Betong Central Mosque
Betong, Thailand : ベトン・タイ 空色のドームは色褪せてしまっていたが、そのモスクはタイの南、最果ての地に孤高に佇んでいた。緑濃いタイ深南部ヤラー県の山中に忽然と現れる都市ベトン。意外にもイスラーム人口が圧倒的に多いこの地域の中で、珍しく際立って中国系タイ人が多い街だった。それでもあと数kmでマレーシアとの国境ということもあり、ムスリムもやはり多く住んでいる。タイで見かける多くの中規模のモスクは重厚な造りの印象があるのだが、このモスクはドームや外壁の色調、白いアーチの回廊、礼拝堂は正方形でミフラーブのあるキブラ壁を除く3方にサブドームを頂くポルティコを配するなど、全体のバランスに気品を感じる。どちらかというと、マレーシア側のプルリス州やケダ州にあるモスクのデザインに近いのではないかと思う。タイ側からみると辺境とも言える場所になるのだが、マレー文化圏側から見るとこのような端麗なデザインのモスクがこの街にあるのも頷ける。ミナレットは1本でアーチを嵌め込まれたバルコニーに小さなドームを載せ、正面から見ると奥側にある。内装は白く、ドーム外装に使われている同じ空色を差し色に使用している。ドーム内部に装飾はなく、白色の無地。ドーム台座と天井近くに連なった丸い窓は、青や黄色に彩られて礼拝堂の中を照らしていた。