモスクではシャーアラムの Sultan Salahuddin Abdul Aziz Shah Mosque 、通称ブルーモスクの次の大きさで最大2万3千人を収容するという。地上からはよく構造が見えないので、上階の庭園に上り、ファサードを真正面から見据える。繰り返すアーチと鉄のリブ・ヴォールト状の梁が絡みあうのはなかなか格好いい。設計はマレーシアの建築事務所のKumpulan Senirekaで近隣のPutra Mosqueも設計している。外見の特徴は他にもミナレットが無いことで、付き添いのガイドの青年によれば、もはや伝統の意匠に従わず現代の様々な要素、輸入した素材や技術でモスクを創り上げたとのことであった。ミフラーブは巨大なガラスからできており、ドイツから輸入されたものである。礼拝堂内部は装置に頼らない自然の換気を取り入れていて、涼しい風が循環しており、過ごしやすい。ガイドはマレーシア人ではなくガーナからの移住者で完璧な英語でユーモラスな建築やイスラームの解説をしてくれて、滞在時間を面白く過ごせたのでここに礼をしたい。