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Al-Farooq Omar Bin Al Khattab Mosque

Dubai, United Arab Emirates : ドバイ・アラブ首長国連邦  ドバイ市内海岸線寄りの静かな住宅街であるAl Safa地区にある、オスマン様式のモスク。Khalaf Ahmad Al Habtoor財団によって現在の姿へと再建されたのは2011年になる。クリームを基調に、淡くグレーがかったブルーが差し色になった柔和な組み合わせの色合いをし、頭頂部がブルーの2段のバルコニーが付いた65mの鉛筆型ミナレットを4本もち、礼拝堂の上部にあるブルーに塗られたメインドームは4つの半ドームと内部の4本の柱で支えられている。トルコ・イスタンブールの Sultan Ahmed Mosque 、通称ブルーモスクからインスパイアされたデザインと公式にアナウンスされているとおり、伝統的なトルコのモスクを見ているようだ。ドームは大小合わせ21個、ステンドグラスは124枚にもなるという。あまり知られていないことではあるが、UAE国内にいくつかある開放されたモスクであり、モスクの内部まで訪問が可能である。礼拝堂内部は2000人を収容し、頭上のストライプのアーチや、緻密なドーム内側のパターンを望むことができる。

Noor Al Deen Mosque

Muscat, Oman : マスカット・オマーン  2015年にマスカット市街に完成したモスクで、3面のエントランスに配した柱廊を模した半円アーチが特徴。アーチは骨組みだけの構造で天井に当たる部分は吹き抜けになっている。建物全体は柔らかな白一色でシンプルだが垂直を強調した直線と繰り返すアーチの曲線を用いており洗練されたデザインだ。礼拝堂の隣に付属する施設の棟と合わせ合計4個のガラスのドームをもち、メインドームは昼は外部から自然の光を礼拝室に取り入れることができる。またそれは夜になると内部からの照明で闇にドームが美しく浮かび上がる仕組みになっている。残念ながら内部の見学はできなかったが、ドームの内側には透かし彫りの細工がはめ込まれており、差し込む光をドームの模様にして映すというデザインになっている。デザインはドイツとオマーンの合弁企業であるHoehler + alSalmyによる。

Sultan Ismail Petra Mosque

Kota Bharu, Malaysia : コタバル・マレーシア  マレーシア東岸の中都市コタバルにある1992年に完成した大きなモスクで、メインの礼拝堂は2,400人を収容する。4本のミナレットと2個の大ドーム、4個の小ドームをもつ。コタバル市はマレーシアの中でも際立ってイスラーム色の強い敬虔なマレー系住民の多い街であるが、このモスクはマレーシアに多い、伝統的マレーシアのデザインという感じはあまりしない。建物は大きな長方形で、外壁は大きなアーチが連続しており、紺とグレーの色合いにより強くそれを感じるというわけでもないのであるが形状だけはアラブ地域の新しいモスクに似せたデザインである。紺に塗られたドームとミナレットの下方にはミニマムな花のモチーフが続き、重厚な全体のデザインに可憐なアクセントになっているのが面白い。礼拝堂は全体に白と金色を基調にしたシンプルで静寂感のあるデザインで、ドーム内側は文様のない空と同じ青一色に塗られている。ドーム直下の半円がそのまま湾曲した壁となっており、イマームが説法のために上がるミンバルが、通常背後のキブラ壁に接している通常のモスクと違い、独立して据えられているのが特徴的である。

Sheikh Abdulla Bin Zaid Al Mahmoud Islamic Cultural Center / Mosque

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  ユニークな螺旋状のミナレットをもつモスクとイスラームを紹介する文化センターからなる複合施設で講習会、アラビア語教室なども主催されている。いくつかの名で通っており、FANAR、Qatar Islamic Culture Centerとも呼ばれているが正式な名称はカタールのイスラーム学者の名から取られている。ミナレットのデザインはイラクのSamarraにあるGreat Mosqueのミナレットをモチーフにして造られたもので、周囲にあまり高い建物がないためにSouq Waqif周辺からはよく目立つ。夜間のライトアップは幻想的で、ドーハのランドマークとして記憶する観光客は多いと思う。1階は展示室となり、モスクや図書館、教室などの施設は階上にある。外観からはわからなかったが、内部の礼拝室の前はミナレットを見上げることのできる吹き抜けの中庭となっていた。

Kobe Muslim Mosque

Kobe, Japan : 神戸・日本  ターコイズに黒いストライプの入ったドームが映える日本最古のモスクである。古くから海外に開かれていた港街である神戸に、インド系ムスリムのFerozuddin、M.A.K Bochia両氏そのほか多数のインド・タタール・トルコ系信者達の尽力や寄付金により建造されたのは1935年のことだ。強固な構造により第2次世界大戦の爆撃でも焼失を免れ、その後の阪神大震災でも破壊を免れている。モスク入り口の受付にある当時の写真のうちの一つから、1945年の戦時の瓦礫の中でもその姿を失っておらず壮絶な歴史を経験して来たのがわかる。設計は当時日本に移住していたチェコの建築家であるJan Josef Švagr氏。このモスク以外にも同じ港街である横浜にも歴史建築を残している。

Saifee Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  三角屋根の倉庫街にある細くて暗い通路、その先の光の向こうにモスクがあるとは誰が想像できようか。今までたくさんのモスクを訪れたが、ここまで不思議な日常からの隔絶感を味わったことはないと思う。このモスクのある古い倉庫街はスパイスやハーブの貯蔵庫として今でも現役で、訪れた日は大勢の人々が路上いっぱいにスターアニスを洗い、天干ししており芳しい香りに満ちていた。モスクへはこの倉庫街の隙間にあるトンネル状の通路を抜けて出る。そしてたどり着くやすぐ目の前にゴシック様式で造られた薄いベージュの美しいモスクと明るい庭が現れる。このモスクはバンコクのほかのモスクと違い、シーア派の一派であるDawoodi Bohraと呼ばれるタイではわずかな珍しいコミュニティに属しており、この派のモスクはタイで唯一だ。インドのグジャラート州スーラト出身の貿易商人らによって、1910年に造られた由緒ある歴史をもち、その名は「剣」を意味するという。モスクはコンクリート製の長方形の箱型で屋上のバルコニーには小さな装飾の尖頭がついているが、メインのミナレットやドームはない。また、モスク内部にはミンバルもない。また礼拝堂内の2階のバルコニーには扉が付き、吹き抜けの4方向すべてをぐるりと囲っているのが特徴で、ほかでは見かけない仕様だ。2階へ上がる階段は透かし彫りの装飾の付いた木製で建物横に大きく取られている。ステンドグラスの尖頭アーチ窓、透かし彫りのアーチで飾られたポーチや玄関扉などもまた、重厚で美しい。木々茂る庭には川沿いへ向かう門も残っていたがどんな事情なのか使われず閉鎖されてしまっていた。

Haydar Pasha Mosque

Lefkosa, Northern Cyprus : レフコシャ・北キプロス  垂直の高さのある控え壁(バットレス)と細長い尖頭アーチ窓をもつゴシック様式のモスクであったが、現在はすでにモスクとして使われていない。もとになったのは14世紀に建造されたSaint Catherine's Churchと呼ばれるゴシック教会であり、キプロスへ侵攻したオスマン帝国軍によってミナレットを付け足されモスクとして1570年に転用された。長くモスクとして使われておらず、近年の修復の後、現在はHP Galleryとも呼ばれる展示スペースとして使用されている。3枚の扉のうち南の正門側にある扉には、今でも当時の緻密な彫刻や紋章の細工が残っている。内部は残念ながら見学できず。名称は現在もモスクの名のままで通用しているため、そのままタイトルとした。

King Faisal Mosque

Sharjah, United Arab Emirates : シャールジャ・アラブ首長国連邦  シャールジャ市街の基点となるランドマークのような存在のモスクで、シャールジャの景色として紹介されているのをよく見かける。地域最大級の大きさを誇り、サウンジアラビアの王の財団King Faisal Foundationによって建設され1987年に完成した。Al Ittihad Square Parkと呼ばれる大きな公園に隣接しており、全貌が遠くからでも窺える。約17,000人を収容することができ、内部には図書館も併設されている。2本のミナレットと1個の装飾のない卵型のシンプルなドームをもち、モスク全体が3段で造られている。コーナーのシャープなステップ状のデザイン、そしてファサードと両サイドのカーブを帯びて斜めに突き出たカンチレバー構造の日除けとアーチが特徴的である。

Al-Khamis Mosque

Manama, Bahrain : マナーマ・バーレーン  バーレーン最古のモスクといわれ、名称はモスクとのままであるが現在はすでに礼拝の場としての機能はなく歴史建築物として保存されている。敷地はモスクの遺構とその紹介をする資料館となるビジターセンターで構成されている。名称のKhamisは木曜日という意味で、モスク近くで木曜日に開かれていた市場から取られた。モスクの原型は8世紀初頭に建造され、11世紀ごろに改修、その後にミナレットを付け足した。現在は2本のミナレットと、円柱とそれに載るアーチが残されているのみ。クルアーンを刻まれたミフラーブの石碑はセンター内部で保存されている。2本の高さ約21mのミナレットは小さなドームを頭頂部にもち、バルコニーが付属している。ミナレットは東西わずかながら高さが異なり、建てられたのも同時でなく、最初の1本は12世紀に、その後14世紀にもう1本が追加された。その後もミナレットやモスクに何度かの修復があり、現在に至る。

Said Bin Taimur Mosque

Muscat, Oman : マスカット・オマーン  赤銅色の多数のドームをもつモスクで、オスマン様式で1999年に建造された。メインドームは2個の半ドームで支えられ、礼拝堂にはミフラーブをカバーするものも合わせ大小14個ものドームで飾られている。中庭の回廊にも16個の小さなドームが配され、イスタンブールの Sultan Ahmed Mosque へのオマージュを感じるデザインだ。50mの高さの2本のミナレットも、鍾乳石飾りのついた2段のバルコニーをもつ伝統的なオスマン様式の筆型で造られている。シャープに尖った頭頂部もドームと同じ赤銅色に塗られており青空に映えるデザインだ。モスクの名は現国王Qaboos bin Saidの父、亡きSultan Said bin Taimurの名を冠している。