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Al-Mashun Grand Mosque (Medan Grand Mosque)

Medan, Indonesia : メダン・インドネシア  スマトラ島最大の都市メダンにある、黒い5つのドームと正面から望むと翼を広げた形の回廊が特徴的なモスク。ミナレットは礼拝堂に隣接せず、離れて建っている。ムーア様式のデザインを取り入れ、輸入されたガラスや大理石の建材を使用し、1909年に完成した。正方形の4隅の角に小ドームをもつポーチを配し、それを繋ぐ回廊がメインドームのある礼拝室を囲んでいる。回廊は茶色と薄い青緑色で植物文様の彫刻を施された馬蹄形アーチで区切られている。ポーチのステンドグラスは花の文様で彩られ、内装と同じ茶色と薄い青緑色の2色が使われており美しい。礼拝室上のドームは中心で八角形の台座を8本の柱とストライプのアーチによって支えられている。内部の装飾は多様な文様や色の組み合わせであるが、派手さではなく調和を感じる。

Bang-o Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  チャオプラヤー川に向かって建つ西洋建築風のモスク。アユタヤから来たペルシア人商人の移民コミュニティによって1919年に造られた。当時のタイではルネサンス様式を取り入れた建築が多く造られ、このモスクもルネサンス様式とイスラーム建築の折衷でデザインされた。左右対称にドームが乗った2本の尖塔のある長方形のファサード側はチャオプラヤー川沿いに平行に立っている。その奥に続く礼拝室はメッカの方向へ角度がついて屈折しており、その傾きを埋めるために三角形の小部屋を挟んでいた。ファサード側にはホールがあり、その両端には尖塔へ上る螺旋階段が付いている。敷地内はモスクと、以前は学校として使われて、現在も大人のためのイスラームの教義を学ぶ木造建築の教室、新しくペルシア様式のデザインで造られた多目的ホールがある。

Melaka Straits Mosque

Malacca(Melaka), Malaysia : マラッカ・マレーシア  マラッカ市の沖に造成された人工島であるマラッカ島にある水上モスク。2006年に完成した。エントランスは陸に接し、高さ30mのミナレットは陸側に建っている。モスク本体の足場は海へ打ち込まれており、礼拝堂の3面は海に面している。1面はミフラーブのあるキブラ壁となり、もう2面には礼拝室から突き出たテラスがある。ここからマラッカ海峡を望むことができ、たくさんの観光客が訪れていた。4面すべてに大きな緑色のステンドグラスのアーチが飾られ、角にある尖塔はオレンジ色のマレー式デザインの屋根がついている。内部は白1色でカリグラフィーなどはなく、幾何学文様のすかしが入った壁から漏れる光が装飾になっていた。

Gazi Husrev-Beg Mosque

Sarajevo, Bosnia and Herzegovina : サラエヴォ・ボスニア ヘルツェゴヴィナ  サラエヴォ旧市街のメインストリートに沿って建ち、市内観光のハイライトとして多くの観光客を集めている。オスマン帝国時代の政治家Gazi Husrev-Begの資金により、モスクや学校などの複合施設の一つとして建造され、1531年ごろに完成した。庭にある2箇所の霊廟のうちの一つは彼のために造られたものだ。オスマン様式のデザインでポルティコに5個の小ドーム、上部に1個の大ドームと2個の小ドームをもつ。また、ミフラーブのあるキブラ壁上部は半ドームが据えられムカルナス(鍾乳石飾り)が施されている。モスクはその後火災や近年の内戦で損壊され、現在の内装は2001年ごろに修復されており新しい。ミナレットも鉛筆型のオスマン様式で造られ、装飾はほとんどない。礼拝の呼びかけ(アザーン)はスピーカーを使わず肉声で行うとのことであったが、そのことは後から知ったために拝聴することはできなかった。

Sinan Pasha Mosque -Prizren-

Prizren, Kosovo : プリズレン・コソボ  プリズレンはコソボ南部にあるオスマン帝国時代の文化遺産の残る街で、モスクはツーリストで賑わう中心部を見下ろすように建つ。すぐそばを流れるPrizren Bistricaと呼ばれる川にかかる石橋とともに街のランドマークとなっている。 オスマン帝国の政治家Sofi Sinan Pashaにより建造され1615年に完成した。以降幾度かの修復を経ている。通りから見ると近隣の商店街の2階くらいの高さにエントランスがあり、4つの柱と3個の小ドームをもつポルティコへは階段を上っていくことになる。オスマン様式の建築で正方形の礼拝室の上部は8角形の台座で大ドームを支えている。ミフラーブは壁から大きく突き出ているのが特徴で、奥行き感があり上部には半ドームが載っている。内部の装飾はバルカン半島で時折見かけるデフォルメされていない花や植物文様で彩られ、ミフラーブ上のドームには4本のミナレットのモスクが描かれていた。

Sarena Mosque

Tetovo, North Macedonia : テトヴォ・北マケドニア  このモスクは「Painted Mosque」「Colorful Mosque」との名でも呼ばれており、独特の装飾が施された外壁と内装をもつ。原形は1495年に建造され以降19世紀初頭に装飾の改装があり、近年に修復されている。Pena川のほとりに建っており、瓦を葺いた石垣越しに、カードをはめたような不思議な模様の壁が見て取れる。遠目で見るとパネル状の凹凸感があるが色彩の濃淡で影を表現しており、近くで見ると構造的な部分の一部を除き平面である。くすんだオレンジ色と緑色で、星を模したのであろう幾何学模様と、花柄で壁一面が装飾されている。たくさんの信者が訪れていたが、装飾には意に介さず、誰もが日々日常といった感じで礼拝をしてるのが不思議な印象であった。バルカン半島の小さなモスクでよく見られる外観はドームのない寄棟屋根と1本のオスマン様式のミナレットをもつ。内部は目が眩むほどの細かい手の込んだ塗装で埋め尽くされ、特に内部からは見上げることのできる天井のドームは必見。植物と幾何学文様のペイントを施され、窓の形に区切られた円の中に花瓶と交互に、モスクの見える都市の風景が描かれている。

Lala Mustafa Pasha Mosque

Gazimagusa (Famagusta), Northern Cyprus : ガジマウサ (ファマグスタ)・北キプロス  Cathedral of Saint Nicholasとの名であった教会を転用したゴシック様式のモスク。現在の名は当時ヴェネツィア共和国の支配下にあったキプロスを陥落させたオスマン帝国の軍人Lala Mustafa Pashaに因んで付けられた。外観を見る限り、転用後に足されたミナレット以外はヨーロッパにあるゴシック教会の様相を保っている。側壁はフライング・バットレスと呼ばれる6枚の控え壁が垂直に突き出て天井を支えている。双塔の上部は地震と戦乱で崩壊したまま修復されていない。教会の建設から1328年の完成当時はフランス系がキプロス王位を継いでおり、デザインはフランスのランスにあるノートルダム大聖堂に触発されたそうである。内部はキリスト教に繋がる装飾は撤去され、またイスラーム文様も付け足されてもいないので、逆にゴシック様式の教会の特徴である交差リブヴォールト天井や尖頭形のアーチが引き立っていた。足を踏み入れた途端感じる奥行き感は独特であった。

Moscow Cathedral Mosque

Moscow, Russia : モスクワ・ロシア連邦  元来この地には1904年にタタール人によって造られたモスクが存在していた。旧ソビエト連邦時代にも閉鎖されなかったという歴史のあるモスクは、イスラーム教徒の増加や経年劣化より論争の末2011年に解体され、2015年にその跡地に現在のモスクが完成した。外装や小ドームのエメラルドグリーン色は解体した旧モスクの色に似ており、オマージュとして採用されたのかも知れない。メインのドームは高さ46m、メインのミナレット2本は高さ78mを誇り、計12kgの金を使用している。1万人を収容する巨大な建築で、内部は3層で造られ2階の一部はイスラームの文化を紹介する博物館にもなっている。内装はトルコの政府の援助と技術工の協力で造られ、クルアーンの描かれたドームの内側で渦を巻く独特な文様は荘厳の一言だ。

Ebu Bekr Mosque (Al-Zamil Mosque)

Shkoder, Albania : シュコドラ・アルバニア  過去このモスクのある場所には、Fushe Cela Mosqueと呼ばれる古いモスクが建っていたがアルバニアの政策によって破壊されてしまった。その跡地にサウジアラビアのSheh Zamil Abdullah Al-Zamil氏からの援助により新しいモスクが1995年に造られた。モスクの名は預言者ムハンマド死後の指導者、初代カリフとなったアブー・バクルの名に因んで付けられた。氏の援助の功績により、Al-Zamil Mosqueとも呼ばれている。オスマン様式にガラス面を多く取ったモダンなデザインである。2本のミナレットは41mの高さがある。

Omeriye Mosque

Nicosia, Cyprus : ニコシア・キプロス  Church of Saint Maryと呼ばれていたキリスト教会を転用したゴシック様式のモスクである。元の教会はオスマン帝国の侵攻で一部破壊されたが、帝国のララ・ムスタファ・パシャによって1571年にモスクとして改築されオスマン様式のミナレットを追加された。建物は教会時代そのままに60mほどもあるという奥行きを保っており、ミナレット側から望むと非常に長い建物に感じる。裏庭側にはフライング・バットレスと呼ばれる側廊の外壁の支えが残っていた。内装はほぼ白一色でアーチが連続して奥まで続いており、ここでも通常のモスクであまり感じることのない奥行き感を味わえる。