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Al-Ehsan Mosque

Chau Doc, Vietnam : チャウドック・ベトナム  このモスクのあるDa Phuoc Cham村は市中心部から橋で河を渡った対岸先にあるムスリムの村である。高床の家が並び、買い物にムスリマ達が集まる小さな市場を見るとベトナムとは思えない、不思議な雰囲気だ。チャウドック市内中心はそれほどイスラームを感じない。対岸側へ渡り少し辺鄙な場所まで来ると、大乗仏教や中国発祥のベトナム文化と全く異なった世界が広がっていてなかなか面白い。実際に2組の観光客がガイドに連れられてモスクと村を訪れていた。このモスクも失礼ながら村の規模に比べると随分立派で、5行からなのか数に特徴のある5本のミナレット、金色の大きな8角のドームが随分遠くからも目立つ。外見だけでなく、礼拝堂内部も白、金、エメラルドグリーンで飾られ、美しくメンテナンスされている。礼拝室はミフラーブ側、ドーム側と2カ所にアーチで区切られている。ここは他に比べそれほどアーチやドームのデザインに南インドらしいの様式は感じられず、タイにあるモスクに相似を感じる。

Kariye Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  ビザンツ帝国時代に建造されたギリシャ正教会のThe Chora Churchをオスマン帝国の占拠後に転用したモスクであり、現在は博物館とモスクの複合施設として使用されている。教会からモスク、そして世俗化し博物館へ、その後モスクに戻され、一部を博物館と共用することになった経緯がある。訪問時点ではモスクになってから数年間の最後の修復が終えたところであった。構造は1本のミナレット以外ビザンツ様式の正教会ほぼそのままで、ドームは6個、外壁に大きなバットレスが突き出ている。内部は大きく4箇所に分かれ、うちL字型の内部拝廊と外部拝廊(インナーナルテックスとアウターナルテックス)、墓廟礼拝堂(パレクレシオン)には、ギリシャ正教会時代のフレスコ画とモザイクが残されている。L字に囲まれた現在礼拝室として使用しているナオス(内陣)には、ミフラーブ、ミンバルが置かれている。礼拝室左右と柵があるため見えにくいがエントランス真上の壁3箇所にはまだモザイクのパネルが残されている。うち1枚は聖母子のモザイクでよく目立つのだが、スタッフに礼拝時はどうするのか聞いたところ、パネルの上にロールカーテンがあり、礼拝時間はスクリーンとしてカーテンを下すとのことであった。 Hagia Sophia Grand Mosque とは規模は違うが、立ち位置は似ているので興味があればお勧めのモスクである。

King Hussein Mosque

Amman, Jordan : アンマン・ヨルダン  まるで要塞のようなヨルダン最大級のモスクがアンマン北西の小高い丘に建つ。公園に隣接しており、モスクの周囲は樹木で覆われているが、遠くから赤銅色のメインドームと四角形の大きな4本のミナレットがとても目立つ。モスクは完全な正方形で、石材はヨルダン産の淡いベージュ色の石灰岩が使用されている。デザインは地中海近辺のモスクに似ており、礼拝堂の大きなアーチのエントランスはストライプ模様のレバント地域で見られるものだ。モスクは半分が中庭で半分が礼拝堂になっており、外の庭からモスクへ入ると、柔らかい光の差分が美しい交差ヴォールトの回廊をくぐり抜けて礼拝堂に向かう。礼拝堂は金色の巨大なシャンデリアが中庭と同じ交差ヴォールトの天井に吊り下がり、ベージュの壁と絨毯の差し色の黒と赤の色合わせが現代風の洗練された雰囲気である。画像では見えにくいが、ドーム直下のミフラーブとミンバルとキブラ壁は木製で、イスラーム文様のモザイクとカリグラフィーの彫刻で装飾されている。

Mubarak Mosque

Chau Doc, Vietnam : チャウドック・ベトナム  チャウドック市街地の川を挟み対岸側に建つ、前に紹介した Jamiul Azhar Mosque 近くにあるモスクである。それほど人通りの多い集落でもないのであるが、近辺はモスクがいくつかあり、住民のチャム族のイスラーム信仰の深さを感じる。メインドームは2つあり、8角形のベランダに小ドームを載せた2層のミナレットは中央に1本、礼拝堂の4隅に小ドームの載せた尖塔が建つ。ファサードの回廊のアーチはインドのイスラーム建築で使われる多弁形アーチを使用している。どことなくマレーシアで見られるインドサラセン建築やムガール建築の要素が見られるようだ。ベージュ色、白を基調にターコイズグリーンの差し色で装飾されており、月と星のオーナメント以外に装飾は見られず、シンプルだ。礼拝堂内部の2つのドームは各々4本のターコイズグリーンのモザイクの柱で支えられている。

Miktat Agaoglu Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  このモスクはイスタンブール郊外のMaslakと呼ばれる、工科大学や中高層ビル群が立ち並ぶモダンな新興開発地区に造られた。それに相応しく、モスクも一見そうとは見えぬデザインである。ミナレットは鉄骨が剥き出しのままで、礼拝堂を囲む屋根が先端で鉄骨を挟んで天を突き上がっていくユニークな構造である。モスクは建設や観光業を営む私企業会長のAli Ağaoğlu氏により建造され2020年に完成した。亡き父の名を冠している。本人も建築家であるそうで、黒字に金色の円を組み合わせた文様の屋根、星の幾何学文様が透けるガラスに捻りの入った円の幾何学文様の格子パネルを重ね、伝統の意匠とモダンを組み合わせたスタイリッシュな礼拝堂を造り上げた。内部も黒字に金を差し色のカリグラフィーを配した落ち着いた雰囲気で、天井のルーバーの直線的な構造に大小3個の円のドームがよく映えている。ルーバーの一部の緩やかな張り出しにドームの内側文様部分が埋め込まれており、ドーム自体の内壁は見ることができない構造になっている。

As-Salt Grand Mosque

As-Salt, Jordan : サルト・ヨルダン  丘陵にクリームイエローの壁の建物がひしめき合う、独特な景観のAs-Saltにある大モスクである。モスクの原型は現在のエジプトを中心としてたマムルーク朝の時代に造られたものだが、現在は全く新しく改築されている。1階は商店と礼拝堂、2階ではムスリマが集まり何か講義をしていた。商店のファサードはアラブ風でもありながら直線を使った現代建築にアレンジされている。とは言え、ドーム本体のデザインや角が落とされた台座と窓のデザインはマムルーク建築を意識しているのではないかと思う。ドームは鈍く光るグレーに塗られている。ミナレットは1本で円柱形と円のバルコニーに八角形の屋根がつく。

The Foundation of the Islamic Centre of Thailand Mosque

Bangok, Thailand : バンコク・タイ  一風変わった、朝顔の花びらのようなコンクリート造りの6角形の傘の屋根に覆われたデザインが目を引く。ブルータリズム建築とイスラーム建築の融合で、エントランスには日除けとして、同じデザインで礼拝堂の天井屋根へと続いている。屋根のメンテナンスは大変そうであるが、この日は屋根に掃除のスタッフが上がっていて、ホースで水を撒いていた。この地域はムスリムが多く、モスクは礼拝堂の他に、イスラム財団、図書館、ホールや食事のスペースなどもある、地域のコミュニティセンターとして利用されている。六角形の礼拝堂はイスラーム文様の青いステンドグラスに覆われ、黒と金を基調にした厳かな内装であった。ドームはないが、前述の優美な曲面と鋭いエッジの天井はまるで万華鏡のようで実に美しいものだ。

Jamiul Azhar Mosque

Chau Doc, Vietnam : チャウドック・ベトナム  チャウドックの対岸側はムスリムのチャム族が住んでおり、モスクがとても多くある。そのうちのいくつかしか見てはいないが、ここはこの地区でも比較的大きいモスクであるかと思う。門は煤けてしまっていたが、白い3個のドームやミナレットはきちんとメンテナンスされていて、青空に映えている。色調やデザインはマレーシアに住むインド系ムスリムの好むようなムガール様式に近く、白を基調に、エメラルドグリーンの差し色で彩られた、端正なモスクである。敷地は広く、集落側から入ると古い門と道があり、それを進むとムガール調の白い門と広大な墓地が広がり、その奥に礼拝堂がある。裏庭側にはマドラサ(学校)が建っている。完成は1959年、月のオーナメントにその数字が刻まれている。この遠いベトナムの地でこのデザインの影響力は不明だが、チャム族の出自は海を渡ってきたマレー系であることも関係しているのだろうか。

Bayrakli mosque (Yokush Mosque)

Samokov, Bulgaria : サモコフ・ブルガリア  首都ソフィアからは50Kmほど北へ向かう山間の小さな街サモコフに、それは美しいかつてモスクであった小さなイスラーム建築が佇んでいる。現在はモスクとしての機能は既に全くなく、美術館として使われている。バルカン半島で使われなくなったモスクは得てして内装に漆喰を塗られてしまったりミナレットを落とされたりしてしまうものだが、ほぼ完全なモスクの形状を保っているのは珍しい。片隅にはイーゼルが積まれ、モスクに全く関係ない展示もされているようでもあるが、絵画的な装飾そのものが美術の継承として残されているようだ。1845年頃に完成したと伝えられ、以降修復されている。構造は長方形の2階建てで、寄棟造りのオレンジ色の屋根に青銅色の鉛筆型ミナレットをもつ。バルカン半島でよく見られるタイプのもので、他と違うのはミナレットに煉瓦の螺旋模様があること、屋根からドームが突き出ていることかと思う。4本の柱で支えられたドームは棟の真中心でなく、ミフラーブのあるキブラ壁側に寄って載っている。ファサードは2階に7個の窓が並び、正面から見て7個のアーチを8本の柱で支える柱廊玄関になっている。アーケード状の奥まった1階には、エントランスへの通路と向かって右端に階段のユニットがある。1階の壁は左右とも写実的な花瓶に生けた花の絵やカーテンが描かれている。窓枠や玄関扉などは鮮やかなブルーで、天井は紺色に塗られている。内部は正方形の礼拝堂でエントランス頭上にバルコニーがある。ドームの14枚の窓から光が注ぎ、グレーと金色のバロック調の植物文様を照らしていて、ここがモスクでないことが不思議な程荘厳であった。ドーム内側の頭頂部は六芒星が描かれているのも特徴的である。内部にはモスクのルーツについて紹介のボードも用意されていた。

Sharif Hussein bin Ali Mosque

Aqaba, Jordan : アカバ・ヨルダン  アカバ市内の中心にあるモスクで、1975年に完成したアラブ様式のモスク。モスクのエントランスは中庭を囲む回廊の一部で、そこから中へ入ると水場のある大きな中庭になっており、その先に礼拝堂のエントランスがある。中庭は天井に幕を張っており、日陰になっているが写真の撮影が難しく、訪問後は背後の高台へ向かっていく庭園側へ登り、全景の写真を撮った。長方形の礼拝堂は幅が随分と広く、天井には1個のメインドームを抱く。ミナレットは8角形で3段のバルコニーをもち、中庭に隅に建つ。ミフラーブ、ミナレット中段とドームの外装は鋸歯状の波線文様で装飾されている。モスクの名はオスマン帝国への蜂起、独立運動の指導者であり、現ヨルダン国王家の先祖でもある故Sharif Hussein bin Aliから採られている。