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Showing posts from March, 2025

Miktat Agaoglu Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  このモスクはイスタンブール郊外のMaslakと呼ばれる、工科大学や中高層ビル群が立ち並ぶモダンな新興開発地区に造られた。それに相応しく、モスクも一見そうとは見えぬデザインである。ミナレットは鉄骨が剥き出しのままで、礼拝堂を囲む屋根が先端で鉄骨を挟んで天を突き上がっていくユニークな構造である。モスクは建設や観光業を営む私企業会長のAli Ağaoğlu氏により建造され2020年に完成した。亡き父の名を冠している。本人も建築家であるそうで、黒字に金色の円を組み合わせた文様の屋根、星の幾何学文様が透けるガラスに捻りの入った円の幾何学文様の格子パネルを重ね、伝統の意匠とモダンを組み合わせたスタイリッシュな礼拝堂を造り上げた。内部も黒字に金を差し色のカリグラフィーを配した落ち着いた雰囲気で、天井のルーバーの直線的な構造に大小3個の円のドームがよく映えている。ルーバーの一部の緩やかな張り出しにドームの内側文様部分が埋め込まれており、ドーム自体の内壁は見ることができない構造になっている。

As-Salt Grand Mosque

As-Salt, Jordan : サルト・ヨルダン  丘陵にクリームイエローの壁の建物がひしめき合う、独特な景観のAs-Saltにある大モスクである。モスクの原型は現在のエジプトを中心としてたマムルーク朝の時代に造られたものだが、現在は全く新しく改築されている。1階は商店と礼拝堂、2階ではムスリマが集まり何か講義をしていた。商店のファサードはアラブ風でもありながら直線を使った現代建築にアレンジされている。とは言え、ドーム本体のデザインや角が落とされた台座と窓のデザインはマムルーク建築を意識しているのではないかと思う。ドームは鈍く光るグレーに塗られている。ミナレットは1本で円柱形と円のバルコニーに八角形の屋根がつく。

The Foundation of the Islamic Centre of Thailand Mosque

Bangok, Thailand : バンコク・タイ  一風変わった、朝顔の花びらのようなコンクリート造りの6角形の傘の屋根に覆われたデザインが目を引く。ブルータリズム建築とイスラーム建築の融合で、エントランスには日除けとして、同じデザインで礼拝堂の天井屋根へと続いている。屋根のメンテナンスは大変そうであるが、この日は屋根に掃除のスタッフが上がっていて、ホースで水を撒いていた。この地域はムスリムが多く、モスクは礼拝堂の他に、イスラム財団、図書館、ホールや食事のスペースなどもある、地域のコミュニティセンターとして利用されている。六角形の礼拝堂はイスラーム文様の青いステンドグラスに覆われ、黒と金を基調にした厳かな内装であった。ドームはないが、前述の優美な曲面と鋭いエッジの天井はまるで万華鏡のようで実に美しいものだ。

Jamiul Azhar Mosque

Chau Doc, Vietnam : チャウドック・ベトナム  チャウドックの対岸側はムスリムのチャム族が住んでおり、モスクがとても多くある。そのうちのいくつかしか見てはいないが、ここはこの地区でも比較的大きいモスクであるかと思う。門は煤けてしまっていたが、白い3個のドームやミナレットはきちんとメンテナンスされていて、青空に映えている。色調やデザインはマレーシアに住むインド系ムスリムの好むようなムガール様式に近く、白を基調に、エメラルドグリーンの差し色で彩られた、端正なモスクである。敷地は広く、集落側から入ると古い門と道があり、それを進むとムガール調の白い門と広大な墓地が広がり、その奥に礼拝堂がある。裏庭側にはマドラサ(学校)が建っている。完成は1959年、月のオーナメントにその数字が刻まれている。この遠いベトナムの地でこのデザインの影響力は不明だが、チャム族の出自は海を渡ってきたマレー系であることも関係しているのだろうか。