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Showing posts from October, 2018

Bajrakli Mosque

Belgrade, Serbia : ベオグラード・セルビア  過去オスマン帝国の一部であったセルビアには数々のイスラーム建築が存在していたが、その後破壊つくされ、今ではベオグラードに残る唯一のモスクとなってしまった。1575年ごろに建造され、その後に修復もされているが当時のオスマン様式の外観である立方体の基部とドームを支える八角形の外壁を今も保っている。モスクの名称はトルコ語での、祈りの始まりを知らせるためにミナレットに掲げた「旗」が由来となった。内装は文様などの装飾は少なくシンプルで、壁のアラビア文字で神の名を刻んだ碑紋のパネルが特徴である。

Hala Sultan Tekke / Mosque

Larnaka, Cyprus : ラルナカ・キプロス  1816年に建造されたという歴史のあるこのモスクは、ラルナカ市郊外の塩湖沿いにある。干上がった塩の結晶が続く先に椰子に覆われたモスクが佇むのは不思議な光景であった。季節により水を湛えた湖面に写る姿を見せるとのことだ。オスマン様式のデザインでブロック状の石を積み上げて造られている。国連機関により修復されたとのことであるが礼拝堂内のミフラーブは作業の途中なのか一部文様のない石が積まれている箇所もあった。カアバの方向を示すキブラ壁面の裏側に続く部屋は預言者ムハンマドの養母Umm Haramが埋葬されたという棺があり、霊廟となっている。尚、「Tekke」とは儀式を行う修道施設に与えられ、このモスクは複合施設の一部を成しているためにそう呼ばれている。

Carol I Mosque

Constanta, Romania : コンスタンツァ・ルーマニア  コンスタンツァは黒海に面したルーマニアの重要な港湾であり、また夏季のリゾートや旧市街の古い建築が残る街並みでも有名な都市だ。その旧市街に残る宗教建築の一つがこのモスクである。礼拝堂はビザンツ様式を取り入れており教会と見紛うデザインだ。高さ47mのミナレットはムーア様式を取り入れている。大きなモスクではないのだが城や砦を見るような独特な威厳を感じる。ルーマニアの科学者George Constantinescuによるデザインで建築家Victor Stefanescuらの手により、鉄筋コンクリートを使い建造され1912年に完成した。

Memorial Mosque

Moscow, Russia : モスクワ・ロシア連邦  モスクワ・ポクロンナヤの丘にある、戦勝記念公園の端に接する地区に建つモスク。レンガの壁と真鍮のドーム、石灰岩の装飾で構成された直線的でユニークなデザインだ。名称は大戦に従軍したイスラーム教徒のための記念碑としての意味をもつ。1997年に完成し、ロシアの建築家Iliyas Tajievによる外装のデザインは中央アジアやタタールのデザインを取り入れたとのことで、ファサードのアーチの形状とミナレットやドームの多角の頭頂部にそれを感じることができる。

Bajrampasha Isa Beg Mosque (Zallit Mosque)

Mitrovica, Kosovo : ミトロヴィツァ・コソボ  コソボの地方都市ミトロヴィツァの中心に建造された新しいモスクである。内戦で傷みが激しく取り壊した古いIsa Begモスクの跡地に、トルコの政府組織やトルコのBayrampasa自治体より資金や工芸技術者の提供を受け造られた。呼称が複数あり「Bajrampasha」「Isa Beg」「Zallit」のどれかや、複数を組み合わせて呼ばれている。デザインは外装と内装ともにトルコ国内にある数多くのモスクと同じ典型的なオスマン様式の建築で、先端が尖り鍾乳石状の装飾の付いた48mの2本のミナレットをもつ。

Sheikh Zayed Grand Mosque

Abu Dhabi, United Arab Emirates : アブダビ・アラブ首長国連邦  高さ85mの3個のメインドームからなる合計82個もの数のさまざまな大きさのドーム。モスクの中庭を囲む1048本の柱で支えられた長大な2本の回廊。最大4万人もの礼拝者を収容することができる広大な敷地。断面が正方形から8角形、円形へと変化する4本の107mの高さを誇るミナレット。異教徒が訪れることが可能なモスクとしては世界最大級であろう。大理石、金、イランの絨毯など世界中から集めた素材と職人技を使い完成した。シリア人の建築家Yousef Abdelkyによるアラブ、ムガール、ムーアの要素を融合させたデザインで、ドーム、回廊、ミナレットなどのすべての要素が白く眩く、そして巨大だ。内部もあまりにも巨大なムーア様式の柱が並び天井に向けアーチで8角形を造りドームとそこから下がるスワロフスキークリスタル製のシャンデリアを支えており、圧倒される。壁、天井やガラスなど全体に緻密な花と植物のモチーフで装飾されている。立ち止まって眺めると同じ文様はほかにないのではと思うほど多彩な柄をもち、目を奪われる。

Putra Mosque

Putrajaya, Malaysia : プトラジャヤ・マレーシア  首都クアラルンプール郊外にある政府機能が移転された新行政都市プトラジャヤ、その湖の辺に別名ピンクモスクの名の美しいモスクが佇む。色味の柔らかいピンクの特徴的な外観と華麗なドーム内部の装飾から、郊外にありながら今やクアラルンプール観光コースの一部となっている。ピンクの花崗岩を外装に使用し世界各地のイスラーム建築の要素、ペルシア・モロッコ・イラクなどのデザインを参考に建造されたとのことである。モダンと伝統が合わさった美しいシェイプは、現代のイスラーム建築を手がけるマレーシアの建築事務所Kumpulan Senirekaによるもの。116mもの1本のミナレットと50mの高さの大ドーム、建物4隅の対角線上に置かれた計8個の小ドームをもつ。周囲は遊歩道も備わり、大勢の観光客で賑わう。

Al-Akbar Mosque -Surabaya-

Surabaya, Indonesia : スラバヤ・インドネシア  インドネシア・ジャワ島にある、首都ジャカルタに次ぐ大商業都市スラバヤ。ブルーとグリーンに彩られたドームをもつこのモスクは東ジャワ最大級の大きさを誇る。四角錐に乗った高さ22mの釣鐘型のメインドームと、緩やかなカーブを描きながら頂点に達する4個の四角錐の小ドームという、あまり見かけない外観である。イスラームの99の神の名より99mの高さのある1本のミナレットには上層部に展望台が据えられている。建物から少し離れた外部に設けられたエレベーター口から登り、上方からモスク全体とスラバヤ郊外を眺めることが観光客でも可能だ。建物は非常に大きく、礼拝堂の内部から望む高さ27mものメインドームは独特の形状をしている。直下から柱のない巨大な空間から見つめると、深い緑で描かれた格子型の文様に吸い込まれる感覚があり、圧巻である。床は磨かれた大理石を使用している。幾何学文様を施された壁や扉を通じて入る外光のコントラストが美しい。