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Jumeirah Mosque

Dubai, United Arab Emirates : ドバイ・アラブ首長国連邦  アラブ首長国連邦(UAE)国内にいくつかしかない、異教徒の見学が可能なモスク。UAEではアブダビの Sheikh Zayed Grand Mosque とともに美しさでも有名なモスクであり、世界中からの観光客が多数見学ツアーに参加し混雑していた。外装はベージュ単色で幾何学パターンの浮き彫り細工を施された、メインドームに4つの小のドームと2本のミナレットをもつ。デザインにシリアとエジプトの建築様式を取り入れて建造され、1979年に完成した。内装は淡いクリーム色、ピンク、ブルーに塗られた装飾をアーチや天井に施され、半球の大小ドームを支える台座には3角形に縁取られた文様が入っているのが印象的だ。

Arcapita Mosque (East Park Mosque)

Manama, Bahrain : マナーマ・バーレーン  アメリカ・シカゴで設立された世界中の超高層建築を手掛けていることで名高いSkidmore, Owings & Merrill (SOM)の設計で、マナーマ湾岸の新開発地域に建造された。モスク名のArcapitaはバーレーンの銀行であり、モスクは同じくSOMが設計をした本社ビルの一部を構成している。ソリッドな石造りの立方体の外観と、イスラームの意匠はミナレットの月のみという革新的なデザインは、現代のモスクデザインの評議会Abdullatif Al Fozan Awardより賞を勝ち取った。立方体の内部は2階建てで、離れて50mのミナレットをもつ。外観からは見えないが、外壁に均等に配置された3角形の切り込みには3角形の細い天窓があり、最小の熱でモスク内部へ光を取り込める。

Jami Ul-Alfar Mosque

Colombo, Sri Lanka : コロンボ・スリランカ  コロンボ下町の喧騒の中に、赤の白のストライプと格子模様のレンガに覆われた個性的なモスクが建つ。通りに立ち並ぶさまざまな商店が突如として途切れ、周囲と異なる色彩が現れる。その色合いから、別名Red Mosqueとも呼ばれている。2nd Cross StreetとMain Streetの交差点に跨って建っているが、交差点はモスクと関係のない独立した商店になっている。Main Street側は奥行きのあるファサードとなっているが、隣のビルの壁にモスクの壁と同じ赤白のストライプと格子の壁をつくり、擬似的な窓の形までも取っているのが面白い。インド・サラセン様式を取り入れたデザインで造られ、1909年に完成した。メインのミナレットには時計が付き、上部にあるドームは石榴をイメージした形状とのことだ。

Education City Mosque

Al-Rayyan, Qatar : アル ライヤーン・カタール  ドーハ郊外のアル ライヤーン地区に、カタール財団によって設立されたEducation Cityと呼ばれる大学などの複合教育地区が建設された。その広大な敷地に忽然と巨大なモスクが現れる。最初に目に入ったのは三角形の平面的なパネルで構成された、白い緩やかな曲線をもつ外観であった。周囲に沿って歩くと突然パネルは立体感をもち、丸みを帯びた生物のような躯体に変化する。今まで見ていた平面はまるでその断面であった印象だ。面は柔らかな曲線を造りながら徐々に高度を下げ、やがてシャープなデザインの斜めの2本のミナレットになるという斬新なデザインだ。どこを見ても同じ要素がない、連続した曲線が優美な設計はイギリスとスペインに本拠を置く建築事務所であるMangera Yvars Architectsによる。外装だけでなく、浮き彫りされたクルアーンで飾られた中庭を囲むガラスの壁や、吹き抜けの階段、1,800人を収容する真っ白なドーム状のメインの礼拝堂と金色の立体的な三角形の輝くミフラーブなど、見所が多い。内部は教室などをもつ複合施設になっており、先に見た外観と内部の構造を比較しながらほぼ全体を歩くことができる。

Sultan Qaboos Grand Mosque

Muscat, Oman : マスカット・オマーン  オマーン国王であるQaboos bin Saidの命により2001年に完成した、白いインド産の砂岩造りの重厚なデザインのモスクである。広大な敷地をもち、モスクへと続く美しく花が咲き手入れされた樹木が茂る庭園にまず圧倒された。淡い茶色のアーチの続く長い廊下は庭園とモスクを区切り、2本の廊下の両端に2本の短いミナレットをもつ。うち表側片方のみメインの白い90mのミナレットが付随する。格子状の透かしの入った金色のドームと中庭がある礼拝堂は、2本の廊下に間に広大な床のスペースを擁し建っている。外装だけでなく、長廊下や回廊の天井のドームや木彫り細工も美しい。また、巨大なシャンデリアと淡く緻密な文様が光り浮かび上がる礼拝堂のドーム内側には圧倒される。内装はペルシア様式を取り入れており、ミフラーブとその上部を飾る鍾乳石文様もまた必見だ。

Al-Bukhary Mosque -Alor Setar-

Alor Setar, Malaysia : アロースター・マレーシア  マレーシアの実業家であるTan Sri Syed Mokhtar Al-Bukhary氏が創設したAl-Bukhary財団によって建造された。モスクは広大な土地に大学などの複合施設の一部として造られ、1万5千人を収容する。前面には泉を模した水の流れるブルーとグリーンのタイル地の池と椰子の樹が並ぶ整然とした中庭がひろがっており、白いモスクとのコントラストが映えてとても美しい。2本の48mのミナレットを礼拝堂の背後に、1個の大ドームを礼拝堂上に、ファサードと庭を囲む両側の施設上に6個の小ドームをもつ。デザインは世界のモスクのデザインからインスパイアされており、ミナレットは預言者のモスクを、内部のミフラーブはイランのAbd al Samad廟をモチーフにしている。大ドームの外側にはクルアーンのカリグラフィーとブルーとグリーンの美しいイスラーム文様が描かれ、こちらはイランの王のモスクをモチーフにしている。クアラルンプールにも財団による同名の Al-Bukhary Mosque があるが、やはりドームのデザインはだいぶ似せている。ドームを支える内部のアーチは、鍾乳石装飾を全面に使用しておりマレーシアではあまり見かけない様式である。

Emin Pasha Mosque

Prizren, Kosovo : プリズレン・コソボ  プリズレンにモスクや時計塔などの建築物を残した貴族一家のMehmed Emin Pashaによって造られ1832年に完成した。歴史のあるモスクであるが、2014年に庭やモスクの外装と内装の修復があり、特に内部のブルーが基調の植物文様の装飾は美しく描かれている。トルコの機関からの援助があり、修復完成時の式典にはトルコの首都アンカラからのビデオリンクでエルドアン大統領も参加したという力の入れようだ。オスマン様式のモスクであるが、おそらくプリズレンで観光客が一番最初に訪れることが多いであろう Sinan Pasha Mosque に似ており、そのコピーとして建てられたとのことである。特に奥へ突き出したミフラーブの上部に半ドームが載った構造はまったく同じであり、描かれた絵も同じく太陽のモチーフに4本のミナレットのモスクが描かれていた。もし時間があれば見比べるのも面白いと思う。

Malabar Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  南インドのタミールや、ケララのマラバールと呼ばれる地域からの移民商人コミュニティによって運営されている1963年に完成したモスク。大通りの交差点に建ち、金色に輝く大ドームと3個のドームと8角形のミナレット、そしてブルーの外壁がよく目立つ。近くに寄ると壁は3色の白に近い薄いブルーから濃いブルーまで、そして金色の小さなタイルで緻密な幾何学文様のパターンで造り込まれているのがわかる。現在のタイル外壁に改修されたのは1995年のことで、完成当初のデザインはまだタイルで覆われておらず、クリーム色の壁で造られていた。ファサードのアーチをくぐると2階の礼拝室に続く階段があり、上りきると角屋根のメインの礼拝室になっている。階段はさらに3階まであり、登りきるとドームが見え、その真下にも小さな礼拝室があった。バルコニーのついた3階の回廊からは、2階の礼拝室を眺めることができる。

Satuk Bugra Han Mosque

Bishkek, Kyrgyzstan : ビシュケク・キルギスタン  ビシュケク市のはずれ、中低層のアパートが続く景色の中に大きなモスクが現れる。トルコの支援によりKyrgyz-Turkish Manas Universityの敷地内に2012年に建設が始まり、2016年に完成した。4,000人を収容するという大きな礼拝堂は典型的なオスマン様式のデザインで造られ、3個のバルコニーの付いた59mもの高さの2本の鉛筆型のミナレットをもつ。内装も中央アジアの伝統様式は感じられず、ストライプのアーチやステンドグラスの配置など、まったくトルコのモスクのデザインだ。モスクの名称はテュルク系王朝のカラハン朝の始祖であり君主の名から取られた。

Omar Ali Saifuddien Mosque

Bandar Seri Begawan, Brunei : バンダルスリブガワン・ブルネイ  通称オールドモスクとも呼ばれるブルネイを代表する国立モスクの一つ。1958年に完成し、ブルネイの28番目のスルタンの名を由来としている。ムガール様式の金色に輝くドームと、市内では一際高いミナレットをもつ。薄いベージュ色の外壁は全体に直線的なデザインであるが、ポーチや回廊はロープをモチーフにした捩れのある独特な柱と曲線のアーチが組み合わされている。敷地の中には整備された庭園と大きな弧を描く人工のラグーンがあり、対岸からは水面に写るモスクの姿を望むことがきる。モスクの前から伸びる2本の橋のうち1本はラグーンの周囲を巡る対岸の遊歩道へ、もう1本は池の真ん中に浮かぶ王室船を模したモニュメントへ続いており、どちらも通行できる。内部は撮影はできないが、白地に金の装飾の入った荘厳な天井は息を飲む美しさであり、必見。