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Showing posts from October, 2024

Duli Pengiran Muda Mahkota Pengiran Muda Haji Al-Muhtadee Billah Mosque

Bandar Seri Begawan, Brunei : バンダルスリブガワン・ブルネイ  バンダルスリブガワンの水上家屋群にあるローカルモスクでブルネイ・ダルサラーム国のAl-Muhtadee Billah皇太子の名を冠している。モスクは実際は陸側に建造されているが、この集落はKampong Tamoi Tengahと呼ばれる場所で、ツーリストが頻繁に訪れる市街地の対面側にあるボートで渡る側ではない。著名な Omar Ali Saifuddien Mosque の横の河向こうに横へと広がる水上家屋群であり、日中は出歩く人もまばらな静かな地域であるが、なかなか立派なモスクである。近隣のマレーシア・サラワク州で見られるような、伝統家屋建築を模したであろうピラミッドのような段差のついた屋根をもつ。塔頂部にはグリーンのドームが映え、4隅には4本のミナレットが聳える。モスクの庭は円形に造られて、周囲をぐるりと回廊が巡り、8本の通路でモスクへアクセスするデザインになっている。

Alaca Imaret Mosque

Thessaloniki, Greece : テッサロニキ・ギリシャ  オスマン帝国時代に建造された、ギリシャ国内にほぼ原形を保ったまま現存するあまり多くはないイスラーム建築である。デザインは伝統的なオスマン様式で造られ、格子模様であったミナレットはギリシャ時代になり破壊されたため崩れた土台以外は残っていない。オスマン帝国を引き継ぐトルコではビザンチン時代の正教会はモスクに転用されている。対してギリシャでは国内に残るオスマン帝国時代の建造物は基本的に廃墟のように放置か倉庫・美術館などの別の用途に転用されている。お互いの感情を察するとなかなか第3者の視点では言い切れないことも多いが、このモスクも一度美しく修復を受けアートに展示などにも利用はされたものの、現在は他あるイスラーム建築と同じくほぼ放置された状態である。公園と駐車場に囲まれており、外装だけ見に行くことは現在可能。メインドームは2個あり、ポルティコの小ドームは5個。メインドームを挟んで小ドームが2個づつ並んでいる。見慣れない煙突状の突起が側面に3本見えるのは、おそらくモスクの名前になった、「Imaret=慈善事業の食事を提供する施設」からなのではないかと思う。

Little Hagia Sophia Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  レンガ造りではあるものの、鉛筆型ミナレットと典型的なドームとアーチのポルティコから一見オスマン様式建築にも見えるが、元は初期ビザンツ様式の東方正教会建築である。他ある正教会と同じように、オスマン帝国時代にモスクへと転用されている。元の名称はChurch of Saints Sergius and Bacchusであった。天井は16個に分割された8角形の傘型のドームを8本の柱とアーチで支えている独特な構造で、クリーム色とブルーで彩られた荘厳な礼拝堂を見ることができる。また、バルコニーを支える列柱は大理石で造られ、バルコニーの淵は植物文様と今でも古代ギリシャ文字が刻まれているのが見える。名称のトルコで表すと「小さなアヤソフィア」であるが、特にこの元正教会のモスクと、同じく元正教会の現 Hagia Sophia Grand Mosque とはあまり関係がないようで、見ての通り特に似ている雰囲気は正直言ってないのが実情である。ただ、ペンデンティブと呼ばれる正方形に載せた半球の一部を3角形状に切り取って、頭上にあるドームを支えるための構造はビザンツ様式で発展したもので、特に本家Hagia Sophiaのドーム構造が世界的に有名ではあるが、こちらには「小さな」と名を付けられてはいるものの、同じ構造のドームの建造は先行していた。そのリハーサルであったとも言われているところに価値は見いだせると思う。

Dzhumaya Mosque

Plovdiv, Bulgaria : プロブディフ・ブルガリア  ブルガリア中部の、第二の都市プロブディフに現存し現在もモスクとして信徒を集めている。首都ソフィアでは1箇所のみ残っているモスクであるが、プロブディフ市内では確認できただけで3箇所(うち1箇所は閉鎖中の可能性)があり、ここは市内最大級のもの。モスクのファサード1階側はオスマン様式の小さなドームが載るポルティコはなく、ほぼトルコ式のカフェが占めているユニークな構造である。モスクへはカフェのテラスに置かれた座席の間にある階段を登って行く。モスクは長方形で、カフェ東側にオスマン様式の鉛筆型のミナレットが1本建つ。デザインはバルコニーは挟んで下が格子で上がストライプで洒落ている。礼拝堂屋根には青銅色の伝統的なデザインの丸いドームが3個並び、それを挟み緩やかな傾斜のついた板チョコレートのような形の長方形のドームが合計6個側廊上に並んでいる。

Khan Mohammad Mridha Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  台座上の中庭に建つモスクの礼拝堂へは、地上で靴を脱ぎ、階段を登って上がり門をくぐり抜けて進むユニークなモスクで、ダッカに残る貴重な歴史建築でもある。雰囲気は同じくダッカ郊外にあるSat Gambuj Mosqueにも似ていて、同じムガール建築で造られており興味深いものであるが、アクセスの不便さのせいか見学に訪れる観光客を見かけることはなかった。礼拝堂の3個のドームはムガール様式のデザインで、中央がやや大きい玉葱型である。ドームの下もムガール様式の多弁形アーチのあるエントランスが各々あり、礼拝堂へ続く。外見はだいぶ煤けてしまっているが、内部は美しい白さを保ち、デザインはこれもまた前述のSat Gambuj Mosqueモスクに似ている。全体を地上の庭園広場から見上げると5m程の高さにあり、その下の台座には連なるアーチで飾られた廊下に小部屋がずらりと並んでいて、そこで暮らしていた人々がいたとのこと。中を見ることができたが、最近でも誰かが住んでいたような形跡があった。

Grand Husseini Mosque

Amman, Jordan : アンマン・ヨルダン  アンマンの旧市街に建つ市内最古のモスクであり、大きな広場に面し人々を集めている。ただし、現在の姿は修復されたもの。薄い砂のようなピンクとベージュの波打つストライプが美しい。ミナレットは2本。正面から入ると、実はその中が現在はガラスのフードで覆われた水場のある中庭になっており、正面玄関は回廊の一部であった。さらに奥へ進むと礼拝室が控えている。建物の後背は大きな市場になっているため普段でも賑やかな場所であるが、礼拝時間以外にはモスクは開かないようで、礼拝時には近隣からの信徒でごった返していた。内部への許可は貰えたのだが、中庭を越えてアーチにある礼拝室へは入らず。名称は同じく市内のモスクの名前になっている故Abdullah I初代国王の父である、故Husayn ibn Aliから採られた。

Bodrum Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  元はビザンツ様式で建造された十字形の礼拝堂をもつ東方正教会で、The Myrelaion churchと呼ばれていた。十字軍のラテン帝国による戦乱を辿り、その後のオスマン帝国の占領でにモスクに転換された。ミナレットだけはオスマン様式の鉛筆型のものを付け足されたものである。現在は修復され、内部は美しく保たれている。イスタンブールの典型的な中層ビルが並ぶ商業地域で坂の途中ではあるものの、モスクだけは更に高台に嵩上げされた場所に立ち、礼拝堂のある地上階の下に地下階があるような造りになっている。十字形の礼拝堂天井は4個の交差ヴォールトで造られ、その中心のドームは少し変わっていて、水の雫のような丸みを作る溝によって、南瓜型とも言うような形状になっている。その構造のバランスが美しく計算されているようで、光と影によって薄っすらと淡く浮き出ているので、トルコで典型的なオスマン様式にはない表現を見て取れる。教会を転用したモスクらしく、ミフラーブとそれに合わせて礼拝の列を表す絨毯のラインも身廊に対して斜めに角度がついている。

Yeni Mosque -Thessaloniki-

Thessaloniki, Greece : テッサロニキ・ギリシャ  ギリシャ北部の港湾都市に残る歴史建築で、ムーア、ゴシック、六芒星とイスラーム建築のドームが融合したような折衷のデザインが目を引く。重厚な設計はイタリア人建築家のVitaliano Poselli。オスマン帝国時代のテッサロニキで数々の建築作品を手掛けていた。元々はユダヤ人のイスラーム改宗者コミュニティのもので、オスマン帝国の終焉以降、ギリシャ時代には使われなくなってしまった。最近では倉庫として使われたり、展示などのイベント時に開放されたりしていたが、ようやくイード(ラマダン明けの祝祭)に開放され、教徒が礼拝に訪れることになった。ただし、現在はまた閉鎖してしまっているので、次の機会はまだ不明なである。市内から離れているのでここまで見学に来る人はいないかと思いきや、数組の観光客がわざわざ立ち寄っていた。情報では平日は開いているともあり、どうやら混乱しているようである。

Banya Bashi Mosque

Sofia, Bulgaria : ソフィア・ブルガリア  ソフィア市内一番の繁華街に建ち、礼拝時間だけでなく観光客の訪問でも賑わう伝統的なオスマン様式のモスク。オスマン帝国時代に数々のモスクを建造した天才建築家のミマール・スィナンが造った、バルカン諸国に現存する貴重な建築である。また、ソフィアでもおそらく唯一のモスクである。撮影にいつ行っても人混みや、そうでなくてもファサードに人が多くうまく写真を撮ることができなかった。ブルガリアは過去にオスマン帝国であった時代があるとはいえ、スラブ人の国家だけになぜこんなにも礼拝者を集めるのかとも思ったのだが、この国は意外に多民族国家で顔立ちを見てもトルコ系またはトルコ人の人口が多い様である。また、モスクの付近にはシナゴーグや正教会もあり、多様性を持つ地区でもある。モスクはそれほど大きくはなく、礼拝時はかなりの人混みになっていた。

King Abdullah I Mosque

Amman, Jordan : アンマン・ヨルダン  ヨルダン初代国王の名を冠した、アンマン市内の中心的なモスクであり、ブルーの幾何学文様が美しい。1989に完成、図書館や講義室などの設備を整えた複合施設で、博物館までも併設されておりモスク内部へ観光客も受け入れている。礼拝堂は表玄関から階段を登り、階上にある。8角形で上部をほぼ緩やかな傾斜のついたお椀のようなドームが占めている。中庭は正面から見ると階上のモスク後ろ側にある。礼拝堂の外壁や中庭のアーケード、特に2本のミナレットはドームの柔らかい印象と違い、コンクリート製のブルータリズム感で鍾乳石模様を表現しているようでなかなか面白いデザインである。