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Showing posts from May, 2019

Dawatagaha Mosque

Colombo, Sri Lanka : コロンボ・スリランカ  コロンボ中心の車やバスや三輪タクシーが行き交う喧騒の中に、林立するムガール様式の白いミナレットと金色のドームをもつモスクが建っている。1885年完成の文字が刻まれた門をくぐると、いくつかの建物に分かれているのがわかる。向かって右側に表通りに面して建つ、小さなドームの付いた6本のミナレットのある建物が礼拝室となっていた。天井はフラットで2階がバルコニーとなっており、1階のみ見学ができたので最上階にある金色のドームは望むことはできなかった。入って中央すぐ右横には、頭上に緑色地に白い幾何学文様の入ったドームの付いた小さな部屋がある。この部屋は聖人であるSheikh Usman Waliullahの廟になっており、跪き祈りを捧げる人々が絶えない。ドーム内側はクリーム色に、内装は白と金で美しく装飾されている。入って正面の真ん中の少し背の高い塔には金色のドームが乗り、内側は濃いグリーンに塗られている。塔は吹き抜けで、1階から頭上のドームを見上げることができた。この棟は他のモスクとは違う特徴でもある、民間伝承の信仰の場になっており、油のランプが置かれている。その奥の部屋も表通りからは見えなかったが小さなドームをもち、内側は淡いグリーンの光で照らされていた。ここでは油売りの女性が油の鍋を壊してしまい、稼ぎがなくなり途方に暮れて眠りについてしまったところに緑の衣の老人が現れ、彼女を救うため油を地面から噴き出させたという奇跡が語り継がれている。そのため、非ムスリムであっても油ランプの部屋に緑の布を結びつけ願いを祈るために訪れるという珍しいモスクとなっている。

Hajjah Fatimah Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  その名はモスク建造の土地を提供した実業家Hajjah Fatimah氏より取られ、女性の名がつくモスクは珍しいのではないかと思う。1846年に完成し、デザインはムーア様式と西洋建築の折衷で、ベランダのついた3段のミナレットは教会の尖頭を模しているようでもある。そのミナレットは全体を俯瞰すると心なしか傾いて見えるのであるが、錯覚ではなく本当に傾いており、工事でこれ以上倒れないように止めているとのこと。金色のドーム内部は淡い緑色で塗られ、尖塔形をした教会風でもある緑色のステンドグラスが明り取りにはめ込まれている。ファサードは市内に立ち並ぶショップハウスでも馴染みのオレンジの瓦屋根も覗かせており、実にいろいろな要素が感じられるモスクだ。

Mohammed Al Ameen Mosque

Muscat, Oman : マスカット・オマーン  赤茶けた岩山をすり抜けるハイウェイの向こうに真っ白な大理石に覆われた荘厳なモスクが建つ。モスクの大きさに比べ門のある表庭以外の周囲のスペースは少なく、高さを感じさせる立体的で重厚な造りの壁はまるで城砦や船のような印象であった。館内には図書館や教室も擁するという。高台に建っており、緻密な透かし彫りのアイボリー色をした3個のドームと84mの2本のミナレットはかなり離れた場所からもよく目立つ。特に夜になるとライトアップされ岩山に浮かぶ幻想的なドームをSultan Qaboos Stからも望む機会があるかと思う。

Shaikh Isa Bin Salman Al Khalifa Grand Mosque

Muharraq, Bahrain : ムハラク・バーレーン  故バーレーン初代首長の名を冠した、2016年完成の白い透かし彫りと照明のついたドームをもつモスクだ。敷地に入ると一番最初に高さ45mのミナレットが目に入り、1本のアーチの廊下でエントランスへ繋がるという造りになっていた。800人以上を収容するメインドームのある礼拝堂は、中庭に面する大きな扉のメインエントランスとアーチのあるポーチをもち、頭上には小さな八角錐のガラスドームが収まっていた。中庭をはさみ対面にはマジュリスと呼ばれる集会所や図書館が入った建物がある。庭の周囲は美しいストライプ模様と彫刻で装飾された柱をもつ回廊に囲まれ、アーチが美しく並んでいる。ドームは夜間になり下地の照明が灯ると文様が浮き出てくる仕組みになっている。

Al-Ismaili Mosque

Wakaf Bharu, Malaysia : ワカバル・マレーシア  敬虔なムスリムの多いマレー半島東海岸にあるクランタン州ワカバルにあり、この街は地域最大のコタバル市街に川を挟んで接している。クランタン州内の街の看板はアラビア文字をもとにしたジャウィ文字も併記されており、イスラーム世界を強く感じた。このモスクはコタバルから向かうとケランタン川に架かる橋を越えた少し先にあり、1500人を収容する礼拝堂の白い壁に金色の光り輝く大きなドームが映えて見える。マレーシアでは珍しいことにミナレットは5本もあり、ムスリムの義務である五行(五つの行動)がテーマになっているとのことだ。ドームは大小合わせ合計で6個あり、こちらもムスリムが信じる六信(六つの信条)から来ているとのことである。

Gazi Mehmet Pasha Mosque (Bajrakli Mosque)

Prizren, Kosovo : プリズレン・コソボ  1563年から1574年にかけて、モスクやマドラサ(高等学校)、図書館などで構成される複合施設として建造された。周囲にはオスマン時代のハマーム(トルコ式の浴場)や他のモスクなどの歴史的建造物が集う。デザインは伝統的なオスマン様式により、正方形の礼拝堂は3方をポーチに囲まれ、上部は8角形の台座にドームをもつ。ポーチを覆う大きな屋根は茶色の木製で白い壁やアーチとのコントラストが映える。内部のミフラーブとミンバルは大理石で造られており、壁の塗装は1996年に大規模な修復を受けて今に至る。

Sinan Pasha Mosque -Gazimagusa (Famagusta)-

Gazimagusa (Famagusta), Northern Cyprus : ガジマウサ (ファマグスタ)・北キプロス  Church of Saint Peter and Paulを転用したゴシック様式のモスクであったが、すでにモスクとしては使われていない。その名は現在もモスクのままであるが、展示などの市民のためのスペースとして使用されており、内部は自由に見学できる。原型の教会は商人の寄付で1369年にかけて建てられた教会で、その後の1571年のオスマン帝国の侵攻によってモスクへと改変・改名された。その後も引き続きモスクであったのではなく、穀物倉庫として利用された時代もあった。外観はほぼ教会の姿から変化しておらず、教会の身廊と側廊の壁を支えるための頑強なフライングバットレスが2段で列になって並んでいる姿は勇壮である。リブヴォールト天井や側廊尖頭アーチは形状もそのままを保っており、唯一モスクらしいのはミナレットを付け足されていることだ。しかし後に崩壊してしまい、現在は途切れた状態のままで修復されている。また、中庭にはオスマン帝国の政治家高官・大使のMehmed Efendiの墓が残されている。

Kamalun Islam Mosque

Bangkok, Thailand : バンコク・タイ  バンコク郊外のムスリムが多く住むミンブリー地区近くにある、バンコクでは比較的大きなモスクで1,000人を収容する。当時のタイのSai Buri、現マレーシアのケダ州からの移民達が荒地に村を開き、現在のモスクは改築後の姿であるがその原型を200年ほど前に建造したという。センセープ運河と呼ばれる運河沿いに建ち、この流れは遥か遠くバンコク市内中心まで続いている。過去には運河を行くラーマ5世国王(在位1868-1910)の乗る船が偶然故障してしまい、岸に上がった際に改築中のモスクを訪れたというエピソードがあった。ドームは白を基調に緑と黄で塗られたメインドーム、緑が基調のミフラーブ上に置かれたサブドーム、またエントランス側の3本あるミナレットの真ん中の1本に小ドームが配置されている。内部はチーク材の天井をもち、2個のドームのガラスを通して淡く緑に照らされ、柱や窓のアーチが整然と並んでいる。全体に装飾は控え目ですっきりとしているが、それゆえにガラスのパターンが際立って見えた。茶と白で塗り分けられた窓の扉だけはイスラーム様式でなく、タイ様式のパターンを取り入れているようだ。

Al-Noor Mosque

Sharjah, United Arab Emirates : シャールジャ・アラブ首長国連邦  シャールジャの高層ビルを対岸に眺めるKhalid Lagoonの遊歩道沿いに造られた、その名はアラビア語で「光」を意味するモスクだ。トルコ・イスタンブールの Sultan Ahmed Mosque 、通称ブルーモスクの影響を受けたと公式なアナウンスもあり、伝統的なオスマン様式のデザインを引き継ぎ2005年に完成をした。52mの2本のミナレットと34個のドームをもつ。シャルージャの統治者の妻となるHer Highness Sheikha Jawaher Bint Mohammed Al Qasimiの命で建造されたのが理由なのか、正面のポーチに配した3つのアーチや、屋根の縁の植物や花をモチーフにした装飾は繊細で非常に女性的に思える。内部も伝統的、典型的なオスマン様式の装飾であるが、アーチのストライプも濃淡の差が際立ってなく、差し色もわずかにドーム台座の紺とミフラーブのえんじ色と金色以外見あたらず物腰柔らかい優美な印象だった。メッカに向かうキブラ面のアーチは床まで届けず吊り下がった状態でミフラーブを望む視界を遮らない飾りとなっている。

Imam Muhammad Ibn Abd Al-Wahhab Mosque (State Grand Mosque)

Doha, Qatar : ドーハ・カタール  色合いも形状もアラブの砂漠の城砦を思わせるような威容を誇るモスクで、2011年に完成した。イスラームの指導者の名を冠した国立モスクとしてカタール最大級の大きさを誇り、約1万2千人の礼拝者を収容する。広大な敷地に建設され、地上より1層持ち上がった広大な台座状のスペースに表庭とモスクが載っているような外観だ。表庭に面して、正門と左右の門をもつアーチの回廊が接しており、1本のミナレットが端に建つ。長方形の中庭を囲んでいる回廊の天井には65個もの小さなドームが据えられており、内部の装飾は緻密に造られていた。その奥にある礼拝堂にはメインとなる大ドームはなく、天井に規則的に28個のドームが並んでいるという独特な構造となっている。装飾のないすべてのドームに連続して、シャンデリアの光が淡く映る姿は荘厳であった。

Rashid Al-Zayani Mosque

Muharraq, Bahrain : ムハラク・バーレーン  バーレーンの慈善事業を活動の主とするRashid Al-Zayani財団によって2015年に完成したモスクで、名はその団体名から取られている。オスマン様式の直径16mの青銅色のメインドームと8mのサブドーム、メインドームを支える5個の半ドームをもち、玉のある噴水と中庭をアーチの続く回廊が囲んでいる。1段のバルコニーの付いた鉛筆型のミナレットは2本あり、伝統的なトルコのモスクを模して造られている。1,500名を収容し、内部は教室もあり、地域のコミュニティセンターとしての役目をもっている。

Al-Mukminin Mosque

Singapore, Singapore : シンガポール・シンガポール  シャープな扇形の屋根をもつ礼拝堂に金属の質感のある外装と、鋭角の屋根に沿って湾曲したモザイクが美しい現代建築のモスクだ。頭上をMRTが走るJurong East Central側は、いくつかの窓を除き鋭角の黒と銀の現代的に解釈したイスラームの幾何学パータンが繰り返されている。ミナレットは四角の金属のパネルをモザイク状に配置し、その側面は鋭角に切り取られた光と影を反射して見せる。Jurong East Street 21の交差点側では半円筒形のガラスのフォルムへと変化する。その後に独立して建つ礼拝堂が続いていて、不規則に切り取られた壁とも屋根とも意味をもつカラフルなアルミ製のスクリーンが大きな背景となっている。青、緑、黄色などのスクリーンは空や水や大地を表現し、光や影の影響で効果的にモザイクを表現している。デザインはシンガポールの建築事務所であるForum Architectsに拠るもので、シンガポールのモスクとしてはSembawang地区の Assyafaah Mosque も手掛けている。ここは礼拝の場としてだけでなく、学校や会議場などの施設も付随した地域のコミュニティセンターとなっている。モスクの原型は1987年に完成し、その後2006年の改装を経て現在は約4,500人を収容するモスクとなった。

Ferhadija Mosque (Ferhat Pasha Mosque) -Sarajevo-

Sarajevo, Bosnia and Herzegovina : サラエヴォ・ボスニア ヘルツェゴヴィナ  サラエヴォ旧市街中心のカフェや数々のショップが並ぶメインストリート沿いに建ち、多くの観光客を集めている。1561年もしくは1562年ごろに造られた典型的なオスマン様式のモスクで、1本の鉛筆型のミナレットをもち、1個の鉛色の大ドームと3個の小ドームがポルティコ上に並ぶ。サラエヴォの知事であったFerhad-beg Vukovic-Desisalićによって建造されたが、過去の火災により初等学校などの他の建造物は消失し、現存するのは礼拝堂のみとなってしまった。また、内戦によりドームは破壊されてしまったがその後の修復活動により現在の姿となった。内部の傷んだ壁画の修復は2011年に開始され2013年に完了し、ドームの鮮やかなオレンジや淡いグリーンで彩られた植物や花のモチーフを望むことができる。

Sabah State Mosque

Kota Kinabalu, Malaysia : コタキナバル・マレーシア  1975年に完成した、5,000人を収容する州立モスクである。グレーと金の六角形のハニカム状のモザイクに覆われたドームに、金色の小ドームを据えたどっしりとした16本の柱が6角形の礼拝堂を囲んでいる。鉛筆型のミナレットは約65mの高さで3段のバルコニーをもち、礼拝堂の内部から天井のガラスを突き抜けるように聳え立つ。重厚さが独特の設計はDato' Ar. Hj. Baharuddin Abu Kassim氏率いるマレーシアの建築事務所であるJurubina Bertiga Internationalによるものだ。彼らはこのモスク以外にも Sultan Salahuddin Abdul Aziz Shah Mosque (ブルーモスク)や An-Nur Jamek Mosque などの著名なモスクも手掛けている。ドーム内側は茶色に塗られ金のカリグラフィーが映える美しいデザインだ。