Sarena Mosque (Suleymania Mosque)
Travnik, Bosnia and Herzegovina : トラヴニク・ボスニア ヘルツェゴヴィナ
首都サラエヴォからやや離れた山間の小さな街トラヴニクに、美しく装飾された外壁のモスクがある。火災により1815年から16年にかけて現在のモスクの原型に改築され、1980年代に最終的に現在の姿に修復されている。デフォルメされた抽象的な繰り返しでなく、バルカン半島のモスクの内部の装飾で見かける写実的な樹木、花、葡萄などの植物文様が壁に整然と描かれていて、「Ornamented Mosque」とも呼ばれている。ミナレット部分が少し突き出している以外ほぼ長方形の礼拝堂と寄棟造りでドームのない屋根をもち、フラットな礼拝堂の天井には平面の文様が描かれる。画像でも僅かに見えるが、突き出している部分の外壁には果物のスイカにナイフが刺さっているのも見え、何を意図しているのか不明だが面白い。1階部分のアーチで支えられたアーケードには土産品などを売る店舗が並んでいる。エントランスは表から見えず、礼拝者は裏側に2階にあがる階段から礼拝堂へ入る。礼拝堂内部の壁や天井は、オレンジ・青・黄色・緑色の市松模様や六芒星の繰り返す装飾が施され、木製の柱や扉やミンバルも美しい色合いで塗装されている。北マケドニアのTetovoにも同名の装飾で有名なSarena Mosqueがあり、現地語でのSarena(頭文字は本来Š)は英語でColorfulの意なのでそれも頷けるところだ。