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Showing posts from February, 2020

Koh Panyee Darussalam Mosque

Ko Panyi (Phang Nga), Thailand : パンイー島 (パンガー)・タイ  プーケット近くのマングローブ生い茂るパンガー湾内に、ほぼ全体が巨大な岩の島の岩盤にモスクを建て、浅瀬に杭を打ち造られた水上家屋の漁村がある。パンイー島と呼ばれるこの島の語源Panjiはムラユ語で旗を意味し、定住のためのよい漁場を見つけた知らせになる旗から来た。住民の祖先はインドネシア・ジャワからの漂海民ですでにタイ化しているが、今でもイスラーム教を信仰している。この村のモスクは島へ近づく船からもとても目立ち、村の規模を考えると大きいものだ。島は断崖絶壁の岩がほとんどを占めており住居や学校やサッカー場などは水上にあるが、モスクと隣接する墓地は限られたわずかな地面の上にあり、そこにも信仰の深さを窺うことができる。周囲は表玄関以外は水上家屋に囲まれており、モスク全体を俯瞰することはほぼできず、遠く離れてもほぼ民家の屋根越しに眺めることになる。2階建てのモスクの頭上には金色に輝くメインドームと、2個のサブドーム、アーチで飾られた2本のミナレット上にも2個のドームがあるのが見える。建物全体をアーチのデザインで囲んでおり、ミフラーブの曲線のあるキブラ壁以外の3方はバルコニーとなっている。アーチを支える柱は四角の鏡やパターンのモザイクで装飾されており、美しく光に輝いていた。外観は新しく見え、2017年に修復されているとのこと。

Aspire Mosque

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  ドーハ中心部からやや離れた、Aspire Zoneなる広大な複合競技場施設のうちの一つとしてこのモスクは造られた。周囲はKhalifa Stadium、Aspire Dome、この地区のランドマークでもある高さ300mのThe Torch Dohaなどの錚々たる巨大な建造物が建ち、このモスクは決して大きくはないが、850人を収容する。背面から持ち上がり円柱で支えられたペン先の型状の5角形の屋根の鋭角の頂点が正面となり、丸みを帯びた礼拝堂のアクセントになっている。両脇に少し離れて左右高さの違う直線的な2本のミナレットが建つ。カタールのモスクは伝統的な意匠を好む感じがするがこのモスクはそうではなく、流線型の躍動感のあるモダンなデザインを取り入れ、周囲の競技状施設群との景観と調和を図っている。

Sri Sendayan Mosque

Seremban, Malaysia : スレンバン・マレーシア  このところ、マレーシアで最も美しいモスクと声を聞くことが多くぜひこの目で確かめてみたくなり、クアラルンプール郊外のセレンバン、さらにその遠くBandar Sri Sendayan地区を訪れた。以前はクアラカンサーの Ubudiah Mosque がその代名詞であったと思うが、このモスクで出会ったマレーシアの人々もここはマレーシアで一番だと口を揃えていたのが印象的だ。2015年に完成した5,000人の礼拝者を収容するという大きな礼拝堂、図書館、多目的ホールなどの施設をもち、白い外壁に高く聳える2本のミナレットと白い4個のドームが優美なモスクである。外観に伝統的なマレーシア様式のデザインは取り入れておらずアラブ様式で建造されており、特にミナレットはサウジアラビアのマディーナにある「預言者のモスク」にインスパイアされたのではないかと思える。頭上に小ドームを頂き、正面に5個、側面に6個のアーチで支えられたポルティコの天井は黄味がかったガラス張りで、柔らかな光が内部を照らしていた。小ドームの奥に巨大なメインドームを配し、正面から見据えるとその姿はタージ・マハルをも彷彿させる。モスクはマレーシアの金融グループであるRHBのTan Sri Abdul Rashid Hussain氏の寄付により計画され、またマレーシアの建築家であるZailan Yusop氏によって設計された。建材はエジプト、トルコ、UAE、モロッコなどから運ばれたそうで、シンプルな外装から一転、淡いブルーやベージュを組み合わせた荘厳な内装や純金を塗られたドーム内壁には息を呑み目を見張るばかりである。

Bilal Mosque

Bangalore (Bengaluru), India : バンガロール (ベンガルール)・インド  伝統的なオスマン様式を新しく書き換えた独特のスタイルをもつモスクである。2015年に完成し、4階建てで6,500人を収容とバンガロールで最大級の大きさを誇っている。エントランスのアーチや2段バルコニーの鉛筆型ミナレット、4個の半ドームでメインドームを支える構造はオスマンの伝統的なデザインに則っている。しかし、装飾を減らして平面でドームを、直線でアーチを強調したアレンジでインドでは見かけることのない近未来的でもある雰囲気をもつ。モスク全体は白に近い薄いクリーム、ドームは艶のない薄いグレーで塗られ、縁取りとミナレットの縦ストライプに濃紺を使って直線的で引き締まった印象を与えている。オスマン様式のモスクなどは大抵そうであるが、こちらも外観と反対にドーム内側に手の込んだ装飾を施しており、四角に切り取られた吹き抜けのバルコニー越しに見上げる天井は万華鏡のようであった。

Meeran Jumma Mosque

Galle, Sri Lanka : ゴール・スリランカ  モスクの門をくぐると「ここは教会ではないんだよ。」と早速門番から声を掛けられた。離れてよく見れば控え目な5本のミナレットやファサード頭頂部の月の紋章、2本の尖塔上の小さなドームに気が付くが、一見しただけではキリスト教会に見紛う重厚な建築だ。様式についてはインドのゴアなどで見られるポルトガル植民地独特のバロック様式で建造されていると思うのだが、1904年完成との通説ではイギリス領セイロン時代となり様式が合わない。モスクはそれ以前に原型があった様子なので、その年に現在の外観に改築されたのではないか。このモスクのあるゴール旧市街は城壁に囲まれた要塞の街で長くポルトガル、オランダ、イギリスに支配されていた。今も当時のコロニアル建築が数多く残っており、ヨーロッパとアジアの混じったデザインの柱やアーチのあるファサードと白い壁、オレンジ色の屋根の美しい街並みが続き、多くの観光客を呼び寄せている。この白亜のモスクも道路から砦に上り眺めると、屋根の欄干とミナレット越しに付近の家屋と同じ濃淡のあるオレンジ色の瓦を覗かせているのがわかる。ゴールには古くから交易のためアラブ人達が訪れ住んでおり、特にこの旧市街にはイスラーム教徒が多いようだ。周囲にも別のモスクやイスラーム学校などもあり、礼拝に訪れていた一人も、モロッコから来た商人の末裔とのことであった。モスク内部は白い壁、柔らかい曲線のアーチ、床のくすんだオレンジのタイル、こげ茶色の木製の天井とすべてが相まって静寂さを醸し出している。礼拝堂の壁は淡い黄色で塗られ、天井は高く、見上げると2階の屋根までも吹き抜けになっている。海岸沿いの砦の先端辺りに建っているため、白い壁のアーチの窓からはぼんやりと青いインド洋が浮かんで見えていた。