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Nakhon Si Thammarat Central Mosque

Nakhon Si Thammarat, Thailand : ナコーンシータンマラート・タイ  ナコーンシータンマラートはタイ南部ではイスラーム色が特に強いという街並みでなく、テーラワーダ仏教やヒンドゥー教の史跡も多い中都市である。それでもムスリム人口は多くこの地域にはそれほど大きくはない古いモスクは数あるが、2017年に完成したこのモスクは地域では最大級の大きさで州のイスラーム委員会事務所ともなっている。モスクは8角形の真ん中に金のドームがあり、壁面はアーチ型のデザインの窓を配し、形状だけであればエルサレムの「岩のドーム」を模したのかタイのモスクとしては珍しいデザインである。8角形の各々の角にはメインのミナレットが4本と小さなミナレットが4本と付いている。中心にメインドーム、その周りを4個の小ドームが囲んでいる。合計8本のミナレットの頭頂部にもドームが付き、正面のエントランス前から離れて見ると規則的な配置が確認できる。空港と街を結ぶ幹線道路上にあるため、金のドーム群はよく目立つ。2階の礼拝堂は中心のドーム台座も8角形に切り取られ、区切りがない大きな空間となっていた。内部はミニマムかつモダンな造りでステンドグラスに色味があるくらいで、ドーム内部には装飾はなくミフラーブは壁面に大きく平面のモザイクを使って表現されている。

Palayam Juma Mosque

Trivandrum (Thiruvananthapuram), India : トリバンドラム (ティルヴァナンタプラム)・インド  トリバンドラム市中心地区の大きなモスクで、白いドームと40mの2本のミナレットをもつ。訪れたときはメンテナンス後であったのか、まだ完成したばかりのように曇りのないクリームの色合いを保っていた。モスクの創設は非常に古く、1813年のことだが、以降1967年に現在の姿に改築され現在に至る。インドで数々のモスクを手掛けている建築家であるDr. G. Gopalakrishnanの手によるデザインで、独学でモスクのデザインを始めた氏の最初の作品という。ムガール様式をベースにしたインド・サラセン様式で壮大なドームをもつ威厳のある美しいモスクをデザインすることでその後著名になった。ここでも紹介した同市内の Beemapally Mosque も彼の作品で、そのデザインとともに実はヒンドゥー教徒であることも驚きをもって迎えられたという逸話がある。現在における賞賛だけではなく、独自の解釈から過去には批判を浴びたりもした。この訪れた日、モスクの礼拝堂内は隣接する学校の小学生くらいの年齢の子供達でいっぱいで、外にいたスタッフにドームを見られるか確認し、中へ進んだ。

Al-Bukhary Mosque -Kuala Lumpur-

Kuala Lumpur, Malaysia : クアラルンプール・マレーシア  クアラルンプール市内を巡るKLモノレールの車窓から、美しいアラベスクを描かれたドームを見かけたツーリストも多いのではないかと思う。このモスクは、クアラルンプールのイスラーム美術館創設も手掛けた、マレーシアAl-Bukhary財団によるもので、白いミナレット、ブルーと黄色が冴えたコントラストのドームが街並みから際立って目立つ。ドームの文様はイラン・イスファハンのShah Mosque、王のモスクやイマームのモスクなどとも呼ばれる、からインスパイアされたもので、またミナレットの形状はマディーナの預言者のモスクからのものだ。この構成は同じ財団が建造したアロースターにある同名の Al-Bukhary Mosque にも採用されている。現在このクアラルンプールのモスクのドームは、塗装の修復後に以前より青みが強いものになったが、以前はやや緑がかったイランのオリジナルに近いターコイズ色をしていた。ちなみに前述のイスラーム美術館のドームにも類似の文様を採用しているのは興味深い。礼拝堂内部は金のカリグラフィー以外はほぼ真っ白でドーム内部は花や植物のモチーフが彫刻されている。

Ketchimale Mosque

Beruwala, Sri Lanka : ベルワラ・スリランカ  ベルワラはコロンボからゴールへ向かう途中にある小さな漁港の街で、その港に突き出した岬の小高い丘に真っ白なモスクが建っている。街には1024年ごろからムスリムの商人達が訪れており、このモスクもスリランカ国内最古のうちの一つとしても知られている。モスクを囲む左右のテラスからはインド洋と港をそれぞれ望め、訪れた昼過ぎは参拝客なのであろうか、地元の人々がピクニックを楽しんでおり、絶好の観光スポットになっているようだ。小さなモスクの周りにはあまりに多くの人々がいて写真を撮ることが難しい位であった。モスクのある丘を登る手前は小さなビーチになっており、ここにもたくさんの人が憩いのときを過ごしていた。周りの喧騒を忘れたようにモスクの中は静寂で、窓の向こうには海が広がっていた。礼拝堂は黄色く塗られた壁と白いシンプルなミフラーブ、独特な黄色と白色の市松模様のフラットな天井をもち、窓からの光で照らされていた。モスク内部のドームのある側の部屋は、イエメンから来た王子であるAsh-Shaikh Ashraff Waliullahがこの地に移り住み死を迎え、それを弔う霊廟になっている。モスクの門番に案内をされ、少しだけ覗かせてもらうことができた。

Tokyo Camii / Mosque

Tokyo, Japan : 東京・日本  東京・代々木にある日本最大とも言えるオスマン様式のモスク。通りの街路樹の間から空と雲を溶かしたような不思議なブルーのメインドームと尖ったミナレットを覗かせていた。金曜日の集団礼拝を行うための大モスクに冠するジャーミィを名乗り、日本では一般的にも東京ジャーミィの名で通っている。ここはトルコではないのかと見紛う外装からもわかるように、トルコ政府機関の基金により建造が始まり、多数のトルコ人技術者と現地からの資材によって工事が進められた。設計はトルコの建築家であるMuharrem Hilmi Senalp氏であり、氏の率いるHassa Architectureは数々のモスクを手掛けている建築事務所だ。メインドームは6個の半ドームで支えられ、高さ約40mのミナレットは鍾乳石飾りをあしらったバルコニーをもつ鉛筆型をし、L字型のポルティコは上部に小ドームを配しストライプのアーチで屋根を支えている。すべてが伝統的なオスマン様式に則りデザインされ、それを現在に蘇らせている。内装もまた荘厳で見事に造られ、通りに面した1階の玄関、応接間から上層の礼拝堂のドームの文様やステンドグラス、金をあしらったミフラーブ、カリグラフィーなどのオスマン様式の装飾には息を呑むばかりで圧倒される。

Songkhla Central Mosque

Hat Yai, Thailand : ハートヤイ (ハジャイ)・タイ  タイ南部のムスリム人口の多いソンクラー県を代表する新しいモスクであるが、ハートヤイ市(ハジャイとも呼ばれる)は中国系タイ人の造った街でイスラーム色はほとんど感じられない。歩いても市の中心にはモスクは見かけず、このモスクも郊外にある。タイのモスクとしては最大級の大きさで、正面から見ると屋根までの巨大な7個のアーチが威容を誇る。広大な敷地に建つモスク前面側に配した大きな池は金色のドームと4本のミナレットを映し出していた。タージ・マハルを彷彿させる姿からか幾組かの観光客が入れ替わり撮影をしていた。道路から礼拝堂へ登る階段の真ん中は水路となり下の池へと水が落ちて行く。階段を上りメインエントランスのアーチをくぐると、上部はガラス天井になっており、上から光が入る。礼拝堂は天井の高い1層でできており、外は酷暑なのだが中に入るとひんやりとした空気の張り詰める巨大な空間が広がる。礼拝堂に入り正面から眺めると四角のドーム台座に角度をつけており、菱のように切り取られて見えるシャープなデザインだ。ドーム本体も真下から望むと装飾のない無機的な骨組みの梁で、車輪のようなメカニカルな形状をしている。鏡面状の床に柱と窓が淡い青色に反射され、その中で一人礼拝をする信者の姿があった。

Beemapally Mosque

Trivandrum (Thiruvananthapuram), India : トリバンドラム (ティルヴァナンタプラム)・インド  ピンク色で彩られたこのモスクはトリバンドラムを訪れるインド人観光客の間でも有名らしく、ムスリムの拝観者以外にもおそらく外見・服装からヒンドゥー教徒も多数訪れていた。ここは神の力を持っていたとされるアラビアから布教に来たムスリマSyedunnisa Beema Beevi、もしくは地元ではBee Ummaとも、の霊廟でもある。モスクへの礼拝だけでなく、特に病を治す力があると信じられておりその参拝にも訪れる。市内はずれの海岸近くにあり、近くの空港へ着陸する寸前の飛行機の窓からもくっきりと見えた姿が映え、非常に印象的であった。1個のメインドームと3個のサブドーム、ミナレットは建物横エントランスにメインの2本と端のサブドーム側エントランスに4本をもち、典型的なムガール様式でデザインされている。

Tengku Ampuan Jemaah Mosque

Shah Alam, Malaysia : シャーアラム・マレーシア  クアラルンプール郊外のセランゴール州シャーアラムにある、2012年に完成したモスクで、ブルーモスクとして著名な Sultan Salahuddin Abdul Aziz Shah Mosque に続く王立モスクとなった。4本のミナレットと1個のドームをもち4,000名を収容する大きなモスクだ。デザインや構造に特徴があり、マレー様式を取り入れずほぼ純粋にアラブ様式で建造されている。極わずかに赤みを感じるクリーム色の外壁で際立った装飾はほぼなく、外見はまるで中東のモスクだ。ドームも装飾は鋸状の線が入っているのみ。内部の構造もメインエントランスから事務所などのある棟の通路を進み、連なるアーチを横に見ながら中庭を突き抜け礼拝堂へ入るという、いかにもモスクらしい、日常から心の切り替えをしながら礼拝へ望むスタイルだ。礼拝堂のシャンデリアも中東のモスクでよく見かける円状のランプが吊るされたタイプであった。ドームの内側も装飾はなく真っ白なタイルで格子を組んだ構造上の線が見えるのみであった。

Hanafi Mosque

Kandy, Sri Lanka : キャンディ・スリランカ  キャンディ市内の繁華街にある、ストライプと格子で彩られたモスク。食事や買い物をする人々で賑わう通りの商店と商店の間に隙間なく建っており、礼拝の場が日常から1区画だけ切り取られたように忽然と現れる。現在はファサードすべてが赤と白の配色で統一され建物全体がモスクに見えるが、以前は階上の窓の並ぶ層は現在の市松模様と違い緑色に塗られていた。その当時は3角屋根の箱型のビルにモスクの装飾がはめ込まれた状態で、ミナレットなどの装飾は建物とは一体となっていない様子であった。裏路地にも回ってみたがモスクの横と後ろ側の壁は今でも全部緑色のままであった。赤と白のストライプと格子を組み合わせたデザインはコロンボのJami Ul-Alfar Mosqueを彷彿させ、同じく地元ではRed Mosqueとも呼ばれている。天井にドームはなく、ミナレットは10本あり、そのうち2本が屋根から突き出している。建物は真正面からよく見ると左右非対称で、左右両端のミナレットの位置が異なるのが面白い。白を基調に茶と金を使った礼拝堂内は吹き抜けの絶妙な緩いカーブが美しく、階上から届く金色の光に淡く照らされていた。

Koh Panyee Darussalam Mosque

Ko Panyi (Phang Nga), Thailand : パンイー島 (パンガー)・タイ  プーケット近くのマングローブ生い茂るパンガー湾内に、ほぼ全体が巨大な岩の島の岩盤にモスクを建て、浅瀬に杭を打ち造られた水上家屋の漁村がある。パンイー島と呼ばれるこの島の語源Panjiはムラユ語で旗を意味し、定住のためのよい漁場を見つけた知らせになる旗から来た。住民の祖先はインドネシア・ジャワからの漂海民ですでにタイ化しているが、今でもイスラーム教を信仰している。この村のモスクは島へ近づく船からもとても目立ち、村の規模を考えると大きいものだ。島は断崖絶壁の岩がほとんどを占めており住居や学校やサッカー場などは水上にあるが、モスクと隣接する墓地は限られたわずかな地面の上にあり、そこにも信仰の深さを窺うことができる。周囲は表玄関以外は水上家屋に囲まれており、モスク全体を俯瞰することはほぼできず、遠く離れてもほぼ民家の屋根越しに眺めることになる。2階建てのモスクの頭上には金色に輝くメインドームと、2個のサブドーム、アーチで飾られた2本のミナレット上にも2個のドームがあるのが見える。建物全体をアーチのデザインで囲んでおり、ミフラーブの曲線のあるキブラ壁以外の3方はバルコニーとなっている。アーチを支える柱は四角の鏡やパターンのモザイクで装飾されており、美しく光に輝いていた。外観は新しく見え、2017年に修復されているとのこと。