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Showing posts from July, 2024

Al-Sultan Muhammad Thakurufaanu Al-Auzam Mosque

Malé, Maldives : マレ・モルディブ  モルディブの首都に造られたイスラミックセンターとも呼ばれる5,000人の収容人数を誇るインド洋地域では最大級のモスク。形状は至ってシンプルでモスクとしては特に特定の様式を主張するようなデザインではなく、放射状の光線のような文様が入った、イーワーンにも見えるエントランスの大きなアーチとカリグラフィー、背後に金色のメインドーム1個と2階のメインの礼拝堂へ地上から続く幅のある階段構成されている。建物向かって左に独立してミナレットが1本建ちっている。それは3段のバルコニーをもち、鋸の歯状のデザインを纏い角柱から8角形へ、そして頭頂部のドームへ変化するデザインだ。見たところ礼拝者は正面エントランスの階段は使わず、横にある1階事務所側から内部の階段からアクセスしている。内部の階段を上がり礼拝堂の前に建つと、廊下との透かし彫りの扉を隔て、正面に緻密な木彫りの巨大なミフラーブが視界に入る。管理事務所からは、礼拝者がいるので、礼拝堂内で撮影はしないでほしいとのお願いがあったので礼拝堂には立ち入らず。礼拝堂上部のドームは白く塗られたものだったが、工事中のようで、見学の様子を見ていた礼拝者から、なにやら雨漏りがあるようで直しているんだとのことであった。

Arap Mosque

Istanbul, Turkey : イスタンブール・トルコ  以前、 Suleymaniye Mosque を訪れた時に「イスタンブールで一番素敵なモスクが、このモスクの向こう側にあるんだよ」とボランティアガイドの青年はそう教えてくれたことがあった。それがこのArap Mosqueで、金角湾を挟みほぼ真正面のKaraköy地区の雑居な低層ビルの並び建つ中に埋もれてしまいそうに建っている。確かに彼の言うとおり、イスタンブールでは見たことがないタイプの独特なモスク建築で、その言葉は頷ける。自身は一度訪れたモスクに撮り残しがあっても再訪するようなことは、きりがないのであまりしないのだが、初めて訪れた日は曇天で、室内は光が届かず神秘的ではあったがうまく撮影はできなかった。それから数年経ち、晴天の日を選んでもう一度来てみたのであった。案の定、木造の屋根やバルコニーが美しく映え、荘厳なモスクであることを再確認できた。モスクはローマカトリック教会のThe Church of Saint Dominicが原型と言われ、イスタンブールで主だったビザンチン様式でも、オスマン様式でもない3列の身廊をもつ長方形のゴシック様式で、珍しいものだと思う。トルコ語の名称の「Arap (Camii)」はアラブを意味する。キリスト教会を転換したモスクは得てして礼拝の軸がメッカからずれているものであるが、このモスクのミフラーブは壁の方向のままに据え付けられていた。レンガ造りの角柱のミナレットもまた美しく、ゴシック建築に後から尖塔を追加された。モスクは細い路地にあるのでミナレットに気が付きにくいが、1本の路地だけから正面に見上げることができるので必見である。

Sultan Ibrahim Jamek Mosque

Muar, Malaysia : ムアル・マレーシア  ムアル川沿いに建つ、寄棟造りの屋根とイギリスの西洋建築が融合したコロニアル風のモスクで、意図は不明だが対岸の Sultan Ismail Mosque はこのモスクの1887年の完成の後、相似のデザインで建造されている。建物側面にせり出したキューポラの載った大きなドームは、モスクというよりも植民地時代の政府関係の庁舎にでも使われるような美しいデザインで、当時のジョーホール州のイギリスとの結びつきを感じる。ミナレットも独特で、正方形のバルコニーに円柱状の塔のような西洋風のデザイン造られた。対岸のモスクとの大きな違いは礼拝堂上部の天井のドームの有無で、こちらのモスクには無く、天井はフラットである。浄め(ウドゥー)を行う水場もまた独特で、天井に円形の吹き抜けが造られ、見上げると空とミナレットが目に映る。対岸と同じくメッカの方角が側面の大ドームになるが、キブラ壁にミフラーブの凹みもないため、ガイドは無いが金細工の大きなミンバルが真ん中に立つ。

Qassabtuly Mosque

Dhaka, Bangladesh : ダッカ・バングラデシュ  ダッカ旧市街、オールドダッカの喧騒の中に緻密な花や果実のモザイクに囲まれた美しいモスクがあった。リキシャや人々が行き交う路地は狭く、商店が立ち並ぶ一角に突如として緻密な文様の散りばめられた壁が現れるので、最初にこれはモスクなのかと考えてしまう時間もないくらいであった。ドーム、柱、壁面の文様は同じくモザイクで飾られた有名な Tara Mosque(Star Mosque) と似ているが、こちらの方がより作り込まれているのとタイルを装飾に使用していない。あちらに比べてあまり有名ではないのではと思うのだが、やはり場所のせいか。路地からは玉葱型の月星文様の入った3個のドームを望むことができる。大きなキブラ壁の外壁側の下部分にはモスクの名称がローマ字・ベンガル文字・アラビア文字で、これも勿論モザイクで描かれ、ヒジュラ暦の1338 年(西暦で1919年)おそらく完成の日付が入っていた。現在は内部は増築されており、礼拝堂の前は大きな広間になっていて、礼拝室とは金の縁取りの入った5個の多弁形アーチで区切られている。さらにその奥は前述のTara Mosqueと同じように礼拝室をドーム側と区切る植物文様のアーチと壁、アコーディオン式の柵で仕切られている。柵は閉まり真っ暗だったが親切な門番が明かりを灯し、鍵を開けてドーム側へ入れてくれた。ドーム側の内装はとにかく煌びやかで白いセラミックタイルの一片もが砂糖の結晶のように輝いていてとても美しい。天井の真っ白なドームも際立つブルーのムガール調の縁取りで飾られている。機会があれば是非とも奥の礼拝室まで見て欲しい。

Ash Shaliheen Mosque

Bandar Seri Begawan, Brunei : バンダルスリブガワン・ブルネイ  首都バンダルスリブガワン郊外の丘陵地に建つムーア様式のモスクで、サウジアラビアの Quba Mosque の再建や King Saud Mosque の設計をした巨匠Abdel-Wahed El-Wakil氏によるもの。モロッコのモスクにあるような水場や中庭の噴水のタイル使い、スペイン・アンダルシアのメスキータにあるような赤白のストライプのアーチの列柱、ムーア式の多弁アーチのミフラーブと、東南アジアでは異彩を放つエキゾティックなスタイルだ。外見は現在建築風のシャープなカットに緩いカーブを合わせ、3段の半円の格子窓が2列並ぶ独特のデザインで、現在は鳥よけなのか格子にネットがかけられてしまい、それが少し残念である。エントランスをくぐると開閉式のガラス天井のある中庭があり、さらに礼拝堂内に入って見上げると、アーチの列柱によって分割された幅のある細い長方形の礼拝室、2列3段の半円の窓と2個のドームと、外から見えた窓のデザインが内部でどうなっているのかがよくわかる。