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Al-Jabbar Grand Mosque

Bandung, Indonesia : バンドン・インドネシア  バンドン出身の建築家、州知事でもあるRidwan Kamil氏渾身の作となる巨大モスク。途中工期の中断もあり、外装が完了してからもなかなか工事は進まず5年を費やして完成した。礼拝堂だけで約10,000人を収容する。氏の設計したモスクはバンドン郊外のキブラ壁を取り払い、グレイのブロックを積む無機的な構造で話題になった Al-Irsyad Mosque があるが、他にもおよそモスクには見えないモスクをデザインし建造していることでも話題である(最近のモチーフは花や折り紙などであった)。このAl-Jabbar Grand Mosqueもインスピレーションは魚の鱗とのことで、巨大な三角形の庇と菱柄の段差のついたガラスパネルのモチーフをドーム状に重ねた壮大なデザインである。モスクは貯水池の中にあり、礼拝者は入場と出場に分かれた2本の橋でアクセスする。鋭角の4本のミナレットは池の水中から突き出している。文様は幾何学的なイスラーム文様が基本的に使われているのだが、鱗の庇の裏側だけはBatik Megamendungと呼ばれる雲柄が使われており、氏の郷土愛からなのか。訪れたのは日曜日のせいか、礼拝者が詰め掛けており、中庭の外周の回廊ではたくさんの人々が座り込んでくつろいだり食事を取っていた。

Al-Sultan Muhammad Thakurufaanu Al-Auzam Mosque

Malé, Maldives : マレ・モルディブ  モルディブの首都に造られたイスラミックセンターとも呼ばれる5,000人の収容人数を誇るインド洋地域では最大級のモスク。形状は至ってシンプルでモスクとしては特に特定の様式を主張するようなデザインではなく、放射状の光線のような文様が入った、イーワーンにも見えるエントランスの大きなアーチとカリグラフィー、背後に金色のメインドーム1個と2階のメインの礼拝堂へ地上から続く幅のある階段構成されている。建物向かって左に独立してミナレットが1本建ちっている。それは3段のバルコニーをもち、鋸の歯状のデザインを纏い角柱から8角形へ、そして頭頂部のドームへ変化するデザインだ。見たところ礼拝者は正面エントランスの階段は使わず、横にある1階事務所側から内部の階段からアクセスしている。内部の階段を上がり礼拝堂の前に建つと、廊下との透かし彫りの扉を隔て、正面に緻密な木彫りの巨大なミフラーブが視界に入る。管理事務所からは、礼拝者がいるので、礼拝堂内で撮影はしないでほしいとのお願いがあったので礼拝堂には立ち入らず。礼拝堂上部のドームは白く塗られたものだったが、工事中のようで、見学の様子を見ていた礼拝者から、なにやら雨漏りがあるようで直しているんだとのことであった。

Arap Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  以前、 Suleymaniye Mosque を訪れた時に「イスタンブールで一番素敵なモスクが、このモスクの向こう側にあるんだよ」とボランティアガイドの青年はそう教えてくれたことがあった。それがこのArap Mosqueで、金角湾を挟みほぼ真正面のKaraköy地区の雑居な低層ビルの並び建つ中に埋もれてしまいそうに建っている。確かに彼の言うとおり、イスタンブールでは見たことがないタイプの独特なモスク建築で、その言葉は頷ける。自身は一度訪れたモスクに撮り残しがあっても再訪するようなことは、きりがないのであまりしないのだが、初めて訪れた日は曇天で、室内は光が届かず神秘的ではあったがうまく撮影はできなかった。それから数年経ち、晴天の日を選んでもう一度来てみたのであった。案の定、木造の屋根やバルコニーが美しく映え、荘厳なモスクであることを再確認できた。モスクはローマカトリック教会のThe Church of Saint Dominicが原型と言われ、イスタンブールで主だったビザンチン様式でも、オスマン様式でもない3列の身廊をもつ長方形のゴシック様式で、珍しいものだと思う。トルコ語の名称の「Arap (Camii)」はアラブを意味する。キリスト教会を転換したモスクは得てして礼拝の軸がメッカからずれているものであるが、このモスクのミフラーブは壁の方向のままに据え付けられていた。レンガ造りの角柱のミナレットもまた美しく、ゴシック建築に後から尖塔を追加された。モスクは細い路地にあるのでミナレットに気が付きにくいが、1本の路地だけから正面に見上げることができるので必見である。

Sultan Ibrahim Jamek Mosque

Muar, Malaysia : ムアル・マレーシア  ムアル川沿いに建つ、寄棟造りの屋根とイギリスの西洋建築が融合したコロニアル風のモスクで、意図は不明だが対岸の Sultan Ismail Mosque はこのモスクの1887年の完成の後、相似のデザインで建造されている。建物側面にせり出したキューポラの載った大きなドームは、モスクというよりも植民地時代の政府関係の庁舎にでも使われるような美しいデザインで、当時のジョーホール州のイギリスとの結びつきを感じる。ミナレットも独特で、正方形のバルコニーに円柱状の塔のような西洋風のデザイン造られた。対岸のモスクとの大きな違いは礼拝堂上部の天井のドームの有無で、こちらのモスクには無く、天井はフラットである。浄め(ウドゥー)を行う水場もまた独特で、天井に円形の吹き抜けが造られ、見上げると空とミナレットが目に映る。対岸と同じくメッカの方角が側面の大ドームになるが、キブラ壁にミフラーブの凹みもないため、ガイドは無いが金細工の大きなミンバルが真ん中に立つ。

Qassabtuly Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  ダッカ旧市街、オールドダッカの喧騒の中に緻密な花や果実のモザイクに囲まれた美しいモスクがあった。リキシャや人々が行き交う路地は狭く、商店が立ち並ぶ一角に突如として緻密な文様の散りばめられた壁が現れるので、最初にこれはモスクなのかと考えてしまう時間もないくらいであった。ドーム、柱、壁面の文様は同じくモザイクで飾られた有名な Tara Mosque(Star Mosque) と似ているが、こちらの方がより作り込まれているのとタイルを装飾に使用していない。あちらに比べてあまり有名ではないのではと思うのだが、やはり場所のせいか。路地からは玉葱型の月星文様の入った3個のドームを望むことができる。大きなキブラ壁の外壁側の下部分にはモスクの名称がローマ字・ベンガル文字・アラビア文字で、これも勿論モザイクで描かれ、ヒジュラ暦の1338 年(西暦で1919年)おそらく完成の日付が入っていた。現在は内部は増築されており、礼拝堂の前は大きな広間になっていて、礼拝室とは金の縁取りの入った5個の多弁形アーチで区切られている。さらにその奥は前述のTara Mosqueと同じように礼拝室をドーム側と区切る植物文様のアーチと壁、アコーディオン式の柵で仕切られている。柵は閉まり真っ暗だったが親切な門番が明かりを灯し、鍵を開けてドーム側へ入れてくれた。ドーム側の内装はとにかく煌びやかで白いセラミックタイルの一片もが砂糖の結晶のように輝いていてとても美しい。天井の真っ白なドームも際立つブルーのムガール調の縁取りで飾られている。機会があれば是非とも奥の礼拝室まで見て欲しい。

Ash Shaliheen Mosque

Bandar Seri Begawan, Brunei : バンダルスリブガワン・ブルネイ  首都バンダルスリブガワン郊外の丘陵地に建つムーア様式のモスクで、サウジアラビアの Quba Mosque の再建や King Saud Mosque の設計をした巨匠Abdel-Wahed El-Wakil氏によるもの。モロッコのモスクにあるような水場や中庭の噴水のタイル使い、スペイン・アンダルシアのメスキータにあるような赤白のストライプのアーチの列柱、ムーア式の多弁アーチのミフラーブと、東南アジアでは異彩を放つエキゾティックなスタイルだ。外見は現在建築風のシャープなカットに緩いカーブを合わせ、3段の半円の格子窓が2列並ぶ独特のデザインで、現在は鳥よけなのか格子にネットがかけられてしまい、それが少し残念である。エントランスをくぐると開閉式のガラス天井のある中庭があり、さらに礼拝堂内に入って見上げると、アーチの列柱によって分割された幅のある細い長方形の礼拝室、2列3段の半円の窓と2個のドームと、外から見えた窓のデザインが内部でどうなっているのかがよくわかる。

Hayat Bakshi Mosque

Hyderabad, India : ハイデラバード・インド  ハイデラバード市内に行き渡るゴールコンダ王国時代のインド・イスラーム建築であり、ドームのない長方形の礼拝堂と角の2本のミナレット、5個のアーチと典型的・伝統的なその姿で建造された。ミナレットの上部や透かしの欄干がとても美しい。地面から台座のように一段高くなったところに中庭があり、礼拝堂は更に高く数段の階段の上に建つ。中庭は靴をはいたまま、階段の下で靴を脱ぐようである。アーチには柵と扉が付いていて、礼拝堂に内部を見ることはできなかった。モスクの中庭の周囲はぐるりと廃墟のような状態の放置された小部屋で囲まれていて、過去には旅人や巡礼者や商人の泊まるキャラバンサライであった。外部からのアクセスは小部屋の列の区切る美しいアーチの門からで、モスク中庭の左右と前にある。

Yeni Mosque -Istanbul-

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  ガラタ橋を望む金角湾前に巨大なオスマン様式のモスクが威風堂々と立ちはだかる。イスタンブール各地域を結ぶフェリー乗り場を前に、隣に巨大なスパイスマーケット、Egyptian Bazaarを控えた場所だけに、礼拝堂は観光客が見学にたくさん訪れていた。ビルのようにも見える角ばった重厚なファサードの向こうは、門をくぐると中庭を囲む小さなドームとアーチのアーケードになっている。中庭の広さと、大通り側からは遠くに見えた礼拝堂の大きさには圧倒される。中庭と礼拝堂は共におよそ正方形でその境に3段のバルコニーの着いた鉛筆型ミナレットが2本聳え立っている。モスク自体は典型的なオスマン様式でメインドームとそれを十字に支えるハーフドーム、小さなドームが4個ある。内部は青いタイルの巨大な柱、円のシャンデリア、見上げると緻密なアーチの文様、重なる巨大なドームと、その荘厳さには息を呑むばかりである。

Tara Mosque (Star Mosque)

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  バングラデシュを訪れる日本人の間では、星の文様が散りばめられたドームと、礼拝堂を飾るなぜか富士山のタイルで有名なモスクとなっている。リキシャや人々が行き交うカオスのような旧市街・オールドダッカの真ん中にあり、細い路地をぐるぐると巡って辿り着く。非常に不便な場所ではあるが、旧市街は訪れることだけで観光のハイライトになるような場所なので、街まで来てしまえばそう難しくはない。モスクは低層の住宅やらアパートの続く路地が開けた、学校の校庭の隣にあり、モスク自体も大きな中庭があるので分かりやすい。ムガール様式で建造され、礼拝堂は長方形の1層で頭上に2個のメインドームと3個のサブドームを抱いている。煤けてしまっているが、青い星の文様から、Star Mosqueとも呼ばれている。ファサードは9個の多弁型アーチからなり、煌びやかな星と植物文様で装飾されている。よく近づいて見ると塗装ではなく、文様だけでなく無地の白い部分でさえもちろん、細やかなモザイクで造られているのがわかる。礼拝堂内部は細長い2部屋に壁とアーチで区切られていている。時間によってはアーチに据え付けられたフェンスが閉じられているようであるので、ドームとミフラーブのある側を見学したいのであれば礼拝時間過ぎの方がよいのかも知れない。内装も外壁と同じモザイクと、花柄のタイルで彩られていて、富士山のタイルもその一部にはめ込まれている。

Kowloon Mosque

Hong Kong, Hong Kong : 香港・香港  香港九龍側の繁華街であるネイザンロードに沿って、白いモスクが建っている。モスクの敷地は九龍公園の横にあり、密集した香港独特の中層ビルが途切れ、大きく空いたような空に白く大きなドームと4本のミナレットが一際目立つ。1984年に完成した。元々付近の尖沙咀は元英領の歴史故、同じ英領であったインド亜大陸系の人種が多く集まっていたが、モスクを訪れるのも人々も、見ていると殆どがそのようだ。ネイザンロード階段を上がった1階はホールがあり、さらに階上へ上がると2層になったドームのある礼拝堂がある。1階は机が並べてあったが、こちらも礼拝室として使うことができるようである。階段を登り礼拝堂に入る。透かしの文様が入った大きな窓から太陽光が差し込み、内部は明るい。メインドームは外側も内側も文様はなく白く塗られているのみ。見上げると天井はドームの直径で円に切り取られていて、上層のムスリマの礼拝堂と吹き抜けになっている。デザインとして4個のお椀を伏せたような小さな植物文様のドームが、メインドームの周りに十字形に配されている。中には数人の礼拝者のみがおり、音もせず、香港屈指の繫華街の人々が行き交う雑踏の中で、忽然と静寂の空間が広がる不思議な印象であった。

Al-Sheikh Qasim Bin Muhammad Al-Thany Mosque (Hulhumale Mosque)

Hulhumalé, Maldives : フルマーレ・モルディブ  モルディブは言わずと知れたリゾートの群島であるが、基本的に外国人の滞在する高級リゾートと一般の住民の生活は隔絶されている。このモスクは土地の僅かなモルディブの国策として埋め立てを拡張している巨大な人工島フルマーレにある。島は首都マーレから船で15分程、陸路でも橋が本島から繋がっている。島の名からHulhumale Mosqueとも呼ばれており、商店などが並ぶ繁華街近くの木立の中に建つ。モルディブでも大きなモスクのひとつでもあり、モスクは円形で三角形の集合体からできた金色のドームが覆うように載った構造である。ミナレットは礼拝堂本体の建物から独、立して僅かに離れていて、頭頂部にはドームと同じような三角形の集合体のデザインの小さなドームがある。ブルーの床と白い三角形の繰り返す構造からの幾何学文様、三日月のような形状に切り取られた2階のバルコニーと大きな吹き抜けが織りなす空間が壮大で、ドームを外から見るのと内部は相当違った印象であった。