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Muhammad Ali Mosque

Cairo, Egypt : カイロ・エジプト  カイロ市内の小高い丘の城塞(シタデル)の中に建つ、ムハンマド・アリー朝の初代君主の名をもつモスク。当時の影響からオスマン様式で建設されており、茶色の壁にメインドームとそれに段のように支える半ドームの白さがエジプトでは珍しい。イスタンブールの建築家Yusuf Bushnakの設計にて1848年に完成。ドームのほか、先端の尖った82mの2本のミナレットや中庭など、トルコ・イスタンブールの Sultan Ahmed Mosque を模して造られたのがよくわかる。外装は主に石灰岩と、下層と前面に帯状の模様が入る方解石のタイルを使っており独特の色合いがある。礼拝堂内のドームから下がるシャンデリアとそれを囲むランプ群は圧巻だ。

Sehidler Xiyabani Mosque (Martyrs Mosque)

Baku, Azerbaijan : バクー・アゼルバイジャン  バクー市内の小高い丘の上に近年2度のアゼルバイジャンで起きた戦乱の戦死者達が眠る「殉教者の小路」と呼ばれる墓地がある。この横に殉教者のモスク、と訳される名をもつオスマン様式のモスクが建っている。庭からはバクー市街やカスピ海を望むこともできる。トルコの支援によって1991年に完成していたが途中2009年より修繕のため長らく閉鎖され、2016年に再び門を開くこととなった。周囲には前述の墓地や公園、モニュメント、カスピ海側から登ってくるケーブルカーの駅もあり、多くの人々や観光客が訪れる。道路を挟んでバクーのランドマークとなる3本の超高層ビル「Flame Towers」があり、琥珀色のモスクの背後でビルのガラスが青い空と白い雲を反射させていた。

Al-Fateh Mosque

Manama, Bahrain : マナーマ・バーレーン  2本のミナレットとグラスファイバーでできたメインドームをもつ、7,000人を収容するバーレーン最大のモスク。初代君主の呼び名から命名された。外装と内装ともに、砂漠のベージュ色の石に、えんじ色をベースにした幾何学的文様のクーフィー書体でアクセントをつけている。淡い黄色の光線で染まる天井からは柱状の大きなシャンデリアが下がり、荘厳な雰囲気だ。モスクは異教徒の観光客を積極的に誘致しており、選任のガイドがついてモスクやイスラーム教について案内をしてくれる。案内が終わるころにちょうど礼拝の時間となったのだが、ガイドから見学をと勧められ、2階から信者が1列で行う礼拝を拝観した。通常のモスクでは規定時間内の礼拝を異教徒へ見せることはないので、珍しい経験であった。礼拝中の撮影をも構わないという、開放的な姿勢でイスーラムを紹介している希有なモスクであると思う。

Al-Irsyad Mosque

Bandung, Indonesia : バンドン・インドネシア  バンドン市長にして建築家であるモハマド・リドワン・カミル氏と彼の設立した建築事務所Urbaneによって2010年に完成した。1本のミナレットと1,000人を収容する礼拝堂をもつ。外観は想像しうるモスクとまったく異なり、ドームのない立方体からなり、外壁として積み上げられた2色のブロックでカリグラフィーを表現している。内装に於いてもメッカの方向を示すキブラの壁はなく、長方形に切り取られた空間となっており礼拝者は外から射す光と向かい合う。外装と内装ともに、白・黒・グレーの素材でほぼ統一されており、伝統的なイスラーム紋様などの装飾は見られない。

An-Nur Jamek Mosque

Bandar Labuan, Malaysia : バンダルラブアン・マレーシア  マレーシア・ボルネオの連邦直轄領であるラブアン島に、この宇宙船の発着場のような不思議な形のモスクがある。外装はほぼグレー、そして白、黒だけで構成されている。当初ラブアン島が属する旧サバ政府にて建設計画が始まったが技術的な事情で延期の後、ラブアンが直轄領となり連邦政府の元で1987年に完成したという。2本の管制塔のようなミナレット、鋸の刃状の文様が入るドーム、それを支える丸い膨らみをもったモスクの屋根、半円に切り取られた格子状の採光の窓、船のような直線的なカットの事務所棟(図書館などがあるという)、という近未来的な形状をしている。内部は外見と異なりターコイズブルー単色に塗られたドームに茶色の壁という構造だ。構造から天井が非常に高く見え開放的だが、色調から落ち着いた感じである。

Assyafaah Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  イスラームの伝統的な意匠を現代のアルミやガラスの組み合わせで表現した、ドームのないモダンな形状のモスク。2004年に完成した。湾曲した鋼で隙間を作りながら組み合わせたミナレットも、まるでオブジェのようだ。礼拝堂はコンクリートのアーチ状の柱で支えられており、イスラーム文様のスクリーンを通して柔らかい光が差し込む設計になっている。ミフラーブには大きな現代風の幾何学的で平面的なカリグラフィーのみが描かれ、ほかに装飾はない。壁に埋め込まれた装飾はミフラーブと異なり、浮き彫りで影の付く美しい筆の動きがあるカリグラフィーのみである。建物の内や外の一部分だけを切り取ってみると見るとまるで新しい空港や現代美術館にでもいるかようだ。ミニマムで現代的なモスクの新しい型を模索する、発展都市シンガポールらしいモスクであると思う。

Jame' Asr Hassanil Bolkiah Mosque

Bandar Seri Begawan, Brunei : バンダルスリブガワン・ブルネイ  ブルネイにある二つの国立モスクの内の一つで、4本の高さ58mのミナレットと5,000人を収容する礼拝堂をもつ。モスクは整備された公園のような広大な敷地に建てられている。噴水や熱帯の樹木に囲まれ、黒・グレー・青、そして合計29個ものドームの金色の配色で飾られており実に幻想的である。内装は白色を基調に大理石の柱・床、シャンデリア、ステンドグラスの小ドーム、エスカレータなどで構成されており、まるで宮殿の華やかさだ。残念ながらモスク内部は撮影は禁止となっている。メインの礼拝所は2階となるが白いドームに金色のカリグラフィが眩しく、息を呑む。

Asfi Mosque

Lucknow, India : ラクナウ・インド  バラ・イマームバラと呼ばれるイスラームの複合建築群を構成する内の一つの建造物がこのAsfi Mosqueである。北インドの中都市ラクナウはインドの中でもイスラーム教徒が比較的多く、この場所以外でも周囲でイスラーム建築が多く見られる。このモスクはアワド太守時代のアーサフ・ウッダウラによってムガール様式で建造され、2本のミナレットと3個のドームをもち、雄大で見るものを圧倒させる。非ムスリムのインド人観光客も多数訪れていた。

Baiturrahman Grand Mosque

Banda Aceh, Indonesia : バンダアチェ・インドネシア  インドネシアの中でも敬虔なムスリムの住む地域として知られるアチェ州の州都バンダアチェの歴史的なモスクである。原型は1612年に当時の王(スルタン)によって建造され、途中オランダ軍からの攻撃で損傷しその後再建された。その後の増築で現在、7個のドームと礼拝堂正面の庭に建つ1本の大ミナレット・7本の礼拝堂の小ミナレットで構成された現在の型となった。黒いタイルで覆われたドームと白い外壁が印象的なデザインでムガール様式の影響を受けている。礼拝以外にもムスリムの観光客が多数訪れていた。

Nur-Astana Mosque

Nur-Sultan (Astana), Kazakhstan : ヌルスルタン (アスタナ)・カザフスタン  ヌルスルタン(アスタナ)市内の中心にある、2008年完成の金色に輝くドームと白く細身の4本の高さ63mのミナレットをもつ大モスク。その高さは預言者ムハンマドの生涯を終えた年齢である63歳を象徴しているという。礼拝堂内部は5,000人の収容人数を誇る。外見は非常にシンプルであるが、内装は豪華で、格子状の柱の装飾とドームとそこから下がるランプの円の調和が見事だ。